
新しい品種の栽培 勉強を重ね挑戦
お盆やお彼岸の仏花として欠かせないスプレーマム(スプレー菊)。塩谷町は、県内の約5割を生産する全国でも屈指の産地です。「JAしおのや塩谷花卉(かき)部会スプレーマム研究会」に所属する30~70代のメンバー19人が、日々、栽培に励んでいます。
会のメンバーで、生産委員長を務める蓼沼弘一さんは、栽培を始めてから10年余りになります。県外で働いていましたが、20代の時に体調を崩して帰郷し、その後父親のスプレーマム作りを手伝うようになりました。現在は蓼沼さんを中心に、両親と、週末手伝いに来る高校生の甥の計4人で作業をしています。和気あいあいとした雰囲気で、毎日約1000本のスプレーマムの収穫・出荷作業に取り組んでいます。

昨年度は、セイメリタやエンゼルハートなど約10品種、3000ケースを出荷しました。「今年は昨年を超えたい」と目標を掲げ、毎月開催される勉強会でも積極的に情報交換をしています。「病気の予防や水やりのタイミングなど、学ぶことは多いです。知識を高めて、新しい品種にもどんどんチャレンジしていきたい」と抱負を語ります。塩谷町のスプレーマムは東京や東北などに出荷され、品質がいいと評判です。
花屋の経験生かし アレンジメントも
かつて生花店で働いていた経験を生かし、アレンジメントを得意としている蓼沼さん。依頼を受け、クリスマスのブーケや正月の飾り付けなども手掛けています。「仏花のイメージが強い花ですが、形も色も魅力的。いろんな使い方ができる」とその可能性に期待を寄せています。町のイベントなどでは、子どもたち対象のアレンジメント教室を開き、見て触って理解してもらう「花育」にも力を入れています。

生産者の高齢化などで担い手不足が懸念される中、スプレーマム産地の維持に向けて新たな取り組みも。町や研究会、JAなどで構成する「塩谷スプレーマム担い手確保育成協議会」が1月に発足。就農を希望する意欲ある人材を、町外から地域おこし協力隊員として招き入れる試みを始めました。応募した2名の研修生が4月から、新規就農に向けて栽培技術などの習得に励みます。「スプレーマムのともしびを絶やさないために、我々も応援していきたい」と、蓼沼さんも期待を寄せています。
お問い合わせは、JAしおのや塩谷地区営農経済センター☎︎0287・45・1311。