県農業試験場で1996年に誕生したナシの「にっこり」。本県が誇る国際観光地の「日光」と、ナシの音読み「リ」を合わせてそう名付けられました。高糖度でジューシーな味わいや、大きなものでは重さ1・3キログラムを超える大玉であること、日持ちがよいことから、お歳暮などの贈答品としても人気があります。贈られた人が思わず笑顔になるのは「名は体を表す」の好例かもしれません。

 ▽一番手間かかる品種

 「シーズンを締めくくるナシなので、気持ちを込めて出荷しています。大きくておいしいにっこりを家族みんなで仲良く食べていただきたいですね」

 JAなす南の大(おお)野(の)博康(ひろやす)さん(27)=那須烏山市大桶=は、就農5年目。父親の耕一(こういち)さん(58)と共にナシ栽培を手掛け、8月から11月にかけて「幸水」「豊水」「あきづき」「にっこり」を出荷しているほか、「かおり」「あきあかり」の直売所販売、庭先販売も行っています。

 多彩な品種の中で、開花が最も早く、収穫が最も遅いにっこりは「開花からの期間が長く、栽培に一番手間がかかる」そうです。果実が過熟や急激な吸水などの原因で割れる「裂果」を防ぎ、特徴である大きくて真ん丸の果実を数多く結実させるためには、余分な果実を間引く「摘果」をいかに効果的に実施できるかがカギと強調します。

 ▽凍霜害で収穫量減

  特に今年は開花時期の4月中下旬に県内16市町のナシ農家が深刻な凍霜害に見舞われ、大野さんもその対策に追われました。ほかの農家と同様、収穫量は例年よりダウンしましたが、「味については高糖度で食感の良いものができました」とホッとした様子でした。

 本県は全国屈指のナシ生産県で、都道府県別出荷量は千葉、茨城に次ぐ第3位(2012年)です。生産者がナシの加工、販売まで手掛ける「6次産業化」の取り組みも進んでおり、制度優遇がある国の認定事業にナシを使った万能タレやサイダーなどが認定を受けています。

 実は大野さんもその一人です。今年5月、ナシを使った「漬けダレ、ドレッシングの加工食品販売」で認定されました。当初は今年の収穫分で加工をスタートさせる予定でしたが、凍霜害の影響で来年以降に持ち越しとなりました。

 「加工をやるのは栄養士免許を持つ母(光(みつ)子(こ)さん)の長年の夢なので、今年中に実現したかったのですが…」。そう言って残念そうな表情をつくった大野さんですが、すぐに意欲満々の笑顔に変わりました。
「独特の食感を生かし、だれもが笑顔になれる商品を一日も早く開発したいです」

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • 日本でのナシの歴史 ナシは日本の果物の中でも歴史が古く、弥生時代には既に食べられていたといわれる。日本書紀にも栽培の記述が残っており、江戸時代には品種も増えたとされる。日本ナシには、幸水、豊水などの果皮が茶色い「赤ナシ」系と、二十世紀などの果皮が緑色の「青ナシ」系がある。

  • おいしい「にっこり」の選び方 果実が大きいほど糖度が高い傾向にある。色つやがよく、張りがあって手に持った時に重みを感じる果実を選ぶ。古くなると、果実表面が柔らかくなったり、弾力を感じるようになるので注意。

  • ナシの保存方法 水分が蒸発しないよう、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存する。新鮮で保存状態が良ければ、7~10日間ほどは日持ちする。


ようこそJAへ/JAはが野/JAまつりで交流を

 JAはが野では、組合員相互の親睦や地域住民との交流を深め、地域農業・JAへの理解を高めてもらおうと、JAまつりを実施しています。実りの秋に合わせた「食」にまつわる各コーナーを設け、毎年多くの来場者でにぎわっています。今年で17回目となり、23日には真岡・益子地区、24日は市貝地区で開催します。

 地区ごとに、特色ある催しが盛りだくさん。米消費拡大コーナーでは、益子地区で米のつかみ取り、真岡地区で米とポン菓子の無料配布を行います。農産物の直売コーナーでは新鮮でおいしい農産物を取りそろえております。組合員が参加できる抽選会では、豪華賞品を用意。ほかにも楽しいイベントを用意して、皆さまのご来場をお待ちしております。

〇真岡地区/11月23日午前10時~午後3時/真岡市民運動公園

〇益子地区/11月23日午前9時~午後2時30分/益子町民センター

〇市貝地区/11月24日午前9時~午後2時/市貝町中央公民館グラウンド

 

次代を担う/JAはが野トマト部会青年部/吉澤徹矢(よしざわてつや)さん(27)/真摯な姿勢 着実な歩み

 

  4年前、父と一緒にトマトづくりを始めました。2人とも脱サラでの新規就農で、全くのゼロからのスタートでした。1年目は、地域の大先輩である吉永(よしなが)貴之(たかゆき)さんの下で研修させていただきながら、父と2人で県農業大学校でも学びました。初年度のトマトは東日本大震災で全滅してしまいましたが、2年目から着実に収穫量が伸びているのはうれしいですね。

 どんな仕事もそうかもしれませんが、トマトづくりも手間をかければ、かけただけの結果がついてくるのが魅力です。4年たって、ど素人がようやく素人ぐらいにはなれたかなと感じています。

 それでも、吉永さんらキャリア豊富な大先輩たちがよく「まだまだトマトづくりが分からない」と話しているのを聞くと、この仕事の奥深さを実感します。

 自分も20年後、30年後に先輩たちと同じ真(しん)摯(し)な姿勢でいられるように努力を重ねていきたいと思っています。

[写真説明]「にっこり」の出荷作業をする大野さん
[写真説明]大野さんが愛情を込めて育てた「にっこり」
[写真説明]吉澤徹矢さん