食卓におでんなどの鍋物や煮物が多く並ぶ冬場は、こんにゃくが存在感を発揮する季節です。その素朴で淡泊な味わいはどんな料理にもアレンジしやすく、食物繊維が豊富で超低カロリー。かみごたえの強さが満腹感を高める効果もあり、「ダイエット食品」「健康食品」としてすっかり定着しています。

 こんにゃくは、かんぴょうなどと同じ本県の特産物です。2011年度の県内収穫量は2400トンで、これは同5万5400トンと圧倒的トップの群馬県に次ぐ全国2位になっています。こんにゃくづくりには、水はけがよく、日のよく当たる山地が適しているため、茂木町、那珂川町、市貝町、鹿沼市などの山地が生産の中心です。

 ▽台風に細心の注意

 「昔から一に『タネ(芋)』、二に『畑』、三に『管理』と言われ、全部しっかりやらないと駄目。栽培技術で収穫量に大きな差が出ます」。JAはが野こんにゃく部会の部会長を務める中山一位(なかやまかずい)さん(61)=茂木町天子=が、こんにゃくづくりの苦労を話してくれました。

 原料のこんにゃく芋は、ジャガイモなどと同様にタネイモから増やしますが、1年で成長するジャガイモとは違って成長に2~3年が必要となります。現在は収穫時期を迎えていますが、栽培中は高温に弱く、強風で葉に傷が付くだけで病気になってしまうほどデリケートなため、猛暑や台風などへの細心の注意と備えが欠かせないそうです。

 ▽大きい部会の役割

 そうした生産の苦労を乗り越えるために、同部会は大きな役割を果たしています。茂木町内には最盛期に400人超の生産者がいたそうですが、価格低迷や高齢化の影響で現在の部会員はわずか50人。しかし、同町内では過去に中山部会長ら6人が「農林水産大臣賞」に輝くなど個々の栽培技術には定評があります。その高い技術を支えているのが、しっかりとした共販体制と研修システム、そして「団結力の強さ」です。

 中山部会長は「みんなで力を合わせて苦しい時期を乗り越えてきました。高齢化やTPP問題など懸念材料は多いけれど、団結力で頑張っていきたい」と話します。

 一方、こんにゃくのイメージアップに長らく貢献してきたのが、近所に住む元生産者の石崎キヨミ(いしざききよみ)さん(72)です。昭和40年代から、こんにゃくを使ったさまざまなオリジナル料理を開発してきました。こんにゃくに肉などをはさんで油で揚げた「こんにゃくのはさみ揚げ」が料理コンクールで知事賞を受賞したほか、県から「こんにゃく名人」の認定も受けています。

 現在も茂木町や農協の依頼で、若い母親や子ども、高齢者を対象にこんにゃく料理を教えているそうです。その石崎さんが、冬の厳しい寒さも吹き飛ばす熱いエールを送ってくれました。「子どもや若い人たちにこんにゃく好きは多く、まだまだ必要とされる食品。生産者が一生懸命PRすれば、きっと多くの人に魅力が伝わりますよ」

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • こんにゃくの原料 原料の「こんにゃく芋」(こんにゃく玉)はインドシナ半島が原産地。日本には6世紀ごろ、中国から伝わったとされるが、はっきりしたことは分かっていない。

  • こんにゃく芋の種類 日本には古くから栽培されている「在来種」があったが、掛け合わせて品種改良することが難しく、大正時代に中国から「支那種」という種類を輸入することで、より栽培しやすい品種を作ることに成功。この結果、「はるなくろ」「あかぎおおだま」「みやままさり」などの改良種が誕生した。

  • 良いこんにゃくの見分け方 (1)さわって適度に弾力がある(2)水っぽくなく、やわらか過ぎない(3)シコシコとした食感がある(4)煮た場合に小さくなり過ぎない−のポイントを押さえる。


JA栃木県大会を開催/「次代へつなぐ協同」決議

 第29回JA栃木県大会が13日、宇都宮市の県総合文化センターで開かれました。JA大会は、JA組合員の意思を結集し、協同意識の高揚と農業の発展などを目的に3年に1度開催しています。「国際協同組合年」に当たる今年は県内JAの役職員ら約500人が参加。「次代へつなぐ協同」をテーマに掲げ、三つの戦略(1)地域農業戦略(2)地域くらし戦略(3)経営基盤戦略−と、それを具体化・目標化した3か年計画を策定・実践することなど5項目を大会決議として承認しました。

 大会冒頭、JA栃木中央会の髙橋武(たかはしたけし)会長は、正組合員の高齢化による離農者や耕作放棄地の増加と、それに伴う農業生産額の減少、JAの組織基盤・事業基盤の脆弱化が懸念される状況にあると指摘。その上で「われわれが展開してきた『大転換期における新たな協同の創造』の実行経過を踏まえて、新たに『次世代へつなぐ協同』に取り組むこととした」と決意を表明しました。

 続けて「JA各々が抱える課題や地域を取り巻く情勢等を反映した特徴ある3か年計画をJA自らのアイデアと発想をもって作成する」ことの必要性を訴えました。

 表彰式では、「優良組合表彰」として、JAうつのみや(佐久間(さくま)芳昭(よしあき)組合長)に、JA栃木中央会の髙橋会長から表彰状と記念品が贈呈されました。「功労者表彰」「永年勤続表彰」「青年部・女性会表彰」「特別感謝状」の贈呈も行われました。

 「次代へつなぐ協同の実践に関する決議」では、(1)3つの戦略と3か年計画の策定・実践(2)PDCAサイクルを徹底し、経営管理を高度化させる(3)国民理解の醸成に向けた広報活動、農を基軸とした「いのち・くらし・地域」を守る運動を実践する(4)全国のJAや県内の消費者団体、他産業・業界団体等と連携し、TPP交渉参加を断固阻止する(5)東京電力福島原発事故に伴う県産農畜産物の安全安心対策・損害賠償対策を実践し、消費者の信頼確保と生産者の所得確保に努める−の決議を全会一致で承認しました。併せて「TPP交渉参加断固反対と徹底した農政運動の強化に関する特別決議」も承認しました。

 [写真説明]来年用のタネイモの貯蔵準備を進める中山さん(中央)と妻の瑞穂さん(左)、手伝いの中山リツさん
 [写真説明]「こんにゃく名人」の石崎さん
 [写真説明]約500人が参加したJA栃木県大会