石炭火力依存 脱却を

気象ネットワーク 桃井貴子さん

英仏はゼロ方針 日本「相当遅れている」

 環境NGO「気候ネットワーク」で温室効果ガス排出量の分析を担当している桃井貴子(ももいたかこ)東京事務所長に国内の現状と課題を聞いた。

 -排出量の分析から何が見えてきますか。

 

 「例年130から150ほどの事業所が日本全体の約50%を排出しています。中でも大きいのが発電所と鉄鋼業。特に火力発電所は全体の3割を占め、その半分が石炭火力からです。石炭が非常に大きな位置付けを占めているのが日本の特徴。気候変動対策では、まず石炭依存の構造からの脱却が必要です」

 -他の先進国は。

 「温暖化対策として真っ先に石炭をやめていこうとしている先進国は多い。例えば英国では2025年まで、フランスでは21年までに、それぞれ石炭火力をゼロにする方針を示しています。石炭産業への融資をしないとか、投資を引き揚げるといった海外の金融業界の動きも、こうした流れに拍車を掛けています」

 -日本は遅れている。

 「相当遅れています。石炭火力の新設計画は今なお30基ほどあります。現状では石炭の価格が安いことや、政府のエネルギー計画で石炭火力をベースロード電源として位置付けている状況が背景にあります」

 -日本の排出削減目標は30年度までに13年度比で26%減、50年までに80%減となっています。

 「目標自体が甘いのですが、石炭火力がどんどん建っていく現状ではそれも達成できない可能性があります。CO2排出量を減らすなら、一番手を付けやすく最も効果があるのは太陽光や風力などの再生可能エネルギーへの転換。中期的には天然ガスの火力発電で補いながら、再生エネをメインとする仕組みに切り替えていく必要があります」

 -気候変動への適応策についてはどう考えますか。

 「昨秋、IPCCが公表した特別報告書によると、世界の平均気温が1・5度上がっただけでも相当深刻なリスクがある。でも、温室効果ガスの排出を減らす緩和策が全然取られなければ、1・5度のレベルにはとどまらず、適応自体ができなくなってしまう。結局、最大の適応策は、緩和策だと思っています」