生き残りかけて差別化

 サラダ、漬け物、かっぱ巻き…。カリウム、カロチンが豊富なキュウリは、毎日の食卓に欠かせない野菜の一つです。「新鮮なうちにガブリと丸かじり!」。県内では、ほぼ周年出荷されていますが、そんな食べ方をするのもぴったりの旬の季節を迎えます。

 県内のキュウリは、2005年度のJA系統出荷で5951トン、販売額は13億1886万円となっています。JA全農とちぎの野菜重点5品目(ほかにはトマト、ネギ、ナス、ニラ)の一つで小山市(県内生産量全体の27%)、旧石橋町(同15%)、佐野市(同11%)、旧南河内町(同10%)などが主産地です。かつては夏に定植し、秋に収穫する夏秋型が主でしたが、近年は冬春型が多くなり、複数の作型を組み合わせることによって周年出荷を行っています。また、県内生産者のうち、272人が水・土・空気に配慮した「環境保全型農業」を進める「エコファーマー」に認定されており、安全安心で質の高いキュウリの生産に励んでいます。

 ■ 魅力ある産地目指して ■

 栃木産キュウリの生産出荷量は、都道府県別に見ると全国15位(農水省統計)です。JA全農とちぎでは販路・消費拡大へ向けてラジオなどでスポットCMを流したり、各担当者らが番組に生出演してPRしています。また「小学生親子クッキングチャレンジ」や「消費者と生産者の交流会(キッチンスタジオ)」などの催しを通し、生産者と消費者の交流の場を設けて栃木のキュウリへの理解を深めてもらっています。全農とちぎは今後、生産環境の整備や、市場の需要のリサーチをかけた上で販売戦略を練り、魅力ある産地振興につなげていく方針です。

 そうした中で、組織は小さいながらも頑張っているのが、地域ブランド「ひめきゅうり」を生産しているJAしもつけの「栃木キュウリ部会」です。ひめきゅうりは、名前の通りミニサイズの品種の一つで、長さ14から15センチ、直径2センチほどのかわいらしいキュウリです。それでも栄養はたっぷり含まれ、通常のキュウリと変わりません。その上、皮が柔らかく、食味もよく、サラダや浅漬けに最適です。とちぎ農産物マーケティング協会の「地域ブランド農産物」にも認証されています。同部会の7人の生産者が約2ヘクタールの農地で年間約4万5000ケース(1ケース5キロ)を生産し、主に京浜市場に出荷しています。

 栃木市平柳町1丁目の高橋一友さんの約24アールのビニールハウスでは、1月に定植したキュウリの収穫に追われています。キュウリ一筋40年というベテランの高橋さんですが、「ひめきゅうりは普通のキュウリより生育が早いので、毎日必ず2回は収穫しないとね…」と苦労話をしてくれました。通常のキュウリでも収穫は毎日ですが、小さく、美しくなければ「ひめ」ではないということで、規格(サイズ)の数が2つしか設定されておらず、伸びすぎ、太りすぎ、曲がりは規格外にはじかれB級品となってしまうのです。

 ■ 部会として一本化 ■

 早川久人部会長=栃木市田村町=は「作業は大変ですが8年前に産地の生き残りをかけ、部会として覚悟を決め『ひめきゅうり』に一本化したわけです。消費者から『1度食べたら、また食べたくなる』、そんな声をいただくと、頑張らないわけにいかない」と全国で唯一の産地としての誇りを語ってくれました。

 ブランドには知名度アップを図る努力も欠かせません。2001年に部会員の奥さん6人が「規格外の作物の加工品(漬物)販売とPR」を主な目的に女性農業グループ「ひめ倶楽部」を立ち上げました。ひめきゅうりに適したレシピも開発しています。浅漬けから始まり、他の農作物とからめたキムチ漬けなど、現在では25品目以上を作っています。近隣のイベントや、JA直売所などに出品して好評を得ています。

 ひめきゅうりが市場にデビューした当初は物珍しさが先行していましたが、今では部会員の固い結束と努力、「ひめ」を育てる“親心”に支えられ、年々人気も高まっているようです。昨年7月には、シンガポールの伊勢丹百貨店で開催された栃木の農産物フェアにも試験的に出品され、ひめきゅうりは現地の消費者にも好評でした。

 [写真説明]1月に定植したひめきゅうりの収穫。生育が早いため1日に2回以上の収穫が必要=栃木市平柳町1丁目の高橋さん方


 コラムオアシス 内陸国の「恵み」に思う

 当地にお世話になり、はや2年近くになる。転勤族にとって、初めての地に慣れる苦労はある一方、その土地土地の「恵み」に出会うことは幸せの極みでもある。

 これまで、大阪、高知、故郷でもある宮城、その時々訪れた隣県にて、数多くの「恵み」に感激してきた。「食」の場合、珍味、地元でしか食せないものとなると、どうしても「海の幸」が多くなるようだ。

 これは、海産物の種類の多さや、鮮度維持から地元でのみ流通する、などがその理由であろう。その意味で、当地にお世話になる際、「海がない」点だけ、少し物足りなさを感じたのが正直なところである。ところがどっこい、当地の「食」はすごかった。米(コシヒカリ、なすひかり等)、野菜(白美人、ウド、トマト等)、果樹(にっこり梨、とちおとめ等)、そして「とちぎ和牛」と農畜産物はどれも一級品。

 加えて、鮎など川魚もいい。そばも今市近辺に限らず、県内に絶品が潜んでいる。そして忘れてならないのが、「佐野」に代表されるラーメンである。

 ラーメン好きの小生には、これは堪えられない。まさに、幸せの極みに浸る日々を満喫しているが、この「内陸国の恵み」を全国の人々に知らせることが、転勤族の役目と感じている今日このごろである。

(農林中央金庫宇都宮支店長 柴嵜幸男)

「うれしいね あったかご飯と 家族の笑顔」JAグループ栃木 お米の標語 最優秀作品決まる

 米消費拡大へ向けた標語の審査会がこのほど行われ、全国から届いた6349点の作品の中から、広島県山県郡北広島町の寅本美智子さんの作品「うれしいね あったかご飯と 家族の笑顔」が選ばれました。併せて選考された芳賀町立芳賀北小2年の齋藤修平君の図画作品とを合わせて看板が作成されました。