東日本大震災による風評被害の払(ふっ)拭(しょく)などを目的に、県内各地の「ご当地グルメ」が勢ぞろいした「とちぎ元気グルメまつり」が先月上旬、県庁前広場で開かれました。全36グルメの中で、「かぬま和牛串焼き」(鹿沼市)がグランプリに輝いたほか、「おやま和牛串焼」(小山市)も3位に食い込み、本県を代表する銘柄牛「とちぎ和牛」の人気の高さが際立ちました。

 本県は肉牛飼養頭数が全国6位で、首都圏最大の肉牛肥育の産地として知られています。「とちぎ和牛」は、とちぎ農産物マーケティング協会の承認を受けた指定生産者(253戸)が生産した黒毛和種肥育牛で、日本食肉格付協会の枝肉格付けでA・Bの4級以上に格付けされた枝肉だけに与えられる銘柄です。

 ▽生産者自ら勉強会

 「えさを自家配から組合共通の飼料に切り替えた成果が出始めたのかなと思っています」。「かぬま和牛串焼き」に使われた牛肉を出荷したJAかみつが和牛肥育部長の菅(すが)野谷(のや)悟(さとる)さん(56)=鹿沼市油田町=は、最近の牛の出来栄えに手ごたえを感じている様子でした。

 本県の肥育の特徴は、飼養期間が生後30~31カ月齢と他県と比べて約3カ月も長いこと。これは枝肉重量を大きくして素牛(もとうし)価格を高く設定すると共に、熟成時にあわせてますますうま味の出る枝肉を作ることにも役立っています。

 「昔の和牛は松阪牛に象徴されるように小さくて霜降りのイメージでしたが、今は大きく育てつつサシもしっかり入れる流れになっています。今後さらに牛の栄養に良くて、食い付きもいい飼料を試行錯誤しながら作りあげていく必要があります」と菅野谷さん。和牛肥育部では毎年、JA全農とちぎとJA東日本くみあい飼料の指導者を招いて飼料など肥育飼養全般について勉強会を開き、約20人の部員のレベルアップに努めているそうです。

 ▽プレミアムも登場

 県内生産者にとって昨年は、福島第一原発事故の影響で肉牛の価格が急落し、出荷停止も経験する厳しい一年でした。しかし、とちぎ和牛のさらなる飛躍に向けて明るい材料は少なくありません。

 その一つが、2010年5月に制定されたプレミアムブランド「とちぎ和牛 匠(たくみ)」の登場です。日本食肉格付協会の格付け規格でBMSNO・10以上(A等級のみ)を満たすのが条件で、年間約3500頭認定されるとちぎ和牛の中の約7%という大変貴重な存在です。全農とちぎ肉牛販売課の菊(きく)池(ち)卓(たく)雄(お)課長は「不景気で高級部位が低迷していますが、市場に『匠』が出ると競りでも伸びます。名前負けしていません」と自信をのぞかせます。

 また、最近は県内でとちぎ和牛を夏場などの期間限定でなく、年間を通して定番として扱う店舗が着実に増えているそうです。菊池課長は「県内消費が拡大すれば地盤固めになります。この時季にぴったりな、すき焼きなどを通して、とちぎ和牛のおいしさを多くの人に味わってほしいですね」とPRしています。

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • 本県の銘柄牛 乳用種の雌に黒毛和種の雄を交配して生産された交雑種には「とちぎ霧降高原牛」「日光高原牛」の2銘柄があり、指定生産農家(37戸=2011年3月現在)で肥育されている。

  • 給与飼料 とちぎ和牛については、昨年12月から肥育後期にコメを含む飼料で肥育していることが認定条件に加わった。県産銘柄交雑牛は交雑種肥育用の系統くみあい配合飼料「マーブルシリーズ」を給与することが認定条件。

  • 牛肉パスポート 「とちぎ和牛」「とちぎ霧降高原牛」「日光高原牛」の指定生産農家の枝肉には、個体識別番号、生産地・品種・性別・飼養期間・給与飼料などを掲載した「牛肉パスポート」を発行している。


 コラムオアシス 農業生産法人の設立/組合員の農地を守る

 昨今、日本の農業情勢を取り巻く環境は、少子高齢化の進展や農業従事者の高齢化、後継者不足による担い手の減少等が一段と厳しさを増しています。そういった状況に対処すべく、JAしもつけでは、昨年10月にJA出資による農業生産法人「グリーンファームしもつけ」を設立しました。JAが運営する農業生産法人としては、県内初の試みです。

 「農家組合員の農地はJAが守る」を基本理念として、農地を借り受け、農産物の生産・販売や農作業の受委託を行っています。その際、地域の担い手や集落営農組織等との連携を密に、地域に根ざした農業を実践しています。

 2012年度は、農家50戸から約30ヘクタールを借り受けました。地域農業の維持発展を目指し、現在順調に規模拡大が図られています。組合員から信頼され期待される「グリーンファームしもつけ」にすべく、今後ともその運営に全力で取り組みます。

 TPP交渉参加問題をはじめ、人口減少社会への突入、くらしの不安の拡大、地域社会の活力低下等が懸念される中、JAは組合員の営農と生活を守り、地域農業を振興する使命があり、その達成に向けて役職員一体となり全力で取り組む所存です。

(JAしもつけ代表理事組合長 神永信男)

読者の声 ~10月の紙面から~

 【JAごとに特色】「JAまつり特集」を読み、県内各地それぞれJAまつりがあることを知りました。各JAごとに特色があるみたいなので、いろいろなJAまつりに行ってみたいと思いました。(26歳・女性)

 【一覧表ありがたい】毎年「JAおやま祭り」に行っています。ほかのJAまつりにも行きたいと思っていたところ、一覧表で掲載され、とてもありがたいと思いました。(42歳・女性)

 【国内で生産、消費を】「コラム オアシス」を読み、農業後継者不足が深刻な状況なので、輸入品に頼らず、「国内で生産し、消費者が利用できる対策が必要である」と感じました。(68歳・男性)