「かき菜」は佐野市を中心に両毛地区で古くから栽培されている伝統的な緑黄色野菜。アブラナ科の菜の花の仲間で、栄養もたっぷりです。厳しい冬の寒さに耐え、霜に当たることで甘みを増しながら春を迎えるため、「春を呼ぶ野菜」として親しまれています。

 ■ 「佐野そだち菜」 ■

 JA佐野販売利用課によると、もともとは自家用野菜として栽培されていた地場野菜。産地として確立するため、1986年にJA佐野かき菜部会を設立。2006年には「佐野そだち菜」との愛称でブランド化し、一層の販路拡大を図っています。地域の気候や風土の特徴を生かした農産物「とちぎ地域ブランド」にも、同JA管内で唯一認定されています。

 昨年は合計12・5ヘクタールで栽培され、部会全体で4200万円を売り上げました。今年は91人が生産に取り組み、昨年並みの売り上げを見込んでいます。

 ■ 2種類の作型 ■

 9月から10月にかけて種をまき、収穫は10月から翌年の4月ごろまで。「有機質の堆肥(たいひ)を投入することで野菜に甘みが増します。最初の土づくりが肝心」と同課。

 かき菜の作型は大きく分けて、「かっ切り」と「芯切り」の2種類あります。「かっ切り」は直播(じかま)きから育った茎葉をそのまま収穫するもので、「かき菜」の語源ともいえる方法。収穫時期が早く、1回しか取れないのが特徴です。

 一方、「芯切り」はある程度育った株をいったん植え直し、まず真ん中の芯に当たる茎葉を収穫。その後、伸びてきた脇芽も順次刈り取るため、合計3回ほど収穫できるそうです。この2つの作型を組み合わせることで、出荷期間を長くします。

 かき菜部会副部会長を務める野村春男(のむらはるお)さんは、「芯切り」の作型をさらに一工夫。定植の前に仮植えを挟み、「養分を吸収する根を多く出すため、植え替えを2回行います」と説明。堆肥も牛ふんや米ぬかを使い、甘さを出すよう心掛けています。

 ■ 知名度向上に力 ■

 現在、知名度アップにも力を入れており、今春、パンフレットを作製。レシピや栄養分などを紹介し、消費拡大に努めています。

 同JA産のかき菜は佐野市内外のスーパー、近隣の直売所・道の駅などで扱っており、同課は「癖がなく、どんな料理にも合います。栄養もたっぷりで、使いやすいですよ」と呼び掛けています。

【安全安心の取り組み】 かき菜は冬場の野菜なので、もともと害虫を抑える防除の回数は少ない。JA佐野かき菜部会として、農薬の使用回数制限、生産履歴の徹底、出荷袋への生産者名表示、講習会での指導などに取り組んでいる。

 [写真説明]「霜に当たることで水分を糖質に変え甘くなる。これからが旬です」と話す野村さん=佐野市内

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇ かき菜編

  • 品種 かき菜の仲間は地方によってさまざまな種類があり、ナバナ、芯切菜、宮内菜といった名前で呼ばれている。品種によって形状や食味も微妙に異なる。佐野市では洋種ナタネが栽培され、現在はその中から選抜された優良品種が主力となっている。

  • 選び方と保存方法 茎の切り口がみずみずしい上、葉の緑色が濃く、張りのあるものを選ぶこと。すぐに調理しない場合、新聞紙か湿らせたキッチンペーパーに軽く包み、冷蔵庫の野菜室に葉を上に立てて保存する。

  • 料理のポイント ゆでてもいためてもレンジで加熱してもOK。火を通しすぎるとビタミンが減ってしまうので、手早く調理するのがポイント。

 コラムオアシス 日本の食と農「安全安心」モットーに

 1945年の終戦より63年、食糧難の時代から飽食の時代へ。高度成長、バブル崩壊、原油価格や生産資材価格の高騰、そして世界的な金融・経済危機などと、時は急激に変化しています。

 そのような中で、日本の農業、食料は、深刻な局面にあります。食料自給率は、40%にまで低下し、昨今の食品偽装、汚染米問題など、食の「安全・安心」を大きく揺るがす事態が頻発しています。しかし時代が変わろうと、「食」は人が健康を保つための基本であります。

 JAしおのやは、農業の根幹である食料の安定的供給、環境保全を基本に、生産者に元気と希望を与え、消費者の皆々さまには食料を「安心・安全」に食していただきたいと考えます。そして、次代を担う子供たちに「食」という言葉を意識の中に秘めてもらい、食事の喜びを味わってもらえるような政策を、皆さまと構築していかなければなりません。

 当JAは、食と農を結ぶ食農教育として、消費者と農業・農村体験活動を通じた交流、また、地元小学校と協力し、学童農園、農業塾、学校給食への地元農産物の供給などを実施しています。さらに、「安全・安心」な農畜産物の供給体制強化をモットーに、生産履歴記帳、GAP(農業生産工程管理)に取り組んでいます。各地域に直売所を開設し、地域の皆さまとの結びつきを強め、開かれたJAを目指して農業振興に努力してまいります。

(JAしおのや代表理事組合長 大島幸雄)

 ◇◆◇ 読者の声 ◇◆◇ ~10月号から~

 【大変な作業を理解】ブロッコリーの収穫作業が大変な様子、身に染みて分かりました。(消費者は、そんなに考えていなかっただけに)(76歳、女性)

 【大きい葉にビックリ】僕はブロッコリーが大好きです。初めて畑に植えられている写真を見てビックリしました。あんなに葉っぱが大きいなんて…。これからもたくさん食べます。(10歳、男性)

 【食への思い伝わる】最近、何が安全なのか、真剣に考えさせられます。JAコラムは、農家の方たちの「食」に対する思いが伝わります。(55歳、女性)

 【毎回「その通り」】食育コラムは毎回欠かさず読んでいます。「本当にその通り」と思えます。(37歳、女性)