ブランド化進む特産地足利

 トマトの赤い色は、リコピンという色素によるものです。リコピンはカロチノイドという成分の一種で、抗酸化作用が強く、がんや成人病の原因となる活性酸素を抑制するといわれており注目されています。そうしたことからトマトは「医者いらず」とも呼ばれ、健康野菜の中でも高い人気を誇っています。

 ■ 県内生産は全国6位 ■

 県内では約200ヘクタールのハウスで生産されており、その生産高は全国6位。県内の主な作型は越冬、冬春、夏秋、抑制などがあり、ほぼ周年出荷されています。品種では1980年代に登場した夏秋トマトの代表格「桃太郎」や促成(冬春)トマトに向き、多収で大玉の「麗容」「マイロック」が大多数を占めています。各産地では、おいしく安全で安心して食べられるトマトの生産に励んでいます。

 その県内産地の中でも、足利市は古い歴史を持ちます。冬場の日照時間が長く、施設園芸に適した土地柄で、県内のトマト生産をリードしてきました。JA足利のトマト部は今年で30周年を迎え、現在52人の部員が22・5ヘクタールのハウスで年間約2590トン(2006年度実績)を生産しています。冬春型が基本の足利トマトは、多くの農家が11月ごろに苗を定植し2月から6月末ごろまでに収穫しています。

 ■ 麗容の栽培 県内で初 ■

 JA足利では5年ほど前から生産する品種を「麗容」に一本化し「あしかが美人」の名でブランド化を進めています。他産地に先駆けて新品種・麗容の栽培に着手しました。麗容の特徴は、色上がりが鮮やかな赤で、しっかりした酸味にバランス良く加わった糖度、さらに気温の上昇とともに甘さが増していく点です。病害虫に弱いという難点があるものの、皮がしっかりしており日持ちも良いので、赤く熟してから収穫します。

 同市野田町で55アールのハウスを持つトマト部長の斎藤肇さんは「これからがあしかが美人のおいしい季節です。4月後半からゴールデンウイーク明けごろまでが質・量ともに最盛期」とアピールします。斎藤さんのハウス内には、あしかが美人の名のとおり、形のよい大玉の実が鈴なりになっていました。「麗容は型崩れしにくい品種で、丸く大きく美しい実になる。それは可販化率(出荷できる果実の割合)の高さにも現れています」

 生で食べても当然おいしいあしかが美人ですが、「おすすめはトマトジュース。ジューサーでなく煮詰めて裏ごししてみてください。甘いだけでなく酸味があるのでコクのある味が楽しめます」と教えてくれました。

 【安全安心の取り組み】 JA足利では、GAP(適正農業規範)に対応した取り組みに積極的です。2月に稼働を始めたトマトの集出荷施設では、トマト部が生産した作物を一元管理し消費者へ安全安心を届けています。今後は作物の生産履歴を追跡して確認できる「トレーサビリティーシステム」の導入を予定しています。

 [写真説明](右)あしかが美人が並ぶスーパー「かましん」清原テクノ店。羽下篤店長は「トマト本来の味わい深さと、リーズナブルな価格」とその魅力を教えてくれました=宇都宮市野高谷町

 [写真説明](左)麗容が鈴なりになっている斎藤肇さんのハウス。5月ゴールデンウイーク過ぎまで収穫作業に追われる=足利市野田町

== 旬菜満彩 == とちぎのトマト編

  • 桃太郎 「甘くておいしい完熟トマト」として1980年代に登場。多肉質で糖度は6−7度。「桃太郎はるか」などの新品種も開発された。県内約80ヘクタールで栽培されている。

  • マイロック 極早生タイプで、収量も多く病気に強い。麗容のように糖酸のバランスが良い。県内ではJAかみつがのエリアなど、約35ヘクタールで栽培されている。

  • ミニトマト サラダなどの付け合わせ用として急速に拡大している。大玉・中玉同様にさまざまな品種がある。県内では宇都宮、大田原など7ヘクタールで栽培されている。


 コラムオアシス 環境問題に関心を

 昨年末からの暖冬は異常である。平均気温も極めて高く3月に夏日、4月1日には真夏日が観測された。世界的にかんばつ、洪水、竜巻、暴風、酷暑など各地で大災害が起きている。それは地球温暖化によるといわれ、大気、海洋、河川の汚染、森林破壊、砂漠化、農耕地減少などが進んでいる。そして20世紀後半の植民地独立後の人口爆発、先進国の資源食料の大量消費と発展途上国における森林破壊などが連動し、人口増に食料生産が追いつかない状況が続いている。これを改善、解決することは最優先の課題であり、この環境悪化、温暖化の防止は人類生存の必須要件である。その対策として先に世界各国で合意した「京都議定書」が一部の反対で発効していないことは遺憾の極み、未批准国の決断と、国連の指導力の発揮を希望する。栃木県では2008年度に森林環境税の導入を目指しているが、これは誠に有意義なことと思う。本県には国立公園、広い森林、豊かな水、肥沃な田園があり、美しい自然環境が保たれている。この県土を200万県民の力を合わせて守りたいと思う。私たちJAグループは先年、森林管理署のご指導で、那須山西麓の6ヘクタールの地に植林し、その後、管理作業を続け、厳しい環境の中で力強く育っていく樹々を見守っている。

(JA栃木中央会会長 豊田計)