餃子とともに知名度アップ

 県都・宇都宮は言わずと知れた「餃子のまち」。その餃子に欠かせない野菜にニラがあります。県内産ニラの年間生産量は1万トンを超え全国1位で、国内生産量の約3割を占めています。県内で生産農家が急増したのは1950年代、宇都宮で屋台の餃子店が登場したのも1953年と、時期がほぼ一致しています。日本一のニラと日本一の餃子、これからも相乗効果をもたらし栃木を代表する名産、名物になっていくのではないでしょうか。

 刈っても刈っても、たくましく伸びてくる−。スタミナ野菜の代表格・ニラは、ユリ根のような一つの株から年間5、6回、農家によっては10回近く収穫します。県内の産出額は、2003年で51億4900万円にのぼり、主に京浜市場に出荷されています。東京都中央卸売市場への出荷量は1980年以来全国一で、安定した出荷実績に市場からも高い評価を得ています。

 ■ 風味格別「一番刈り」 ■

 県内のニラの約4割を生産しているのが「JAかみつが」です。鹿沼、西方、日光の3部会に分かれ、地域独自の取り組みを展開しています。ニラの作型は夏(6月−10月出荷)、冬(11月−5月出荷)の2つがあり、ともに株を休眠させ、たっぷりとエネルギーを蓄えてから収穫を始めます。最初に収穫される葉を「一番刈り」と呼ぶそうで、鹿沼ニラ部会の山崎敏夫部会長は「味も濃くうまみがあり格別です。かみつがの場合1月ごろに出荷されます」と教えてくれました。また通常は捨ててしまいがちな軟白部分には、ビタミンなどの栄養が凝縮されており「有効に料理に生かしてほしいですね」とのことです。

 JAかみつが内でも先駆的な存在の西方部会は、1950年代前半に生産を始め、現在は54戸の農家で構成しています。昨年は2億5700万円を産出しました。また1月にニラでは全国で唯一、JA全農の「安心システム」を取得しました。毎年、土壌分析、残留農薬の検査を行い品質向上に努力しています。

 195戸の農家がある鹿沼部会は、昨年約13億円を産出しました。上都賀地区は黒ボク土壌でニラ栽培に適した土地柄ですが、その中でも鹿沼市北犬飼地区は品質、量ともに優れており、関東農政局の統計で同市は、1995年以来、市町村別産出額で全国一をキープしています。

 日光部会は旧今市市の59戸の農家で構成され、昨年は1億3000万円を産出しました。鬼怒川・川治など大きな観光地を抱える地域性を生かし、旅館組合や「女将さん会」などの協力を得て販売促進に積極的です。

 ■ 異業種と提携し販促 ■

 JAとちぎも販売促進策として異業種との提携を積極的に展開しています。昨年7月には、宇都宮餃子会などに協力し「鬼怒川温泉餃子まつり」を通して栃木ニラをPRしました。栃木ニラにとっても宇都宮餃子は、格好の販促材料の一つでもあります。

 かつて「餃子のまち」を仕掛けた宇都宮農林公園「ろまんちっく村」社長の沼尾博行さんは「宇都宮餃子は野菜餃子が基本。県内産の野菜をいかにバランスよく融合させるかということも、餃子会などの取り組みの一つでした」と当時を振り返ります。先月、同公園はオリジナル野菜餃子「旬」を開発し、販売を始めました。今回は旬のタケノコが主役ですが「それでもニラは欠かせませんから」と沼尾さん。夏、冬にも旬に合わせた材料で新作餃子を開発する方針です。今後、日本一のニラとどんな農産物のコラボレーションが生まれるのか楽しみです。

 [写真説明]ほどよく伸びたニラを収穫する鹿沼ニラ部会の山崎さん夫妻=鹿沼市深津

 [写真説明]家族連れでにぎわう「ろまんちっく村」。野菜餃子「旬」の売れ行きも上々


 コラムオアシス JA経済事業改革に思う

 6月に入り雨の季節を迎える。連休には大半の田植えが終わり、淡い弱々しかった苗も日増しに緑が濃くなって見事なまでの「青の旋律、瑞穂の国・日本の水田の力」が伝わってくる。WTO交渉、食糧自給率の問題等をもっと、もっと身近な国民的課題にしていかなければ日本農業は崩壊し、瑞穂の国・日本ではなくなってしまうのではと危機感を抱いている。

 最近、全農・JAのあり方について色々な議論が湧き上がっている。特に民間開放推進会議の総合農協の事業分割・分離論には組織の職員としては耳を疑う。第18回農協全国大会での1000JA構想を打ち出して以来、本格的にJA改革がスタートした。JAバンク構想を断行し、今はJAグループ経済事業改革が喫緊の課題である。しかし、合理性や効率性を追求する事だけがJA組織の真の改革につながるのかは大変疑問に思っている。「人と人のふれあい活動・営農」のように時間と労力はかかってもJAの基本的な軸は死守していかなければならない改革もあることを忘れてはならない。

 一方では運動体と経営体としての矛盾し合うコインの裏腹にある活動を英知を結集しバランスよく断行していかなければならない。生産者と消費者の声をもっと、もっと近くで聴き、それをどのように改革につないでいくのか、今組織に求められている真の改革であると決意を新たにしている。

(JA全農とちぎ県本部長 澤村紀明)