通年出荷へ新種登場も

 ■ 10月からシーズン ■

 クリスマスを前に、本格的なイチゴの出荷シーズンを迎えました。イチゴ王国の本県では、甘くて大粒な県産ブランド「とちおとめ」の出荷作業に大忙しです。「今年は実が大玉になり、例年より甘みがのりました」と話すのは、鹿沼市下奈良部のイチゴ生産者で県農業士の田野井勝さん(46)。真っ赤でつややかな摘み立てのイチゴを前に、笑顔を絶やしません。

 かつて春の食べ物だったイチゴですが、近年は10月から6月まで出荷されるようになりました。エコ・ファーマーとして安全・安心なイチゴづくりに努める田野井さんも3年前から、10月初めに出荷し始めています。夏場は夜間に苗を冷蔵庫に入れたり、ハウスを遮光したりする手間が掛かりますが、一層の早期出荷によって七五三用ケーキの需要にも対応できるようになりました。

 一方、輸入イチゴに頼ってきた夏秋の需要に応えられる品種が登場し、話題を集めています。県農業試験場が開発し品種登録を出願中の「とちひとみ」です。JAなすの管内では今年7月、生産者と同JA、県、地元自治体の関係者による協議会を発足。3人の生産者が試験栽培し、8月中旬から11月初めまで地元の直売所やホテルに出荷しました。

 「とちおとめ」よりやや小ぶりで甘酸っぱい「とちひとみ」。生産者の一人で那須塩原市戸田の渡辺正義さん(56)は、「形も食感もいいです。実もしっかりしていますよ」とアピールします。

 ■ 認知度アップ期待 ■

 「とちおとめ」の長期出荷に加え、その端境期をカバーできる「とちひとみ」の登場は、県産イチゴの通年出荷へ弾みになると期待されます。消費者にとっては、新鮮で安全・安心な「とちぎのイチゴ」のおいしさを一年中、味わえることになります。

 JA全農とちぎは、今シーズンから少量パックやギフト用のデラックスパックを試験的に取り扱うなど、県産イチゴの販売強化やPRに努めています。枝啓司同園芸部長は、「このような取り組みの一方で通年出荷が実現すれば、『とちぎのイチゴ』の認知度をさらに高められると思います」と話しています。

 [写真説明]今年も大粒で甘い実を付けた「とちおとめ」。10月初めから出荷している田野井勝さんのハウスでも、クリスマスを前に収穫作業に追われている=鹿沼市下奈良部


 コラムオアシス ふれあい農園25年

 私は大田原市の要請を受けて、休耕田50アールに61区画の市民農園を開設し25年になります。初めは借りた人たちに野菜の種子まきや、肥料の施し方、畝の立て方など教えましたが、現在では皆、専業農家顔負けの立派な野菜を作っています。25年間、同じ場所で野菜を作っている人もたくさんいます。

 健康と実益を兼ねて、学校の先生やサラリーマンの退職者などいろんな人々が、朝早くから夕方遅くまで一生懸命汗を流しています。季節ごとのあらゆる種類の作物が作られています。子供と一緒だったり孫を連れて来たり、生きた食育教育の場だと思っています。

 最近の子供は、野菜を食べる量が年々減少しています。もっと米と野菜を中心とした日本食の良さを、見直すことも大切だと思います。現在の日本の食生活は、どの時代の貴族より豪勢な食事をしていると云われていますが、年々欧米化する肉食を中心とした食生活は、健康に必ずしも良いとは思いません。今後も世界一の長寿国を維持するため、もっと新鮮な野菜を食べることを勧めます。市民農園の開設者として、ふれあい農園の益々の発展を願っています。

(JAバンク栃木信連会長 藤原林次郎)