網目1.85ミリ 厳しい要件プラス

 「『JA米』ってJAが扱っているコメのことでしょう…」。いいえ、そうではありません。「生産農家と消費者を結ぶ架け橋」をスローガンに2004年に誕生したJA米は、銘柄でもなく、単にJAが集荷したコメということでもありません。BSE問題や鳥インフルエンザなどの発生で、食の安全に消費者の関心が高まりをみせた時期に「より安全で安心して食べられるコメを安定供給するために」JA全農が確立した信頼のブランド名なのです。

 本県の場合、全農が決めた3要件(1)銘柄が確認できた種子により生産された米(2)登録検査機関において検査を受けた米(3)栽培履歴記帳が確認された米—と、さらに全農とちぎが独自に加えた第4の要件「網目1・85ミリ以上のふるいを使用し、適正に調製された米」の検査を通ったコメだけに付けられます。

 ■ 集荷率98%以上見込む ■

 「JA米」は「コシヒカリ」「ひとめぼれ」「あさひの夢」「アキニシキ」「なすひかり」「ミルキークイーン」の6銘柄に限られ、種子更新率は100%。栽培中、生産農家は農薬や肥料をいつ、どのくらい使用したかなどの項目を記入した栽培履歴日誌を年に2回、各JAが確認します。その上、集荷された玄米は各JAで検査を行い、合格すれば玄米の紙袋すべてに「JA米」のステッカーが張られ、各流通ルートに出荷されます。第4の要件により、栃木産JA米は全国でも高品位なコメとなっています。「ふっくらとしたおいしいコメを食べてもらいたい」というJAグループと、生産農家の強い思いの表れでしょう。

 県内の約4万戸の農家がJAにコメを出荷していますが、毎年JA米の生産を目指す農家は、各JAと出荷確約契約を結び、JA米の安定集荷に協力しています。全集荷数量に占めるJA米の比率は初年度が、88・4%でしたが、本年度は約98%以上を見込んでいます。出荷契約レベルでは既に99%を超えており「『JAが取扱う米は100%JA米に』という目標はほぼ達成できた」(JA全農とちぎ米麦部)そうです。

 「ふるいにかける」という言葉がありますが、各JAの検査場で文字通り1・85ミリ以上の網目のふるいに掛けられます。生産者名が表記された袋の一つ一つからコメを抽出し、資格をもった検査員が等級検査します。ふるいから落ちる粒が著しく多かった場合は、JA米として扱わず「一般米」となります。

 ■ 厳しい検査「当たり前」 ■

 大田原市野崎にある「JAなすの」の野崎倉庫では、週に2回玄米の検査が行われており、9月から10月中旬までのピーク時には1日で5000袋(2500俵)の玄米が集荷されます。検査員の磯元一郎米麦課長は「JAなすののコメはほぼ100%がJA米。生産履歴の記帳、ふるいの網目1・85ミリの規格も全農より先立って導入していましたから、JA米の要件にも抵抗なく移行できています」ということです。

 同JAの受検組合理事でもある、大田原市上石上の稲作農家・村田光喜さん(41)は「確かにふるいの検査、生産履歴の記帳など、以前より厳しくなったという声はあるけど、品質の良いコメを食べてもらうためには当たり前のことと思っています」。全農が目指す安全安心の理念は、各生産農家にも着実に浸透しているようです。

 [写真説明]検査を受け合格したすべてのコメに「JA米」のステッカーが張られていく。ピーク時は1日で5000枚ものステッカー(上部写真)を手作業で張ることになる=大田原市野崎、JAなすの・野崎倉庫

 [写真説明]集荷された玄米を手際よくふるいに掛け検査する磯課長


 コラムオアシス 医と食と農

 構内のキンモクセイが芳香を放っています。雌雄異株で雄株だけが中国からわたってきたそうで実はならないようです。以前このコラムで「医食同源」の話を載せていただきました。その医・食(農)が今危ない状態だと多くの人が心配しています。

 最近、メタボリックシンドローム(代謝異常症候群)が話題になっています。腹部肥満、高血糖、高中性脂肪血症、コレステロール血症、高血圧、このうち3つ重なれば相乗的に動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞の心臓病のリスクが一段と高まるとのことであります。1つ持つ人で発症リスクが5倍、2つで10倍、3つで31倍も高くなるとの調査結果もあります。

 これら生活習慣病といわれるものの大部分は「欧米型食生活」から「日本型食生活」に改めることでも相当改善するといわれています。今次、国が取り組みを始めた「食育基本法」は健康の面からも大切でありますが、食料の大切さを知ってもらうまたとない機会です。同法第6条には、「食料の生産から消費に至るまでの食に関する様々な体験を行う」などとあり、食に関する知識と関心が一段と深まって、さらには我が国の食料自給率が僅か40%であること、そのことの危うさが再認識され、自給率を高めるための行動に繋がることを期待したいと思います。

 農村は単に食料の生産の場であるばかりでなく、安らぎや癒しの場でもあります。これからも日本の農業が守られて、わが国固有の里山文化が崩壊しないことを願うものです。

(栃木県厚生農業協同組合連合会理事長 鈴木宗男)