駐車場に敷かれている遮熱性舗装。通常の舗装(奥の色が濃い部分)に比べ、路面温度上昇を抑えるという=1月下旬、下野市柴のニチレキ技術研究所

 下野市柴にある舗装材料製造・販売企業「ニチレキ」(本社・東京都千代田区)の技術研究所。その駐車場には、ある技術が用いられている。

 「一般舗装の路面は65度にもなった。普通では見たこともない温度。遮熱性舗装の方は51度だった」

 路面温度を表示するモニターの前で、研究所の黄木秀実(おうきひでみ)次長は、猛暑に襲われた昨夏を振り返った。

 路面表層の隙間に保水材を詰め、雨などで保水した水分の蒸発で路面を冷やす「保水性舗装」。特殊な塗料で光を反射させ、熱吸収を防ぐ「遮熱性舗装」。

 ヒートアイランド対策などを目的に同社は約15年前から、路面温度の上昇を抑える技術の開発を進めてきた。その技術は、歩行者でも通常の舗装との違いを体感できるほどという。

 2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、選手の負担軽減を図るためマラソンコースなどで導入が進んでいる。ヒートアイランド対策も踏まえ、都の整備は約136キロに上り、同社が一部を担う。一方で本県も含め全国では、利用が少ないのが実情だ。

 同社の現在の舗装技術は3世代目に当たる。「路面温度を下げる効果や耐久性もまだ改良の余地はある」。黄木次長は、さらなる進化を見据える。

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 「真夏でもプール遊びの中止はなく、日焼けを防ぐTシャツもほとんどいらなかったのよ」。横浜市都筑区にある「大熊保育園」の角田啓子(つのだけいこ)園長(56)は「フラクタル日よけ」の効果を実感している。おととし1、2歳児が水遊びをするテラスに設置した。

 約5・5メートル×3・5メートルの大きさの屋根があり、その屋根に木の葉のような形をした樹脂製の小片が幾何学的に並ぶ。日よけ自体の蓄熱を抑え、木漏れ日のような日差しが入るよう計算されている。

 自然の樹木をヒントにしたというこの日よけは、県内では東北自動車道の矢板北パーキングエリアに設けられている。

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 地球温暖化対策に積極的に取り組む横浜市。16年7月に横浜赤レンガ倉庫でフラクタル日よけの効果を調べ、日なたより地面の表面温度が9度低かったことなどを確認した。

 このほか、窓に入る直射日光を地面方向ではなく上空に反射する「熱線再帰フィルム」など、企業が開発した暑さ対策の新技術に目を向け、市内で効果を検証している。

 市環境科学研究所の百瀬英雄(ももせひでお)所長は、暑さ対策は「日進月歩」だと感じている。そのため「アンテナを高く張って情報を入手するようにしている」と話す。

 フラクタル日よけは、京都大の酒井敏(さかいさとし)教授が開発し、企業が商品化した。酒井教授は「温暖化に対し悲愴(ひそう)感ではなく、『何とかしなくちゃな』と前向きに対応する姿勢が重要」と語る。気候変動は技術の進化の契機でもあると捉えている。