ルビーのように輝く赤色に、豊かな甘みとみずみずしさ。生で食べても、ケーキなどスイーツに用いてもおいしいイチゴは、子どもから大人まで幅広く愛されています。冬の豊富な日照ときれいな水、そして肥沃(ひよく)な大地に恵まれた本県の自然環境は、イチゴの生育に大変適していて、収穫量は47年連続日本一を誇り「イチゴ王国」と呼ばれています。本県を代表する農産物のイチゴは、生産者と行政、農業団体が一丸となったたゆまぬ努力で、産出額も19年連続日本一、作付面積でも14年連続日本一と、その王座を不動のものとしています。

 本県のイチゴの中でも、1996年に県農業試験場で生まれた「とちおとめ」は、鮮やかな赤色と形の良さ、食味の良さで、本県のエースにとどまらず、日本を代表する人気品種となっています。さらに本県では2012年に登場した新品種の「スカイベリー」や、四季を問わず花を咲かせ実を付けることができる「とちひとみ」、夏秋に収穫できる「なつおとめ」と品種も増え、王国を支えています。

▽細心の注意で収穫

 出荷シーズンを迎えているJA足利いちご部会の嶋田雅幸(しまだまさゆき)さん(52)=足利市稲岡町=のハウスを訪ねると、甘い香りが漂う中、白い花から花へと受粉を手助けしてくれるミツバチが忙しく飛び回っていました。ハウス内は昼は約28度、夜は約8度ほどの室温に管理されます。この昼夜の寒暖差がイチゴに甘味と適度な酸味を与えます。嶋田さんは「この時期は温度管理が大変重要です。葉の色や艶、厚みなどを見ながら調整します」と話します。

 イチゴは大変デリケートな作物で、高い温度やちょっとした圧力ですぐに傷んでしまいます。そのため収穫には細心の注意を払っているそうです。気温が上がるとイチゴの表面の皮が軟弱になり収穫時に傷みやすくなるので、早朝から収穫を始め、午前9時ごろまでには収穫を終えます。繁忙期には日の出前から作業に当たることもあるそうです。「消費者の皆さんが食卓で喜んで食べてくれている姿を想像すると幸せな気持ちになり、早朝からの作業もつらくはありません」と嶋田さんは笑顔を浮かべます。

▽生産者減少が課題

 模範的な農業経営や青年農業者の育成などに取り組む人が認定される「県農業士」でもある嶋田さんが危ぐしているのが生産者の減少。「足利は以前は200軒以上の生産者がいましたが、今は40軒ほどです。産地の力を失わないためにも、後継者の育成、新規就農者の確保が重要となってきています。イチゴ作りは奥が深く、自分が手を掛けただけおいしくなるというやりがいもあります。多くの人に、イチゴ栽培の仲間に加わってほしいと願っていますし、地域を挙げて手助けをしたいと思っています」と期待を寄せていました。

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • イチゴの歴史

    約200年前にオランダで交配されたイチゴがルーツ。日本には江戸時代末期、オランダから長崎に伝来した。本県で栽培が始まったのは大正時代ごろからだが、昭和20~30年代にかけて県内各地に栽培が広がった。

  • おいしいイチゴの選び方

    ヘタが青々としてみずみずしいものを選ぶ。赤い色が均一で色が鮮やかなもの、ツヤがあるものが良品。パック入りのイチゴは下から状態をチェックし、果汁がしみ出していたり果肉がつぶれているものは避ける。

  • イチゴのおいしい食べ方

    イチゴはヘタ側よりも先端の方が甘いので、ヘタ側から食べ最後に先端を食べた方がより濃い甘みを後味に残すことができる。洗う前にヘタを取ると切り取った部分から水が入り込んで果肉が水っぽくなるので、ヘタは食べる直前に取る。


次代を担う/JAしおのや
村上尚成(むらかみひさなり)さん(24)/地域に貢献できる農家に

 大学卒業後1年間、JAしおのやの「新規就農者育成研修事業」を受講し、昨年4月に母の実家で就農しました。幼いころから農業を営む祖父母の姿を見ていたので、「将来は農業をやりたい」という思いが自然と生まれたようです。宇都宮白楊高校、宇都宮大学農学部と進み今に至ります。

 農業後継者がいなかった母の実家でしたので就農に当たって祖父母は大変喜んでくれましたが、自分としては「半端な気持ちでは結果も出せないし、祖父母にも失礼になる」と考え、祖父母の養子となり姓も旧姓の阿久津(あくつ)から母方の姓へと変えました。村上家の一員として、先代たちが守ってきてくれた土地や信頼を、自分も大切にしていきたいと強く思います。

 現在は祖父昭夫(てるお)から学びながら、コメを中心に営農しています。いろいろと挑戦したい事はありますが、まずは腰を据えてしっかりとコメ作りを学びたいと思っています。

 農業を取り巻く環境は厳しいですが、価値ある作物を作っていけばチャンスもあるのではと感じています。若手らしくさまざまな事を学び、ゆくゆくは地域に貢献できる農家となりたいです。


ようこそJAへ/JAしおのや/「組合員の学習室」を定期開催

 JAしおのやは「みんなの身近なJA」として親しんでいただけるよう、地域の皆さまとの接点づくり、JAのファンづくりへ向けて定期的に「組合員の学習室」を開いています。組合員だけでなく、管内(矢板市、塩谷町、さくら市、高根沢町)の地域の皆さまも参加が可能です。毎回農業や生活などをテーマに、地域の学習の場として好評を得ています。

 今回の学習室は、2月9日(火)に「野菜の栽培講習会」を開催します。JAの園芸担当職員が代表的な春まき野菜の栽培ポイントを紹介。カネコ種苗による春野菜の栽培講習会も行います。開催場所は、JA矢板支店3階大会議室(矢板市本町126)。開催時間は午後2時から4時まで。募集人数は60人です。参加者には野菜の種子をプレゼント。家庭菜園の方も大歓迎です。

 今後は、管内の農畜産物を味わう地産地消イベントや、JAの施設巡りなどを予定しています。問い合わせ、申し込みはJAしおのや総務課電話028・681・7555まで。

[写真説明]「おいしいイチゴを皆さんの食卓に届けられるように、心を込めて育てています」と話す嶋田さん

[写真説明]イチゴのパック詰め作業

[写真説明]村上尚成さん