「北関東最大規模の観光農園」とも称される栃木市大平町の「大平町ぶどう団地」は、1973年の完成から今年で40年を迎えました。現在、JAしもつけの大平町ぶどう組合に所属する67戸が、計約63ヘクタールの土地で代表的品種の巨峰をはじめ、デラウエア、ピオーネ、キャンベル・アーリー、マスカット・ベーリーAなど多種多様なブドウを栽培しています。

 ▽多様な栽培法を駆使

 旧大平町でブドウ栽培が始まったのは明治末ごろ。関東ローム層の水はけの良い土壌、年間晴天率の高さ、温暖な気候などの環境条件が栽培に適したとみられます。71年に着工した県営広域農道下都賀西部地区や圃場整備事業によって栽培の規模が拡大され、73年に多数の農家が結集して「ぶどう団地」は完成しました。

 「大平のブドウは、豊かな甘みが特長です。県外のお客さんから『こんなに甘いの初めて』という声をよくいただきますね」。4年前から組合長を務める岩崎勝(いわさきまさる)さん(61)=栃木市大平町西山田、藤野ぶどう園=は、そう言って胸を張ります。

 同組合では、露地栽培のほか、ビニールハウスや屋根部分のみにビニールをかける「雨除け」の活用など多様な栽培方法をとり、収穫時期をずらすことによって多彩な品種の栽培と長期的な出荷を可能としています。また、ほとんどの生産者が団地内の観光ぶどう園で直売を行っており、6月上旬から10月上旬までブドウ狩りが楽しめる観光名所としてもすっかり定着しています。

ハウスと露地で年間22品種を栽培しているという岩崎さんは「さまざまな品種を手掛けることで、いつでもおいしいブドウを提供したい。それが醍醐味(だいごみ)であり、やりがいですね」と柔和な笑みを浮かべます。

 ▽ワイン品種の研究も

  同組合の昨年の総出荷額は約9千万円。約4年前の6千万円台から着実に増えており、今後は「1億円突破」が当面の目標となります。このため最近では、巨峰を使ったワインやジュース、ジャムなど加工用の出荷にも力を入れています。また、若手後継者らでつくる青壮年部で約6年前から取り組んでいるワイン用品種の研究開発が順調に進んでいるのも将来に向けての明るい材料です。

 今月31日にぶどう団地内のかかしの里で開催される「ぶどうまつり」は、巨峰の無料試食や、ぶどう早食い競争など催しが盛りだくさんで、多くの人出が予想されます。岩崎さんは「今年のブドウは例年以上に質が高く、自信を持ってお薦めできる『良作』です。一人でも多くの方に、この独特の甘みを味わっていただきたいですね」と笑顔でPRしていました。

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • おいしいブドウの見分け方 粒につやがあり、張りのよいもの、つるの青いものが新鮮。表皮に付いている白い粉は、農薬ではなく「ブルーム」と呼ばれる果粉。ブドウ自身の水分を保護し、新鮮さを保つ働きがあるため、このブルームがたくさん付いているものを選ぶ。ブドウは一般的に肩(上の方)から甘みがのってくるため、下の方を試食して甘ければその房全体が甘いとされる。

  • 巨峰のルーツ 石原早生とセンテニアルを交配させた日本原産の品種で、1945年に発表され、55年に商標登録された。富士山の雄大な景観にちなんで作出者によって「巨峰」と名付けられたといわれる。ほかの種類と比べて実が大きいことから「ブドウの王様」とも呼ばれる。


ようこそJAへ/JAうつのみや/身近に楽しく自然学習

 JAうつのみやでは、地域の方々を対象に身近で楽しく野菜づくりや果物の収穫など農業や自然学習を体験できる「アグリスクール」を開いています。2013年度は定植から収穫までを一連の活動として行う農業体験など13活動を実施しています。既に7月までに五つの活動が実施されました。その一つである「トマト定植・収穫体験」の参加者からは「植えた苗に実がなって、その実を採ることはうれしくて楽しくおいしかった」との声をいただきました。今後も「さつまいも収穫・干しいも作り体験」などの活動を実施する予定です。各活動の募集や活動内容についてはJAうつのみやホームページで随時案内します。

 現在は「梨収穫体験」の参加者募集を行っています。詳細は以下のとおり。

 続けて「JA各々が抱える課題や地域を取り巻く情勢等を反映した特徴ある3か年計画をJA自らのアイデアと発想をもって作成する」ことの必要性を訴えました。

▼日時 9月29日(日)午前9時半~同11時半(雨天順延)
▼場所 宇都宮市上籠谷町
▼定員 親子20組
▼参加費 1家族1000円
▼締め切り 8月20日(火)
▼応募方法 JAうつのみやホームページ(http://www.jau.or.jp)内アグリスクール参加応募フォームより受付 応募者多数の場合は抽選
▼問い合わせ先 JAうつのみや総合企画室総合企画課電話028(625)3381


次代を担う/JAうつのみや梨専門部研究部 部長/直井紀幸(なおいのりゆき)さん(33)/技術と心の交流 大切に

 

  「梨専門部研究部」は現在、20代~40代の生産者25人がメンバーです。10日ごとにナシの大きさを測って記録する「肥大調査」や技術講習会、先進地視察などを実施して個々のレベルアップに取り組んでいます。農業という仕事を通して一生付き合っていく仲間なので、心の交流を大切にしたいですね。

 

 1年かけてさまざまな品種を手掛けるナシづくりは奥が深く、とてもやりがいがあります。今年は特に春先の霜による被害が深刻だったので、例年以上に情報交換を密にすることで苦境を乗り越え、収穫を迎えることができました。本県を代表する品種の「にっこり」は、販売方法にも工夫の余地があるので、若手全員で力を合わせて全国でのさらなる知名度アップに努めていきます。

 私には5歳と1歳の子どもがいます。ナシだけでなく農業全体を、ほかの分野や産業にひけをとらない健全な姿にして次の世代に引き継ぎたいと強く思っています。

 [写真説明]観光ぶどう園「藤野ぶどう園」で販売の準備をする岩崎さん
 [写真説明]露地栽培のブドウの生育状況をチェックする岩崎さん
 [写真説明]JAうつのみや梨専門部研究部 部長 直井紀幸さん