ハウス増え周年出荷

 奈良時代にはすでに国内で栽培されていたというナスには、「秋茄子は嫁に食わすな」など数多くの慣用句や、ことわざがあります。それだけ私たちの食生活と、密接につながっていたことの表れではないでしょうか。「煮てよし、焼いてよし、揚げても漬けてもよし」と、さまざまな形で食卓をにぎわすヘルシー野菜の代表格です。

 県内では、佐野の「こなす」、喜連川地域の「温泉なす」が、社団法人とちぎ農産物マーケティング協会の「地域ブランド」に登録されていますが、県産ナスといえば、やはり「はが野産」です。2009年の販売額は10億1200万円を誇り、生産量は約3823トンと県内の約5割を占め、JAはが野内では日本一のイチゴに次ぐ特産物となっています。

 ■メロンの裏作が出発点■

 はが野のナスは今から40年ほど前、特産のプリンスメロンの裏作として真岡市の中村地区で始まりました。その後、芳賀郡全域に拡大し、現在は285人の生産者が、なす専門部会を組織しています。部会長の渡辺繁さん(59)=真岡市茅堤=は「量はもちろん、品質も関東では随一。色つや良く、張りがあると市場でも高い評価をもらっています」と胸を張ります。

 作型は7~10月が出荷のピークとなる露地栽培の夏秋ナスと、周年出荷しているハウスナスがあります。将来は、生産者を300人に拡大させ、年間販売額12億円達成を目指しています。同部会では高機能物流センターのパッケージ機能を十分活用するとともに、ロットの大きい個別契約販売の拡大を進め、産地の「モチベーション」を上げることを狙っています。

 ■花咲けば高い着果率■

 「親の意見と 茄子の花は 千に一つも 仇(徒)はない」という都々逸があるように、ナスの花に徒花(無駄な花)はなく、着果率は高いと言われています。「でも、それは花が咲けばの話。咲かせるまでが大変なんですよ」と渡辺さんは苦笑い。特に今年は、例年にない異常気象が続きハウス内の水耕栽培といえども日照不足などの影響を受け、4月前半の出荷量は「前年の6割程度」という状況です。しかし、同部会は今年から県版GAP(農業生産工程管理)を導入し、より高品質なナスの生産に努めています。

 近年、一般家庭での家庭菜園がブームを呼んでいますが、その中でもナスはポピュラーな野菜の一つ。プロからのアドバイスは「ダニ、特にホコリダニの繁殖に注意すること。仮に苗がだめになってしまった場合は、事後処理をしっかりやること。でも、まずは私たちの作ったナスを食べてみてください」。JAはが野産のナスは、ほぼ100%を京浜市場へ出荷していますが、管内の直売所でも購入することができます。問い合わせは、JAはが野真岡流通センター(真岡市田町)電話0285・80・1919。

 【安全安心の取り組み】JAはが野・なす専門部会は、今年から「県版GAP」を導入し、安全安心な農作物生産への取り組みを強化。ほ場や周辺環境の衛生管理などのチェック項目を設け、部会としての生産レベルの向上に努めている。

 [写真説明]ハウスで水耕栽培を手掛け周年出荷するJAはが野なす専門部会長の渡辺さん。1日約400キロを出荷する=真岡市茅堤

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • 良いナスの選び方 表皮がなめらかで光沢があり、濃紫色のものを選ぶ。ガクの部分のとげがとがっているほど新鮮。ヘタや表皮が茶色に変色しているものは、皮が固く果肉に種が多い場合がある。

  • エッグプラント ナスの原産はインドの白ナスとされ、形・色も似ていることから英語では「卵植物」と呼ばれるようになった。欧米では、黒紫色のナスをジャパニーズ・エッグプラントとも呼ばれている。

  • 家康公の好物 「一富士、二鷹、三茄子」は、縁起の良い夢を並べた言葉だが、駿府城に隠居した徳川家康が、この地の素晴らしいもの、好物を言ったという説もある。初物のナスは家康公に献上されたという。


 コラムオアシス 「国の基本は農業にあり」農村の明るい将来望む

 アメリカのサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融危機が同時に経済不況に発展し、農業情勢についても生産資材の価格の高騰や農畜産物販売低迷などにより、農業経営は危機的状況になっています。

 昨年の夏の政権交代で、農業政策では新たな食料・農業・農村基本法のもと米の戸別所得補償方式の導入。食料自給率目標を45%から50%とする基本計画の見直しが今年3月30日に閣議決定がなされました。食料自給率50%と数字の上では簡単に表しているが、細部については検討するという内容になっています。我が国の農業予算についても前年を下回っている予算配分であり本当に農政を考えているのだろうか。

 世界的に食糧危機が叫ばれている中で、欧米先進国の間では、自国の食糧確保について、国防と同等以上の重点政策として農業を保護しています。我が国においても、昔から「国の基本は農業にあり」と先人が教えている通り、国の基本的な安心・安全は、食糧の絶対確保であり、最重要課題として取り組むべきであります。それによって、国の食糧の自給率は上がりますが、それだけでなく農村社会も豊かにならなければなりません。

 農村社会が将来に渡って、豊かで明るく元気そして安定的に生活が出来る環境を作るための農業政策を強く望んでいます。

(JAうつのみや代表理事常務 南木一夫)

読者の声 ~3月の紙面から~

【参加してみたい食と農フォーラム】

・「食と農を考えるフォーラム2010」の記事を読んでいたら、来年は一参加者として参加してみたいと思いました。(41歳、女性)

・記事を読み、「今、私にできることは何か」と考えさせられました。がんばって生産してくださっている生産者の方々に感謝し、積極的に地元の作物を取り入れるよう心がけることにしました。 (38歳、女性)

・「食と農を考えるフォーラム2010」記事中からもいろいろなテーマや発表で内容の充実さがうかがえました。(48歳、女性)