本格的な夏を待ちきれず、宇都宮市内ではビアガーデンもオープンしました。仕事上がりに飲む一杯に、至福の喜びを感じる方も多いのでは。本県はビールの原料となる二条大麦の収穫量が全国トップクラスを誇ります。二条大麦は長く繊細な芒(のぎ)を持っているので、穂が出た後の麦畑は黄金色に輝き、風が通り過ぎると、穂が風の通り道にそってなびく美しい景色を見せてくれます。

▽二毛作盛んな県南

 県内の二条大麦の収穫量は、農林水産統計によると2014年は佐賀県に次ぐ全国第2位でした。県内の二条大麦生産は旧岩舟町で始まったとされ、その後県内各地に拡大しました。大手ビールメーカーとの契約に基づく生産は1906年から続けられています。

 県内では二条大麦だけでなく小麦、六条大麦なども栽培され、全国でも有数の麦の生産地となっています。県南部の小山市、栃木市などの二毛作地帯を中心に、県内全域で作付けされています。二条大麦のうち、ビール原料としての受渡量は、1985(昭和60)年産以降30年連続全国第1位です。大手ビールメーカーが、本県産二条大麦に支えられているといっても過言ではありません。

 30年余にわたり二条大麦を栽培しているJAおやま耕種部会の福田登志夫(ふくだとしお)会長(62)=小山市間中=は、二条大麦とコメ、大豆の二毛作を行っています。毎年11月中旬ごろ、コメや大豆を収穫した後の田に麦をまき、翌年の5月下旬から6月上旬にかけて収穫します。

▽品質向上に日々努力

 福田会長は「ビール麦の一大産地として、プライドとやりがいを感じて仕事をしています」と胸を張ります。ビール醸造には高い品質の麦が要求されることから、本県産のビール麦の品質の良さがうかがい知れます。「良い麦を作ることでビールの品質向上に貢献できればと、日々、力を注いでいます」と福田会長の言葉からも、有力産地の生産者としての自負が伝わってきます。

 気象条件が麦の生育に適し全国でも有数の産地である本県ですが、昨年は天候不順で大打撃を受けました。収穫直前の5月に長雨と高温の影響で、収穫前に穂についたままの実から発芽する「穂発芽」が発生し、二条大麦、六条大麦などの被害額は県内全体で23億円にも達しました。幸い福田会長の麦には大きな影響はありませんでしたが、「天候に大きく左右される作物なので、収穫のその時まで気は抜けません」と話します。

 収穫まで残り2週間余り。今年はこれまで順調に育ってきています。「皆さんの手元においしいビールが届くように、良い麦を出荷できるようにと願っています」と福田会長は、いとおしそうに風に踊る麦を見つめていました。

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • 小麦と大麦の違い

    同じイネ科コムギ属だが、作物分類上は全く別。大麦にはグルテンが含まれておらず、小麦は大麦ほど吸水率が良くない。パンには小麦、麦ご飯用は大麦が向いている。また大麦には二条、六条があり穂が2列のものが二条で、六条は穂が6列、上から見ると6角形になる。

  • ビールの起源

    紀元前3500年~3千年頃(メソポタミア文明の時代)が発祥というのが定説。一説には紀元前7千年ごろから作られていたのではないかともいわれている。

  • ビールの定義

    日本ではビールの定義は酒税法で「麦芽、ホップ、水及び米その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの」とされ、原料全体に占める麦芽使用率が3分の2以上と定められている。

次代を担う/JAなす南/青年部なかがわ支部副支部長/
大野博康(おおのひろやす)さん(28)/出会い大切に 農業PR

 ナシ農家の長男に生まれ、幼いころから農作業に携わっていました。家業を継ぐことは自然な流れで、栃木県農業大学校園芸科果樹コースに進みました。卒業後、農業以外の世界も知りたくて一般企業に就職し、2年間営業職として働きました。今、その経験がとても生きています。

 ナシに加えニンジン、洋野菜などを栽培しています。それらの野菜は営業職の経験を生かし、自らレストランに売り込みに行き、販路を拡大しました。宇都宮市内などの複数のレストランと年間を通じて取引ができるようになりました。シェフの皆さんから直接要望を聞く事ができるのは、とても貴重で、野菜作りにも大変参考になります。

 農業をより多くの人に知ってもらいたいという思いから、若手農業者が集まり「カッシナーレ」というチームを立ち上げ、農地見学ツアーなどの企画も展開しています。

 多くの方々との出会いを通して、さまざまな企画ができるようになりました。家業をしっかりと守るとともに、地域を、農業を盛り上げていきたいです。


ようこそJAへ/JAなす南/JAを通して仲間づくり

 JAなす南は、JAくらしの活動の一環として、アグリセミナーやウオーキング大会に取り組んでいます。

 アグリセミナーは地域の女性農業者や新規就農者が主な対象で、「農業の基本が学べる」と人気があり、年々回数を増やし本年度は4回を予定しています。昨年度は、カボチャの整枝剪定(せんてい)やナスの切り戻し剪定など、専門の生産者から栽培管理方法を学びました。本年度の第1回は5月23日。専門の生産者から夏野菜の育て方について学びます。第2回は6月13日に安全な農業機械の使い方講習会を行う予定です。

 また、10月にはJAなす南が主催するウオーキング大会を予定しています。「JA健康寿命100歳」を掲げ、地域住民の健康づくりを担っています。地域の景観を楽しみながら歩くことができると、参加者からはとても好評。昨年は那須烏山市内の観光名所を巡る2コースを用意し、あいにくの雨でしたが128人の参加がありました。参加費用は無料で、今年は9月頃から参加者を募る予定です。

[写真説明]「茎が太く、穂が大きいのが良いビール麦です」と語る福田会長

[写真説明]穂が2列になるのが特徴の二条大麦

[写真説明]大野博康さん