本県は、イチゴの収穫量45年連続日本一を誇る「いちご王国」。そして、その名を全国にとどろかせてきた県産イチゴ「女峰」や「とちおとめ」に続く新たなスター候補が、「スカイベリー」です。県農業試験場が17年もの歳月をかけて開発したオリジナル品種で、2014年産(13年冬~14年春)は県内各地の約100戸で実証栽培が行われています。

 その果実は、極めて大粒で、25グラム(3L)以上の割合が全体の約3分の2を占め、そろいが良いのも特徴です。果形はきれいな円すい形、色鮮やかで光沢があります。収量が多く、糖度と酸度のバランス、耐病性にも優れているとされます。

 「栽培は始まったばかりですが、酸味が少なく、上品でジューシーな甘さが、特にお子さんや女性に人気ですね」

 13年産から実証栽培しているJA佐野の「苺部会」副部会長の小(こ)林(ばやし)秀(ひで)男(お)さん(60)=佐野市飯田町=は、そう言って快活に笑います。14年産については、同部会の全会員84人のうち11人が手掛けており、全作付面積は約61アール。その4割近い約23アールを栽培しているのが小林さんです。

▽温度管理などに課題

 小林さんは、低コスト耐候性ハウスを活用し、地面より高い位置で栽培する「高設栽培」を行っています。食味を含めた品質の良さに定評があり、県やJA全農とちぎから「優良事例圃(ほ)場」に選ばれたほどです。しかし、そんな小林さんでさえ「とちおとめと比べて、温度や肥料などの管理に難しい面があります」と打ち明けます。

 新品種のため栽培特性の知見がまだ浅く、全県的に甘味のばらつきや、まだら果の発生などの課題が指摘されています。そうした現状を踏まえつつ、小林さんは「来年冬からの本格販売に向けて、そうしたロスをいかに少なくするかが勝負。ロスさえなければ本当に魅力的なイチゴですから」と意欲的です。

 14年産は11月、東京都中央卸売市場大田市場での初売りで最上級規格に「1パック1万円」という高値が付きました。ただ、まだ栽培数自体が少なく、入手は困難な状況となっています。

▽海外展開も見据える

 JA佐野で担当する荒川(あらかわ)博行(ひろゆき)さんは「佐野では、スカイベリーの作付面積が昨年の3倍強に増えています。将来の海外展開を見据え、昨年から空輸による傷み具合を調べる試験も行われており、今後が非常に楽しみです」と期待します。小林さんも「いずれは世界中の人に味わってもらいたいですね」と夢を膨らませています。

 現在、出荷がピークを迎えている県産イチゴの堂々たるエースは、とちおとめです。しかし、スカイベリーという大型ルーキーが、国内のみならず、世界を舞台に輝く日もそう遠くはないかもしれません。

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • スカイベリーの名称の由来
    全国から応募があった4388点の中から決定し、2012年9月7日に商標登録された。この名称には「大きさ、美しさ、おいしさ」のすべてが大空に届くような素晴らしいイチゴとの意味が込められ、本県の百名山の一つ「皇(す)海(かい)山(さん)」にもちなんでいるという。

  • その他の県産イチゴ
    かつて県産イチゴの主力だった「女峰」は、県農業試験場が麗紅イチゴに代わる品種として1985年に開発。「とちおとめ」は、その女峰の後継品種として96年に同試験場で生まれた。女峰の特性である形の良さや色の鮮やかさを受け継ぎながらも、粒の大きさ、甘み、果肉の軟らかさなど1ランク上のおいしさを実現。現在、日本を代表する人気品種として定着している。


ようこそJAへ/JAしもつけ/親子で食と農体験を

 JAしもつけでは、子どもたちに農業を通じて食の大切さを学んでもらおうと「あぐり親子うきうきクラブ」を開講しています。本年度は乳搾り体験やアイスクリーム作り、サツマイモや苺の収穫体験、ケーキ作り・もちつき体験などを行いました。8メートルの長い太巻き寿司を作り上げた時は、会場が熱気に包まれました。平成26年度も下記の内容で開講します。親子で参加しませんか!

【対象】栃木市<西方町除く>・壬生町・岩舟町在住の3歳以上の園児と小学生親子

【費用】大人1名2千円・子供1名1千円

【実施回数】全4回(土曜・日曜・祝日に実施)

【実施内容】第1回=5月(トウモロコシ・枝豆)定植・イチゴ収穫 第2回=7月(トウモロコシ・枝豆)収穫 第3回=9月 ナシ収穫・梨パイ作り 第4回=11月 ケーキ寿司作り

【募集人数】親子20組(初参加の方優先)

【応募締め切り】平成26年1月31日(金)

【連絡先】JAしもつけ 企画総務部組織広報課電話0282・24・1180

 

次代を担う/JAしもつけ/「にくうし蔵楽部」リーダー/田村保則(たむらやすのり)さん(37)/愛情込め試行錯誤の毎日

 

 今年2月に地域の肥育農家の若手後継者7人で互いに切磋琢磨(せっさたくま)していくための勉強会「にくうし蔵楽部(くらぶ)」を結成しました。現在、牛にミネラルを与え続けることでどのような好影響が出るかというプロジェクトに取り組んでいて、結果の出る2年後を楽しみにしています。個人としても、サトウキビの搾りかすの粗飼料バイオバガスを与えるなど、試行錯誤しながら愛情を込めて牛を育てています。

 就農して15年目。肥育には、さまざまな知恵と工夫を凝らした「小技」が多くあることや、その大切さがようやく分かってきました。子どものころから、働くおやじの背中を見て、この仕事をやることが自分の運命だと思っていました。挑戦するからには、全国肉牛共進会でトップをとれる牛を育てたいですね。


[写真説明]スカイベリーを「高設栽培」している小林さん
[写真説明]スカイベリーの出荷作業
[写真説明]田村保則さん