厳選された「一房詰め」

 豊かな大地にはぐくまれた「メイド・イン・とちぎ」の農畜産物は海外でも評判です。イチゴ、ナシに次いで2005(平成17)年度からはブドウの“王様”「巨峰」も海を越え、栃木のブランド力向上に一役買っています。

 ■アジア4カ国に輸出■

 輸出される「栃木の巨峰」の生産を一手に担うのが、JAしもつけの岩舟町ぶどう生産出荷組合(63人)です。初年度は289キロ、06年度は422キロと年々出荷数を伸ばし、09年度は1323キロを香港、シンガポール、タイ、アラブ首長国連邦に出荷しました。

 輸出期間は6月中旬から9月中旬、ハウス栽培ものから露地栽培ものへと、長期にわたって出荷できる態勢を整えていますが、主力はやはりハウス栽培の種あり巨峰(種なしは2割程度)です。

 組合長の小林為三男(こばやしいさお)さん(61)=岩舟町静=は「他県産と比較して糖度がのっていると高い評価をもらっています。輸出を始めるようになってからは、皆こだわりを持って生産・出荷するようになりました」と自負します。「糖度18度以上」はもちろんのこと、輸出ものは「出荷日の朝どり」で、なおかつ1パック(300グラム)を調整房は一切使わずに「一房詰め」し梱包(こんぽう)、まさに粒ぞろいの一級品がそろっているわけです。現地スーパーのバイヤー(買付人)らからも「他県産にも見劣りしない」と高い評価を得ています。

 ■関東最大級の産地■

 岩舟のブドウ栽培の歴史は、大正時代にまでさかのぼることができますが、本格的に始まったのは昭和30年代。当初はキャンベルが中心でしたが、現在は巨峰をメーンに組合員が露地、ハウスを含めて約51ヘクタールを作付けしています。年間で約450トンを出荷し、関東でも最大級の産地になりました。そのほかにはピオーネ、ハニービーナスなども生産、近年はロザリオビアンコ、シャインマスカットなどにも挑戦し、産地の振興に努力を重ねています。

 今年の海外初出荷は6月9日。同町下津原のJAしもつけの青果物一元集出荷所に7人の生産者が約180キロを納めました。“長旅”にも耐えられるよう緩衝材を詰めたパッケージで出荷されます。今シーズンは、昨年度を上回る約1500キロを目標にし、新たにロシアへも出荷する予定です。

 岩舟産の巨峰への問い合わせは、いわふねフルーツパーク内「花野果(はなやか)ひろば農産物直売所」電話0282・55・8485。

【安全安心の取り組み】JAしもつけ・岩舟町ぶどう生産出荷組合は、全員がエコファーマーの認定を受けている。また昨年からは県版GAP(農業生産工程管理)を導入し、安全・安心な農作物の生産に努めている。

 [写真説明]香港のスーパー店頭に並ぶ岩舟産の巨峰(社団法人とちぎ農産物マーケティング協会提供)

 [写真説明]海外に向け集荷された巨峰=6月9日、岩舟町のJAしもつけ青果物一元集出荷所

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • おいしい巨峰の見分け方 表皮の白い粉は、農薬でなく蝋粉(ろうふん・ブルーム)で、粉がたくさん付いているものを選ぶ。

  • おいしい食べ方 皮の周辺にある露を無駄にせず食べるとよい。最近は瀬戸ジャイアンツなど皮ごと食べられる品種も出ている。

  • 世界で最も多く作られているフルーツ ブドウは、世界のフルーツ生産全体の約3分の1を占めている。大きく分けてヨーロッパ種とアメリカ種がある。ちなみに巨峰は石原早生と豪州産のセンテニアルを交配させた日本原産の品種。

  • ブドウ糖 単糖の一種で別名D−グリロースと呼ばれる。熟したブドウの果汁に多く含まれているためそう呼ばれるようになった。


 コラムオアシス 「地域農業を守る農政運動」 価値観、消費者と共感共有

 JAの大転換期における新たな協同の創造3か年計画には、農業者の農業に対する復権の思いが込められています。

 今日までの農業とは、食を支え、農産物を生産するという経過がありました。しかし、農業とは国土保全はもとより、水資源を利用工夫、農村景観から環境、文化教育から健康など維持形成機能を発揮し、地域社会においても多大な貢献を果たしています。

 このことから、農業の持つ価値をこれまで無償で提供してきたものを評価し、農業農村の機能発揮について、国民全体で支える運動を強力に進めなければならないと考えます。

 消費者との連携がもっとも大切な意味からもJAかみつがでは、農商工連携、栽培講習会、農産物等の安全安心交流会などを開催し、地域の消費者の方々からの理解促進をはかりコミュニケーションづくりに取り組んでいます。これからは、各地域のJAグループ(中央機関含む)が、消費者とともに共感共有することが不可欠です。

 食と農をつなぐ架け橋としてのJAの立場に立って、情報を提供する役割はますます重要になってきています。よって世論形成を高めるためにも農政運動を展開していかなければなりません。

 これからも、農業の多面的機能を柱として「地域を元気に変えよう、変わろう」を合言葉に、JAファンづくりに日々努力してまいります。

(JAかみつが代表理事常務 田中伸)

読者の声 ~4月の紙面から~

【伝わる生産者の努力と意欲】

・農家の野菜に対する安全安心の取り組み方や、消費者が安心して食べられるように、生産者の苦労・地域の活性化を目指して日夜努力していることがわかる。(63歳、男性)

・レタスの朝どりは大変ですね。レタスのおいしい理由、わかった気がします。 (35歳、女性)

【食料不足の“危機”もっと知らせて】

・日本の食料自給率40%。食べずに廃棄される分が20%もある。国民に食料不足の“危機”がきていることを紙面でもっと知らしめてほしい。(69歳、女性)

【レタスサラダ定番メニューに】

・“とまらないレタスサラダ”のレシピ、大変参考になりました。たっぷり食べられて食物繊維もとれそうだし、我が家の定番になりそうです。(36歳、女性)