株の善し悪しが決め手

 シャキシャキ感たっぷりの新鮮な歯触りと、ほろ苦い独特の香りが魅力のウド。春の到来を告げてくれる、季節感あふれる食材です。

 大田原市や那須塩原市などJAなすの管内は国内有数のウドの産地。単一農協で見ると、全国1の生産量を誇りますが、栽培が始まったのはわずか27年前と、歴史的にはまだまだ「若い」作物です。

 ■ コメの転作作物 ■

 JAなすの園芸課の相馬一行さんによると、1980年に大田原市内に導入されたのが始まり。ウドは冬から春にかけての作物のため、水田地帯における土地利用型の転作作物として適していたそうです。

 稲作との労働力の競合が少なかった上に、販売単価も好調だったため、冬期の収入確保につながって栽培が一気に拡大。当初は数人規模でしたが、今では195人にまで増加しました。2007年産の栽培面積は200ヘクタール弱(山ウドと軟化ウド合計)に上り、計970トンを出荷しました。

 ■ 光当てずに栽培 ■

 ウドの栽培は1年以上にわたります。まずは3、4月ごろ、休耕田に種株を植えて養成。11月ごろにいったん株を掘り出して、ハウスや地中に伏せ込みます。この「伏せ込み」が2次栽培に当たり、光を当てずに芽を伸ばして、12~5月ごろまで順次、収穫していきます。

 2次栽培の方法によって、「山ウド」と「軟化ウド」の2種類に分かれます。ハウスでの伏せ込みの際、もみ殻を30センチほどかぶせて芽を伸ばし、先端に光を当てて緑化させるのが山ウド。一方、軟化ウドは地中に室をつくって株を伏せ込み、真っ暗な状態で白い芽を長く伸ばします。山ウドの方が香りや渋みが強いそうです。

 「ウドは株の善し悪しで決まる。養成期にいかに育てるかが重要です」。山ウド140アールを作付けしているJAなすのうど部会長の益子政一さんが指摘します。株養成期の雑草・排水対策が、ポイントとなってくるそうです。

 株の周囲に雑草が生えている状態では、ウドは通常の半分程度にしか成長しません。また、うねに半日でも水が溜まると、株が腐って枯れてしまうそうです。「梅雨や秋雨の時期は要注意。水はけを事前によくしていますが、大雨が降るごとに水切り対策を講じています」と益子さん。

 2次栽培でも気を抜けません。気温が10度以下になると腐ってしまうため、ウドの周囲に電熱線を張りめぐらせています。

 収穫以降の工程も同様です。益子さんによると、ウドは少し触れただけでも変色してしまう繊細な作物。「JAなすののウドは白さが売り。傷みが少なく、新鮮なものを出荷できるよう心掛けています」と強調します。

 ■ PR活動を展開 ■

 JAなすの産のウドは2005年、「那須の春香(はるか)うど」として商標登録されました。さらなる知名度アップを図ろうと、今年から店頭での試食販売など消費拡大キャンペーンを展開しています。

 調理法がそれほど普及しておらず、高級食材のイメージもあるウド。相馬さんは「生でも、火を通しても食べられ、皮も中身も捨てるところがないと言われます。風味のある味わいはおいしいですよ」と呼び掛けています。

 [写真説明]真っ暗なハウス内に作られた木枠スペースにウドの株を伏せ込むのが2次栽培。もみ殻の中から伸び出してきた芽を掘り出して出荷するという=那須塩原市

 【安全安心への取り組み】 年間を通じ、JAなすのうど部会の全員が栽培履歴を記帳している。栽培・伏せ込み講習会などで農薬の使用基準を徹底させているほか、出荷前に残留農薬の検査を実施している。


◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇ ウド編

  •  品種 ウコギ科で日本原産の多年草。漢字では「独活」。野生種は日本、中国、韓国に自生している。国内では各地に自生し、古代から山菜として食されてきた。江戸時代に入ると畑で栽培し、若芽を軟化して利用する方法が生み出された。

  • 選び方と保存法 根本から穂先まで均一に太く、みずみずしく、うぶ毛に触れると痛いくらいのものが新鮮。山ウドは緑の葉が生き生きして香りが強いものを選ぶ。光に当てると堅くなるので、新聞紙に包み冷暗所での保存がお薦め。


 コラムオアシス 食の安全、安心は自らの手で!

 寒かった冬もいつの間にか梅が咲き、桜の開花予想も話題となっている今日このごろ。

 私の住む県東北部地域の山里の谷津田の水たまりには、ヤマアカガエルの産卵が見られる季節となりました。

 今年も田に水を入れ、堀さらい、あぜ塗り、田起こしと続くコメ作りのスタートを切ることになります。しかし、米の生産調整の強化、一向に下げ止まらぬ米価を考えると、今年も頑張ろうという気持ちにはなれないのが現実の農家の声でしょう。食の安全、安心がニュースにならない日はないくらい社会全体の食に対する関心は高まっています。人間にとって、大切な生命の源である食糧について国民一人一人が真剣に考えなければとつくづく思います。その食糧自給率は39%と下落の一途です。日本人の胃袋の6割が外国産で満たされている現状、これでいいのでしょうか。安く手に入れば何でもいいのでしょうか。

 私たち農家は、消費者に耳を傾け、安全安心を第一に、決められた栽培基準を守り生産に励んでいます。コストを抑え、少しでも安く供給することに努力していますが、輸出国での生産の実情を考えた場合、コスト競争には非常に厳しく太刀打ちできないことも確かなことです。農業は農産物を生産するだけでなく、災害を防ぎ自然環境を守り心の安らぎをもたらすなど大きな役目があります。そのことをお互い共有し合い、国民全体の理解を得ることが大事なことであると思います。

(JAなす南代表理事組合長 山田清)