特性生かし収穫高向上

 米麦生産に偏った農業構造の改善とともに、農家の経営安定を図ることは、国内農業の将来を考える上で重要な取り組みの一つとなっています。JAグループ栃木でも県内各JAと連携し、さまざまな園芸作物による生産振興を進めています。

 ▽需要安定した品目

 JA全農とちぎは、県産野菜重点5品目の一つでもあるネギ(ほかはトマト、ニラ、ナス、キュウリ)の生産振興の一環として、3年前から「泥付きねぎ」に取り組んでいます。全農とちぎによると泥付きねぎを導入するメリットは、(1)ネギは年間を通して需要が安定した品目(2)むきネギと異なり、皮むき機導入などの初期投資があまり掛からない(3)水稲との作業競合が少ない(4)分けつネギ(株別れして成長する品種・「ニュー西田」)の導入で反収(10アール当たりの収穫高)も高く所得アップも期待できる−などが挙げられます。

 県内JAで最初に取り組んだのはJAはが野ですが、「宮ねぎ」の産地(栃木市宮町)のあるJAしもつけでも、2009年から泥付きねぎの出荷に挑戦しています。

 のどかな田園風景の続く壬生町国谷で、6代前から稲作農家を営む粂川弘(くめかわひろし)さん(78)、長男・利雄(としお)さん(57)親子も、地元のJAしもつけの呼び掛けに応え、2年前から泥付きねぎの生産を始めました。それまで約30アールの農地で米、陸稲だけでなく、ジャガイモなども生産していましたが、「より安定した収益を」と考え、主に陸稲を作付けていた約20アールの畑で栽培しています。

 ▽地力アップに期待

 利雄さんは、9年前に勤めを辞め、父・弘さんとともに2人で農地を守ってきました。「勤めていた頃、農地は父に任せっきり。連作障害の出やすい陸稲のためにも、何か新しい品目を入れて地力(ちりょく)をアップさせたいと考えていました。いつまでも同じことを続けているだけでは駄目だと思います。農家も努力しなければ」と泥付きねぎを始めたころの思い入れを語ります。

 最初の年は、約6トンを出荷。今年は、前年よりも収穫高はアップしているそうです。今後は、ニュー西田の特性を最大限に生かし、収量アップを図り「味わい深いネギの生産」を目指すと意気込んでいます。「消費者に喜んでいただけるものを作ること。これは何を作る上でも変わりありませんからね」と利雄さんは笑みをこぼします。

 泥付きねぎは、JAはが野、JAしもつけともに「とちぎの土っ娘(こ)ねぎ」の愛称で1月末ごろまで、主に東京市場に出荷されています。寒さに当たり軟らかく甘みの増したネギで、市場から好評を博しているそうです。根と土を残しているので、そのままでも長期保存が可能です。新鮮なまま食卓に並べられる点で、消費者にとっても大きなメリットのあるネギです。

 [写真説明]泥つきねぎの生育具合を見る粂川利雄さん=壬生町国谷

 [写真説明]父・弘さん(左)とともに袋詰めし出荷の準備をする利雄さん

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇ 県内のブランドネギ

  • 宮ねぎ 「野州宮ねぎ」の名で江戸時代から生産されてきたとされる在来種。軟白部が太く短いため、「ダルマねぎ」とも呼ばれている。

  • 新里ねぎ(宇都宮市) 大きく曲がった姿が特徴。宮ねぎ同様、鍋料理などに適している。

  • 那須の白美人ねぎ(大田原市など) 軟白長ネギ(ハウス軟白ネギ)の一種で、土寄せでなく遮光資材を利用して軟白部が長くなるよう栽培されている。

  • ネギの保存法 白くむかれたネギは、水分が蒸発しないようにビニール袋などに入れ冷蔵庫に縦向きにして保存する。泥付きの場合は、新聞紙などを巻き、冷暗所で保存。日の当たらない場所で、土の中に根の部分を埋めておくと長期保存も可能となる。


 コラムオアシス 穀物自給率は28%/真剣に考えたい「食の未来」

 日本の食料自給率が40%と世界の先進主要諸国と比べて極めて低い数値で推移しています。要因は経済成長とともに食生活が大幅に変化したこと、中でも肉類・油脂類嗜好(しこう)の高まりとともに米の消費量が半減してしまったことにあります。

 先日、ある研修会で朝食を食べない子供たちが実に3人に2人の割合でいるという話を聞き、心身ともに重要な成長期であるこの年代にと嘆かわしく思いました。

 JAグループでは、平成21年から「みんなのよい食プロジェクト」を立ち上げ、国民運動として「食」についての理解促進および推進に努めていますが、一朝一夕では成せないのも事実です。

 さらに懸念されるのが、穀物自給率(飼料用含む)が28%だということです。以前、テレビで食料品の輸入がストップしたら食生活はどうなるといった企画の番組があり、その映像を見て愕然(がくぜん)としました。飽食の時代に慣れきった私たちには信じられないような話です。しかし、異常気象、途上国の経済発展に伴う需要増大、バイオ燃料需要、さらに世界の人口増加、有事の際など、当然に食料品、飼料などは自国優先となり他国への輸出制限が掛けられると考えるべきでしょう。食料飢餓のない日本の食の未来について、真剣に考えるべき時ではないでしょうか。

(JAしおのや常務理事 高瀬武)


読者の声 ~11月の紙面から~

【食べてみたい「なすひかり」】

・なすひかりが、誕生するまでのさまざまな研究や成果を知って、お米に対する思いが変わりました。(47歳、女性)

・農家の方たちは日々、おいしいお米のために努力なさっているのですね。なすひかり、食べてみたいです。栃木のプライドを強く感じます。(55歳、女性)

【JAの交流参加してみたい】

・JAの食に対する真剣さが伝わってきます。生産・販売だけでなく、地元のコミュニティーを大切にするところが大好きです。がんばれJA!(28歳、女性)

・JAでは地域とのさまざまな交流をしていることを初めて知りました。参加したいと思いました。(39歳、女性)

【ごはんがおやつに】

・甘辛餅おいしかった。ごはんがおやつになるなんてグッドです。(31歳、男性)