安全意識高まり追い風

 独特の香りと歯ごたえを楽しめるシイタケ。低カロリーな上に栄養素も豊富で、さまざまな料理で重宝されています。

 実は栃木県は、全国でも屈指の“シイタケ生産県”。県林業振興課によると、2006年に栽培された栃木県産の生シイタケは4190トンで、全国3位を誇っています。

 生シイタケの栽培方法は2種類で、昔ながらの「原木栽培」と人工的な「菌床栽培」があります。原木栽培は、コナラやクヌギなどにシイタケ菌を植え付け、2年かけて育てます。味や香りの強いのが特徴です。

 ■ オガ粉に栄養分 ■

 一方、菌床栽培は、オガ粉にふすまや米ぬかなどの栄養分を加えて固めたブロックにシイタケ菌を接種し、40日程度培養。空調施設で管理し、120~150日で収穫できます。大量に高品質なシイタケを安定生産できるため、近年は菌床栽培が増えているそうです。

 県内有数の産地であるJAしおのや。関東でも5本の指に入るという大規模な菌床センターを、1992年にさくら市に開設しました。菌床の製造棟2棟、培養棟14棟を有し、昨年度は菌床ブロック60万6500個を製造。今年は65万個を予定しています。

 高品質なシイタケを作るには、菌床づくりも重要な工程です。

 同センターの製造技術チーフ、仲野正俊(なかのまさとし)さんは「栄養分のバランスを調整し、ブロック自体の品質を高めるよう努めています。また、シイタケ菌を接種する前に、ブロックを圧力釜で殺菌しますが、気を使う作業。熱しすぎると、シイタケ菌の養分がなくなり、味に影響してしまう」と説明します。

 ■ 大ぶりで肉厚に ■

 同JAきのこ部会喜連川支部(江面守(えずらまもる)支部長)は、生産者全員が同センターから配布された菌床で栽培。「大ぶりで肉厚」にこだわったシイタケづくりに力を入れています。

 江面支部長は冷暖房完備の空調施設4棟とパイプハウス2棟を使用。空調施設には1棟当たり7000個前後のブロックが整然と並んでいます。

 まずは4カ月ほど寝かすそうで、「酸素をいっぱい入れてシイタケ菌に栄養分を与え、ブロック内に十分にまん延させます」と江面支部長。

 その後、人工的に温度と湿度を調整し、「大ぶりで肉厚」なシイタケを発生させます。江面支部長は「設定温度の差を利用して、シイタケのかさを広がりにくくしつつ、養分を行き渡らせボリュームを出します」。こうして1ブロックに付き5~6カ月間、発生が繰り返され、延べ約1キロが採れるそうです。

 生シイタケ市場は中国産に押されていましたが、食に対する安全意識が高まり、国内産が再び人気を集めています。

 産地間競争に打ち勝つためにも、同JAは生産者への空調施設整備を進める方針です。江面支部長も「今は追い風が吹いている。この時期に生産量を増やしたい」と生産拡大に意欲を燃やしています。

【安全安心の取り組み】 JAしおのやでは、出荷前に異物混入などをチェックしているほか、生産者が空調施設で使用する地下水の水質検査を実施。また、記帳による生産工程の管理も行っている。農薬は直接使用していない。

 [写真説明]菌床栽培では、オガ粉に栄養分を加えて作ったブロックに、シイタケが次々と生えてくる。江面支部長は「温度、湿度、水、酸素が大切」と話す

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇ シイタケ編

  • 歴史 日本や中国などで主に生産され、栽培され始めたのは江戸時代。当時は、野生のシイやクヌギなど広葉樹の原木に傷をつけ、自然の胞子が付着するのを待つ方法だった。シイタケの学名「edodes」(江戸です)は、1875年にイギリスの調査隊が日本から持ち帰ったシイタケを基に付けたという説がある。

  • 選び方 肉厚でかさの裏側が白く、7~8分開いているものがお薦め。軸は太くて短いものが良い。かさが黒いものは水分が多く、日持ちしない。水分の蒸発を防ぐため、ラップに包んで保存を。冷蔵庫で1週間保存できる。

  • 漢方薬 古代から、キノコの一種である霊芝(レイシ、マンネンタケ)が不老不死の妙薬として珍重された。「椎茸(シイタケ)は気を益し、飢えず、風邪を治し、血を破る」と中国の古書に紹介されるなど、きのこ類のもつ薬理効果が評価されている。


 コラムオアシス 食料危機と日本農業 “国産国消”で自給率確保

 世界の人口が増える一方で農地や農業従事者は減少し、地球規模の食料不足はさらに深刻になると予想されます。食料輸出国は自国の食料確保のために輸出規制を開始しており、食料はいつでも手に入る時代ではなくなりつつあります。一方で、日本の国内自給率は39%まで落ち込んでいます。

 原油高やバイオ燃料への穀物利用に伴う高騰などにより肥料、農薬、飼料などの生産コストは上昇しています。それに反して、農畜産物の販売価格は伸び悩み農業経営を圧迫しているのが現状です。農業関係者はあらゆる努力をしておりますが限界にきています。

 農業政策の基本は「国産国消」です。国は安全で安心な食料を安定的に供給する責任があります。それには国内自給率の確保のための農業政策が必要です。われわれ農業者もGAP(農業生産工程管理)をはじめとした安全対策、地産地消や食農教育に積極的に取り組んでいます。特に地産地消は地域農業の活性化とともに、消費者の皆さまとの触れ合いを通して農業を理解していただく重要な事業と考えています。

 農業はまさに生命産業です。われわれ農業者はこれからも安心して消費していただける農畜産物の生産に努めてまいります。どうか国産農畜産物の消費拡大に深いご理解をお願いします。

(JAかみつが代表理事組合長 渋江正雄)

 ◇◆◇ 読者の声 ◇◆◇ ~4月の紙面から~

【栃木県産見直す】 アスパラガスが大好きです。アスパラガスは北海道が一番だと思っていましたが、栃木県産を見直しました。「お役立ちレシピ」の「ふとっちょアスパラ」、とてもおいしそう。作ってみます。(43歳/女性)

【日本の農業頑張れ】 中国野菜の問題などで、急に野菜に対する意識が変わりました。「安全で新鮮」が求められる日本の農業…頑張ってほしいものです。(60歳/女性)

【食と農の問題解決を】 (コラムオアシスを読んで)地球温暖化で食と農をめぐる環境変化により起こる、さまざまな問題点の解決を急ぐ必要があるのがよく分かりました。(83歳/男性)