首都圏でも高い評価
華やかで凛とした姿が美しいユリの花。宇都宮市は、知る人ぞ知る県内トップのユリの生産地です。その「宇都宮のユリ」を支えているのがJAうつのみや球根切花専門部の計5人。いずれも30~40代の働き盛りの彼らが生産するユリは、宇都宮市内はもとより首都圏や東北地方の市場関係者から高い評価を得ています。高品質なユリをいつでも需要に合わせて出荷しようと、全国でも珍しい年間を通じて生産する「周年栽培」に取り組んでいるほか、昨年4月に発表されたブランド名「ミヤリリー」の普及・定着に努めています。
5人は、同専門部長の須藤智司(すとう・さとし)さん(39)、小池一構(こいけ・かずなり)さん(46)、渡辺邦仁(わたなべ・くにひと)さん(47)、天谷充範(あまがい・みつのり)さん(48)、岩上章(いわかみ・あきら)さん(49)。須藤さんと天谷さんは、父の代から続く2代目で、岩上さんと渡辺さん、小池さんは新規で栽培に挑戦しました。栽培歴は、先代と合わせて最も長い人で約35年、短くても約25年とベテランぞろいです。メンバーは「長く続けているのは、ユリに魅力があるから」と口をそろえます。
栽培するのは、飾花に適した華やかな大輪のオリエンタル・ハイブリッドユリ。清楚な白、豪華なピンク、優美な黄色など70を超える品種を育てています。

「計画出荷」でニーズに応える
「消費者のニーズに応じて出荷するためには、一人の力だけではだめ。専門部全体で品ぞろえをする必要がある」。5人は互いに切磋琢磨(せっさたくま)するライバルであると同時に、「ミヤリリー」を安定して消費者に届けるため、先を見越して連携し合う「計画出荷」に力を入れています。
例えば、輸送体制に強く花持ちがいい品種「シベリア」は、〝専門部の顔〟として品切れがないように協力体制を取っているとのことです。球根はすべてオランダなどから海洋輸送されるため、価格や納入時期などは紛争や円安など国際情勢に影響されやすく、不安定要素がたくさんありますが、5人で協力し計画出荷を行うことで、消費者ニーズに応えられるよう努めています。

5人の強みは、勉強会などを通して築かれる意思疎通の多さにあります。「月1回の勉強会はもちろん、球根会社を訪問したり、一般の花屋さんの話を聞きに行ったり、必要に応じて集まっています」と須藤部長。「活発に活動を行い、切磋琢磨しています」とJAうつのみや園芸指導係長の芝田桂一さんも太鼓判を押します。
冠婚葬祭からパーティー、日常生活まで、私たちに潤いと彩りを添えるユリ。5人は消費者にこう呼びかけます。「花屋さんで、『ミヤリリー』を手に取ってほしい。ユリっていいな、ときっとわかるから」
お問い合わせはJAうつのみや園芸課☎028・667・0152。