目標はおいしく大きい牛 黒毛和牛の子牛を飼育

 「とちぎ和牛」に代表される畜産の盛んな栃木県。担い手の一人である、さくら市の五江渕剛隆さんは、妻の清香さんと二人三脚で黒毛和牛の子牛を育てています。

 家は父の代から畜産農家。自身も地元の農業高校から県農業大学校へ進学し、畜産を学びました。卒業後、「外の世界も一度は経験したほうがいい」という周囲の助言もあり、4年ほど工場で働きました。転機は24歳の時。結婚など環境の変化もあり、実家に戻り就農しました。

哺乳瓶にむしゃぶりつく食欲旺盛な子牛
哺乳瓶にむしゃぶりつく食欲旺盛な子牛

 現在、55頭の雌牛と約40頭の子牛を飼育。子牛は生後10カ月ほどまで育て、矢板家畜市場を通じて県内外に出荷。その後は購入先でさらに大きく育てられ、ブランド牛など食肉になります。

 飼育で特に気を遣うのは、出産前後の管理。現在はICT化も進み、出産直前の雌牛に設置したセンサーで体温変化などを把握できますが、それでも目が離せません。出産直後は子牛を離し、人工哺乳で初めて口に入れるものから管理しています。

一年を通し、丁寧に飼育される雌牛
一年を通し、丁寧に飼育される雌牛

 おいしくて大きい牛に育てるには、血統も重要です。現在は、人工授精で受胎させますが、今後は冷凍保存した受精卵を雌牛に受胎させる「人工授精移植」も行っていきたいそうです。「おいしい牛肉を大勢の人に食べてほしい」と話す五江渕さん。冬の早朝からの餌やりや猛暑の中での作業も、そんな思いが支えに。今日も夫婦で大切に牛を育てています。