企業のトップらが脱炭素社会への取り組みの必要性を訴えた「気候変動アクション日本サミット」=2018年10月、都内

 「気候変動は、今そこにある危機だ」

 昨年10月、東京都内であったシンポジウム「気候変動アクション日本サミット」。地球温暖化対策に積極的な企業や自治体のトップらが一堂に集い、日本の対策強化への機運を高めた。

 運営を担った団体の一つが、脱炭素社会を目指す企業グループ「日本気候リーダーズ・パートナーシップ」(JCLP)だ。

 「志を一緒にする仲間が欲しい」。壇上でそう呼び掛けたのは、流通大手イオンの執行役三宅香(みやけかおり)さん(50)。現在、JCLPの共同代表を務める。民間企業の立場から、大きな流れをつくろうとしている。

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 JCLPは2009年に発足した。加盟企業は事務機器、住宅メーカー、流通など多業種の国内大手をはじめ100を超える。再生可能エネルギーの拡大など気候変動対策に関する政策提言などを行っている。

 活動の背景の一つが、海外との意識の差への危機感だ。海外では、企業の脱炭素の取り組みが投資対象の判断基準になったり、取引の条件になったりするなど、気候変動対策はビジネスの現場に浸透しつつある。このままでは日本企業は世界の潮流に取り残されてしまう。

 一方、加盟企業の多くはエネルギーの需要側でもある。三宅さんは「例えば、買う側が皆で『再生エネの電気が欲しい』と声を出す必要がある。多くの企業が一緒に動かないと現状は変わらない」と訴える。

 イオンもグループで国内の電力の1%を消費する。昨春、30年までに店舗で排出する二酸化炭素(CO2)を10年比で35%減とし、「50年までにゼロにする」などのビジョンを公表した。県内でも小山店やコンビニのミニストップなど計21店舗に太陽光パネルを設置。「30年の目標に向け、細かい省エネの計算を積み上げています」と、三宅さんは明かした。

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 CO2の排出企業は訴訟リスクを抱え始めている。

 「国は石炭火力の新設を止めて!」

 5月27日、東京地裁前で横断幕が揺れた。神奈川県横須賀市に建設予定の石炭火力発電所について、事業者の環境影響評価手続きに不備があり、国が評価書を認めたのは違法として、住民らが国に判断取り消しを求める訴訟を起こした。

 国内では神戸市や仙台市でも、石炭火力を巡る訴訟が起こされている。

 神戸市では住民らが昨年9月、建設を進める企業などを相手に、建設差し止めを求めて提訴した。住民らは発電所の稼働で、「持続的に健康で平穏に生活する権利」や「安定した気候を享受する権利」が侵害されると主張。企業側は「原告らの請求に理由はない」としている。

 「持続可能な社会を目指すなら、石炭火力はすぐにでも止めるべきだ」。横須賀訴訟の原告団の代表を務める鈴木陸郎(すずきりくろう)さん(77)は訴える。「それが若い世代の将来のために、私たちができる最大の事です」