平山 貴陽さん(30歳)

社会人を経験後に就農

 シャリシャリした食感とみずみずしさが魅力のナシ。栃木県は、全国第3位の収穫・出荷量を誇り、オリジナル品種「にっこり」など多彩なナシが盛んに栽培されています。

 那珂川町に住む平山貴陽さんもその一人。現在、JAなす南梨部会に所属し、2・7㌶の果樹園でナシを栽培しています。平山さん宅は祖父の代から続くナシ農家で、両親とパート職員合わせて最大6人で作業。現在、一番早い幸水の収穫・出荷に追われています。

 幼い頃から「将来は農家になる」と思っていた平山さんは、県の農業大学校で果樹栽培を学びました。一時はそのまま就農も考えましたが、「一度社会に出て経験を積むのもよい」という父の助言もあり3年ほどスーパーで社会人を経験しました。

ここからさらに大きくなる幸水

 ナシ栽培は年間を通じて作業を行います。果樹園全体にネットを張ったり、収穫後は下草を刈って肥料をやったりするほか、剪定や誘引、摘果も大切な作業です。またナシは同じ品種同士では受粉しないため、平山さん宅ではミツバチを使って受粉させています。複数の品種を混在して植えているのも受粉を促す工夫の一つ。「ナシは一見見分けがつきにくいのでパートさんたちには苦労をかけます」と笑って話します。

5品種を栽培中 収量増に意欲も

 現在は「幸水」「豊水」「にっこり」「秋月」「新高」の5品種を栽培。将来は、県農業試験場で育成され、2015年に品種登録された「おりひめ」にも挑戦したいと考えています。おりひめは幸水よりもさらに収穫期が早いため、より多くの収量が期待できるそうです。

甘くて大きいナシを育てるために欠かせない摘果作業

 収穫作業は今後、豊水、秋月、新高、にっこりの順で10月頃まで続きます。出来について「今期は雨が多く生育はゆっくりでしたが、おいしく育ちました」と手応えを感じています。

 平山さんの栽培したナシはJAなす南を通じて首都圏に出荷されていますが、一部は道の駅ばとうやまほろばの農産物直売所でも購入できるそうです。販路に関しても将来はインターネットを活用して広げていきたいと抱負を語ってくれました。

 冷蔵庫でしっかり冷やしたシャリシャリのナシ。暑い夏の水分補給にもぴったりです。平山さんたちが丹精込めて育てたナシ、ぜひ召し上がってみてください。