鮮度維持に集荷後冷却

 夏野菜の代名詞ともいえるトウモロコシ。ゆでたり、焼いたり、蒸したりと調理法もさまざまで、おやつ代わりとして大活躍する食材です。甘く香ばしい食感は、まさに今、旬を迎えています。

 ■ 全国9位の出荷量 ■

 農林統計では、2006年の栃木県産トウモロコシの出荷量は2660トン。全国9位と高ランクに位置しています。内訳は下野市が517トンとトップで、続いて宇都宮市が288トン、上三川町が202トン。カンピョウや陸稲に代わる夏作として、栽培が盛んになった背景があるそうです。

 県内最大の産地であるJAおやま。とうもろこし部会には約100人が所属し、年間8万7000ケース(1ケース5キロ)、約9000万円を売り上げています。

 園芸課の田中潤(たなかじゅん)さんによると、栽培されている品種はほとんどが「ゴールドラッシュ」。数年前まで「味来(みらい)」が主流でしたが、「大粒で食味と実の詰まりが良く、発芽率の高いゴールドラッシュに切り替えた」そうです。

 3月中旬から4月上旬にかけて種をまき、6月中旬から8月上旬までが収穫期。収穫のピークは7月上旬から中旬までで、ちょうど今の時季に食べごろのトウモロコシが実っています。

 通常、トウモロコシは1株につき1本しか収穫しません。「最初に育つ1本目が大きく、おいしさが凝縮されています」と話すのは、とうもろこし部会の有野一夫(ありのかずお)部会長。「肥料を与えすぎたり、農薬をかけすぎたり、無理な栽培をしないことが大切」と説明します。

 JAおやま産は特に6月から7月中旬まで、京浜市場で高いシェアを誇っています。「市場と話し合い、優位販売を進めてきた成果。食味を優先するため、消費者に喜ばれる品種を選び、朝取りにこだわってきました」(有野部会長)。

 ■ 早朝から収穫作業 ■

 なんと言っても、トウモロコシは鮮度が命。収穫後も自らの糖分をエネルギーに替えるため、甘みが徐々に減少してしまいます。また、気温の低い夜間は糖分消費が最小限に抑えられるため、甘みを蓄えられます。このため、糖分がたっぷり残る早朝からの収穫作業が重要となります。

 有野部会長は午前5時から収穫し、同10時にはJAの集荷場へ。そして、真空冷却槽で一気に2度まで冷やします。「トウモロコシを芯から冷やし、もぎたてのうまみを損なわないようにします。真空予冷によって、食味の良さを1日ほど保てますよ」と田中さん。出荷後、ケース内で発生する余熱も防げるそうです。

 収穫のタイミングもポイント。熟しすぎて実が硬くなる「しなび」は嫌われるため、適期収穫が求められます。有野部会長は「若取りに近い感じで、先端まで実がぎっしり詰まったトウモロコシを選ぶ。目ぞろえ会などで申し合わせ、高品質を保つよう部会全体で心掛けています」と話します。

 部会の目標は販売金額1億円。「朝一番」を掲げ、今後も産地をPRしていく考えです。

【安全安心の取り組み】 JAおやまとして、毎年1回農薬の成分分析を行い、国で定める基準をクリアしているかを確認している。生産者は虫の大量発生前に適期防除し、減農薬に配慮。さらに農薬の使用履歴を提出している。

 [写真説明]先端まで実が詰まっているかをチェックしながら収穫する有野さん。「1本目のトウモロコシが一番おいしい」と話す=下野市

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇ トウモロコシ編

  • 歴史 原産地は中南米で、15世紀にコロンブスのアメリカ大陸到達を機に栽培が世界に広がった。日本には16世紀ごろ伝えられた。明治初期に米国から導入された品種が北海道で栽培されるようになり、食用のトウモロコシ栽培として生産が確立したという。

  • ひげの正体 先から出ている黄色いひげは「めしべ」。収穫期にかけて老化し、茶色く変色する。めしべはそれぞれの種子(実)の上部につながっており、ひげの数と実の数は同じ。つまり、ひげがふさふさしているものは実もぎっしり詰まっている。

  • 選び方 皮が濃い緑色で、ひげや軸の切り口がみずみずしいのが新鮮。収穫後時間とともに糖分が減少するので、早めに食べること。生の場合、皮付きのままラップをかけ、冷蔵庫に立てて保存。ゆでてからラップに包み、冷凍庫でも保存できる。


 コラムオアシス 農産物直売所 “成長品目”として期待

 今、JAはが野の運営する農産物直売所はどこも大人気で、休日ばかりでなく平日でもレジ待ちの長い列ができます。お客さまはいずれも新鮮な野菜や果物、農産加工品を両手いっぱいに買っていきます。

 安全・安心の地場産農産物は、国産農産物へとシフトする消費者の指向に沿って、その販売量は今後ともますます伸びていくものと思われます。

 また、消費者に届ける直売所の農産物は、市場流通する農産物と同様に、残留農薬の検査など安全・安心に対する実効性のある対策を今後とも徹底して実施してまいります。

 JAでは、定年を迎えた団塊の世代や女性が野菜生産に取り組んでいただくことにより、1品目1億円の生産額を目指して努力していきます。 

 朝取りの新鮮な野菜や愛情いっぱいの加工品を販売する直売所は、農工商の連係プレーの可能性も探りながら、直売所を目的とした買物ツアーが来てくれることを夢見て、努力を重ねていきたいと思います。

(JAはが野代表理事組合長 高橋武氏)

 ◇◆◇ 読者の声 ◇◆◇ ~5月の紙面から~

【早急に自給率向上を】 日本の農業を考える記事として、いつも関心を持って見ています。WTOの特集は難しい内容でしたが、関税をめぐる日本への影響が心配になりました。一刻も早く農産物の自給率を上げていかないと、近い将来大変な事態になると焦りを感じました。(34歳/女性)

【農業者にエール】 (コラムオアシスの)「農業者は、安心して食べてもらうために日々生産に励んでいても、生産者価格からすればその評価を得ているとは言い難い」というのに同感し、エールを送りたい気持ちです。(49歳/女性)

【シェフ気分で料理】 ちょっとシェフになった気分で作ってみたら、家族がすっごく喜んで「美味しい」と好評でした。いろんな(簡単にできる)メニューをお願いします。(46歳/女性)