地球温暖化などの気候変動への対策は大きく二つに分けられる。一つは気候変動の影響に対して被害を回避、軽減していく「適応」と呼ばれる対策。もう一つは二酸化炭素(CO2)やメタンといった温室効果ガスの排出削減などに取り組む「緩和」だ。この地球温暖化の「根本治療」とも言える緩和策の現状を探った。

(気候変動取材班)

過去80万年で最大水準

大気中濃度

 省エネ活動や再生可能エネルギーの拡大による温室効果ガスの排出削減、植林などによる吸収で、大気中のガスの濃度を抑えていく緩和策。その取り組みは急を要する状況だ。

 現在の大気中濃度について、世界の科学者らがまとめた国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書(2013~14年)は「少なくとも過去80万年間で前例のない水準にまで増加した」と指摘。CO2の累積排出量と世界平均気温の変化量は、比例関係にあることも記した。

 18世紀の産業革命以降、石炭や石油などの化石燃料を大量に使うようになり、排出量が増え続けた。現在、CO2の平均濃度は産業革命以前に比べ、1・4倍を超える約400ppm(1ppmは100万分の1)に達している。

 

 

 CO2などの温室効果ガスは太陽からの光によって暖まった地表から放射される熱を吸収し、大気を暖める。いま、地球の地表の平均気温は約14度だが、もし温室効果ガスがなければ氷点下19度程度とみられる。このため、多くの生物にとって必要な存在でもある。

 ただ、人間の活動によって急激に濃度が高まり、世界の平均気温は産業革命以前に比べ約1度上昇。自然災害などさまざまな影響が出始めている。影響をなるべく抑えるため、各国は気温の上昇幅を2度未満、できれば1・5度未満に抑えることを目指している。

 現在は10年間で0・2度のペースで上昇している。IPCCは昨秋の特別報告書で、2度までに抑えるためには2075年前後に、1・5度なら50年前後に、それぞれ温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする必要性を示した。

 1・5度に抑える四つのモデルも示したが、いずれのモデルも30年には石炭によるエネルギー使用が10年比で59~78%減と大幅に削減することが条件。さらに50年には再生可能エネルギーが電力の63~81%を占める必要がある。将来の大規模なCO2の除去・貯留技術も見込むモデルもある。