おいしさにつながるナシへの真摯な姿勢

農林水産省の作物統計によると栃木県の令和3年産日本ナシの収穫量は全国3位。なかでも平成8年に栃木県で生まれ新たに登録された品種「にっこり」は、約9割が栃木県産です。
県内でもナシ栽培が盛んな那須烏山市ですが、8月中旬の「幸水」から続く出荷リレーもいよいよ最後の「にっこり」へ。41人が参加するJAなす南梨部会でも収穫・出荷作業に追われています。同部会で若手が集まる研究部に所属する小池辰行さんもその一人。ナシ農家の父から受け継ぎ、7年前に就農しました。現在、約2・7㌶の果樹園で「にっこり」のほか、「幸水」「豊水」「新高」を栽培しています。

ナシ栽培は年間作業といいますが、小池さんが最も重視しているのが収穫後から春にかけて行う剪定(せんてい)と誘引です。果実が実った時を想定し、枝や葉が混みすぎず大きく育つように間引きます。受粉後に果樹園全体をネットで覆う作業は小池さん一人で行うため、特に大変だといいます。春先の霜も大敵です。去年、一昨年は花が咲く時期に霜が降りてしまい収量が激減しましたが、今年はその被害もなく、若干小ぶりながら甘さが凝縮したにっこりに育ちました。
小池さんが大切にしているのは「やれることはやる」という思い。時には葛藤や父と意見がぶつかることもありますが、ナシに対する真摯な姿勢がおいしさにつながるといいます。
ナシ農家として一人前になることが夢

JAと連携を密にして、予冷倉庫の建設と東南アジアへの輸出、「栃木農業マイスター」による新規就農者育成、「にっこり栃木プレミアム」認証制度の活用などにも取り組んでいます。
小池さんの夢は「ナシ農家として一人前になること」。現在は父の元で栽培をしていますが、のちに一人立ちし、「JAなす南のナシ農家の一員として父にも部会の方々にも認められたい」と力を込めます。就農当初はすべてを120%でと無理をすることもありましたが、今では自分の時間をとり、めりはりがつけられるようになりました。現在、部会では最年少ですが、「今後はこれからナシ栽培をはじめる人へのサポートなどもしていきたい」と意欲を燃やします。
小池さんが栽培したにっこりは、JAを通じて主に京浜市場へ出荷されます。おいしいにっこりは、ずっしりしていて全体に色がのっているもの。また、にっこりは貯蔵性に優れているので風通しのいいところに新聞紙に包んで置いておくと長くおいしく食べられるそうです。秋の味覚、旬を味わってみてはいかがでしょうか。
お問い合わせは、JAなす南営農部園芸販売課 ☎0287・966・170まで。