農家とJA 一丸の取り組み

 松坂、神戸、米沢、近江、ブランド牛は数あれど、その味は育て方次第。「とちぎ和牛」に代表される県内産牛肉も、JA全農とちぎや生産者らの一貫した真摯な取り組みにより全国的に高い評価を得ています。

 県内の肉牛飼養頭数は10万頭に迫り、都道府県別では全国6位です。単に頭数が多いだけでなく、生産農家を限定し差別化を図ったブランド牛肉の開発や、販売促進などにも積極的に取り組んでいます。その出荷先は東京都をはじめとする首都圏が大半ですが、一部は関西方面にも向けられ、いずれの地域でも人気を呼んでいます。

 ■ 農家限定でブランド化 ■

 県内ブランド牛肉には、(社)とちぎ農産物マーケティング協会が、輸入自由化を控えた1988年に銘柄を確立した「とちぎ和牛」と、2001年にJA全農とちぎが商標登録した交雑種(雄の黒毛和種×雌のホルスタイン種)の「とちぎ霧降高原牛」があります。

 とちぎ和牛は、県内指定生産者223人が肥育しています。血統が明確な黒毛和種の肉牛の中から、歩留り(生体から取れる枝肉の割合)等級、肉質(霜降りの進み具合、色沢など)等級の格付けでA4、B4等級以上(最高はA5)になった枝肉にのみ与えられる“称号”で、例年のように品評会で最優秀賞などを受賞しています。また小売店舗と、食べられるお店は、すべてとちぎ農産物マーケティング協会が承認しており、安全で安心できる牛肉の供給を目指しているのも特徴です。

 とちぎ霧降高原牛は、県内56人の指定生産者が育てています。その肉質は近年の肥育技術の向上で、格付けで3等級になる確率が70%を超えるまでになりました。肥育の段階でカギを握る飼料にこだわり、非遺伝子組み換えトウモロコシや収穫後に農薬を使用していないトウモロコシを配合した飼料「マーブルビーフ」を与えているのが特徴です。

 ■ 飼料の改良が奏功 ■

 01年に開設されたJA全農とちぎ肉牛実験牧場(真岡市)では、黒毛和種16頭と交雑種約200頭を肥育しています。この牧場はJA東日本くみあい飼料が飼料試験を目的として管理しています。枝肉重量の増大、肉質の向上を目指して独自に飼料を開発。それらの結果を年に1度開催される肉牛セミナーなどで生産者に伝達し、安定した経営に役立ててもらっています。

 JA全農とちぎ畜産部は「改良を重ね、脂肪交雑などの肉質向上において着実に効果が出ています」と自信を見せます。今後は和牛生産においても、JA全農とちぎ独自の専用飼料の開発を進めていく方針です。

 そうしたJAの姿勢は、小売店にも浸透しているようです。とちぎ和牛の県内小売販売量でナンバー1を誇るビッグミート山久の販売担当者は「栃木の生産者は魅力的な人が多いと思います。その人たちと消費者の橋渡しが私たちの務め。家族の皆さんの牛への愛情や思い入れを伝えることも地産地消、食育の一助になると思っています」と話しています。

 [写真説明]枝肉重量の増大と肉質の向上を目指して独自の飼料を開発し、実験肥育するJA全農とちぎ肉牛実験牧場。200頭以上の肉牛を肥育している=真岡市下籠谷


 コラムオアシス 食への基本

 食育基本法が、平成17年6月10日に成立しました。食品(食料)の安全性が確保され、安心して消費できることが食育基本法が求める健全な食生活の基礎であります。そこで生産者は、常に安全・安心な食料(農畜産物)を消費者に安定的に提供するのが使命です。

 しかしながら今は飽食の時代です。好きなものを、いつでもどこでも自由に食べられます。今、家庭で朝食を親子でいっしょに「いただきます」と規則正しくとって、子供たちを学校や幼稚園へ送り出せない家庭があると耳にします。「いただきます」と言って食べることが食に対する感謝の心と、心身ともに健康の源と人間形成につながるものと思っています。

 農産物を生産する農家は、日照や雨・風などの自然環境に大きく左右され、大変な苦労もありますが反面、収穫するときの大きな喜びもあります。生産する人も、消費者の一人です。ともに食に対する感謝の念を、大切にしようではありませんか。

(JAバンク栃木信連会長 伊澤茂)