上野(かみつけ)の 佐野の茎立(くくたち) 折りはやし あれは待たむえ 今年来ずとも

−佐野の菜を料理して、私はいつまでも待っています。たとえあなたが今年いらっしゃらなくても−

 古くは万葉集に「佐野の茎立」として登場する、佐野市特産のかき菜。佐野市を中心に、両毛地区で古くから栽培されている伝統的な野菜です。アブラナ科の菜の花の仲間で、栄養もたっぷり。厳しい冬の寒さに耐え、甘みを増しながら春を迎えるため、「春を呼ぶ野菜」として親しまれています。

  シャキッとした食べ応えと、ほのかな苦みとくせのない甘みがあります。また栄養価も高く、カルシウムはホウレン草の約3倍、ビタミンA、C、葉酸などを含んでいる、健康野菜です。

▽30年かけ人気野菜に

 JA佐野では1986年に「かき菜部会」を創設し、地域を代表する農作物として育てあげてきました。赤城山から吹き下ろす上州空っ風にも負けず、約70人の部会員が今まさに収穫のピークを迎えています。宇都宮をはじめ東京、横浜などに出荷されています。2003年に栃木県農産物マーケティング協会の「とちぎ地域ブランド」に認定され、現在は佐野ブランド認証品にも指定され、佐野市の誇る、人気野菜に成長しました。

 20年余り、かき菜生産に携わってきたJA佐野かき菜部会の新井峯二(あらいみねじ)部会長(76)=佐野市高橋町=は「今年は暖冬で例年より成長も早く、出荷量も期待できそうです。これからどんどんおいしいかき菜が店頭に並びますので、ぜひ手に取ってください」と期待を寄せます。かき菜は例年、5月のゴールデンウイーク前まで出荷されています。

▽産地の力を守る

 佐野市のかき菜は、洋種ナタネの在来種の中から選び抜かれた優良品種が主力とされています。しかし、露地栽培のため、ミツバチなどにより、他のアブラナ科植物(からし菜など)と種が交雑してしまう恐れがありました。そのため、7年前から、種取り用のかき菜は、別の場所に栽培し、ネットで防護するなど種が交雑しないように対策を取っています。この成果が表れ、近年ではより高いレベルで品質の安定化が図れています。これにより佐野の特産品としてのブランド力アップと、産地の力の維持につながっています。

 かき菜の名前は、芯芽、脇芽を手でかき取って収穫することに由来しているともいわれています。作業は比較的楽なため高齢者でも可能で、毎年、定年退職後に「かき菜を始めてみよう」と部会に加入する人もいて、新規就農者の受け皿としても期待されています。新井部会長は「多くの人にかき菜作りに加わってもらい、生産量を増やせれば。産地の力がより強いものになれば、生産者全体にプラスになります」と、新たな仲間の参入に期待を寄せていました。

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • かき菜の品種

    ナバナ、芯切菜、宮内菜、ふゆ菜などの呼び名がある。近隣の群馬県太田市などでは宮内菜や芯切菜が主に栽培されており、佐野市のかき菜は洋種ナタネの在来種を選抜したものと考えられている。

  • おいしいかき菜の選び方

    茎の切り口がみずみずしく、葉は張りがあり、中心部まで緑色の濃いものを選ぶ。すぐに調理しない場合、新聞紙か湿らせたキッチンペーパーに軽く包み、冷蔵庫の野菜室に葉を上に立てて保存する。

  • かき菜の栄養

    カロテン(ビタミンAの元になるもの)、ビタミンC、ビタミンB1・B2、鉄分、カルシウムなどを豊富に含んでいる。栄養価はホウレン草や小松菜を上回る。


次代を担う/JAなすのカーネーション部会事務局長
鈴木昌人(すずきまさと)さん(38)/成長に適した環境整える

 実家が農業を営んでいたので、幼いころから農業を身近に感じていました。中学のころから家業である花の仕事を手伝うことが増え、その時には跡を継ぐことを自然な事だと考えていました。高校進学も将来の就農を考えて那須拓陽高校を選び、その後、20歳で実家に就農しました。現在はカーネーションを栽培しています。

 カーネーションの需要が最も伸びるのは母の日の前後ですが、暖かい日が増えるこの時期も、どんどん成長していくので収穫に忙しい日が続きます。日が昇ったらすぐに作業を始めなければ、成長に収穫が追い付かなくなる日も出てきてしまいます。より良い物を皆さんにお届けできるようにと、日々作業しています。

 18年ほどカーネーション作りに携わっていますが、最近は異常気象などにより、以前と同様のやり方では栽培が難しいと感じることもあります。これまでのデータに頼り過ぎず、カーネーションが育ちやすいように、しっかりと現在の状況に目をやり、環境を整えることがとても重要になってきているように思います。


ようこそJAへ/JAなすの/ニーズに応える多様な活動

 JAなすのでは、地域の皆さまのさまざまな願いやニーズを実現していくために、「JAくらしの活動」として、親子農業体験教室「なっちゃんクラブ」、地域の高齢者に1日楽しく過ごしていただく「ミニデイサービス」、60歳以上の男性限定で山野草の寄せ植えやそば打ち体験などの講座を行う「男の居場所講座」、初心者の方でも野菜作りを楽しく学べる「彩菜農業塾」、家庭雑誌「家の光」を活用してくらしに役立つ講習を行う「家の光あいとスクール」、女性対象の講座「きらきらセミナー」、趣味を楽しむ「フラワーデザイン教室」などを開設しています。

 JAなすの管内(大田原市・那須塩原市・那須町)にお住まいの方ならどなたでも受講することができます。ご興味のある方はぜひお問い合わせください。 これからもJAなすのは豊かなくらしをサポートし、地域になくてはならないJAを目指します。

  問い合わせはJAなすの経済部生活福祉課電話0287・62・5873まで。

[写真説明]寒風の中、収穫に精を出す新井峯二部会長。「これからがまさに旬。おいしいかき菜をたくさん出荷します」と笑顔を見せる=佐野市高橋町

[写真説明]安定した収量を確保するために、ビニールをかけ温度管理をする新井部会長のかき菜畑

[写真説明]鈴木昌人さん