
「ネギは正直物」手間を惜しまず
江戸時代からネギ栽培が盛んな大田原市。この地を管轄するJAなすのは、2004年から軟白長ネギを「那須の白美人(はくびじん)ねぎ」のブランドで展開し、現在、約140軒の農家が栽培しています。今回紹介する阿久津清尚さんもその一人。JAなすのネギ部会で最年少、期待の農家です。
高校卒業後、県の農業大学校で土地利用型農業を学び、卒業後に就農。もともと実家が米を栽培していたこともあり、当初はニンジンの栽培なども考えたそうですが、昔からネギ栽培が盛んで、周囲に相談できる人が多かったこともありネギ栽培を開始。現在、1・6㌶の畑で秋冬ネギと春夏ネギを露地栽培しています。
「小さい頃から農家になると思っていました」という阿久津さん。ネギ栽培の醍醐味を、「ネギはとても正直。手をかければそれだけおいしくなる」と話す通り、畑には雑草も見当たらないほど丁寧に管理されていました。

年間を通じて栽培されるネギですが、秋冬ネギは特に栽培期間も長く、夏の暑さや雨にも気を使います。収穫が近づくにつれ追肥と土寄せを繰り返し、太く長いネギに育てていきます。近年、機械化が進むネギ栽培ですが調整作業は依然として手間がかかります。JAなすのでは県内でも珍しいネギ選果場を建設。組合員の作業負荷低減を図っています。
猛暑に負けない 苗作りなど励む
阿久津さんによると、「ネギ栽培は苗作りがとても大切。できるだけ均一な太さ、長さの苗を定植するのがポイント」とのこと。今年は夏の暑さを考慮した品種を加え、植える間隔を空けて、その分、肥料を多く与えるといった試みがうまくいき、猛暑にも関わらずおいしいネギに育ったそうです。
栽培したネギは、JAなすのを通じ首都圏などへ出荷されます。JAの直売所やネットショップ「JAタウン」でも購入することが可能です。辛みが少なく生でもおいしく食べられる「那須の白美人ねぎ」は、火を通すことで甘味が一層際立つそうです。

「おいしいネギを安定的に供給できるよう、今後は周辺の土地も合わせて規模を拡大させていきたい」と抱負を語ります。薬味にもサラダ、鍋にも使える万能食材のネギ。ぜひ手に取って食べてみてはいかがでしょうか。