箱詰めされた「さのまる葱」
箱詰めされた「さのまる葱」

こだわり4品種栽培 収量アップも目指す

 これからの寒い季節、鍋の具材や薬味に欠かせない万能野菜と言えば、長ネギ。佐野市は、規模は小さいながらも長ネギの栽培が盛んです。佐野産のネギは、冬の積雪などで野菜の栽培がしづらい八戸を中心とした東北地方に多く出荷され、高く評価されています。JA佐野では2023年11月、地元生産者らが「佐野ねぎ出荷部会」を結成。就農4年目の新井拓也さんもメンバーの一人です。

新井 拓也さん(34歳)
新井 拓也さん(34歳)

 新井さんは5人のパート従業員を通年で雇用し、「龍(たつ)まさり」「冬扇シオン」「陽春の宴」「初夏扇2号」の4品種を栽培。毎回、春と秋にたくさん収穫できる品種を試しながら栽培しています。「葱坊主」と呼ばれる花序ができると成長が止まり、ネギが堅くなってしまうため、「なるべく葱坊主ができにくい品種を選ぶようにしています」とこだわりを語ります。

 今季の出来は、「おいしい長ネギができました」と満足。しかし、その笑顔の裏には、夏の間は猛暑日が続いたり、ゲリラ豪雨もあったりと油断できない日々が続きました。一方、土作りの段階からなるべく水はけをよくするなど豪雨対策をしていた効果もあったそうです。新井さんは「同じ市内でも雨の降り方に違いがある」と話し、来季からは現在のほ場から約5㌔離れた場所に新たなほ場を確保。現在の3倍にあたる150㌃に栽培面積を増やし、収量アップとリスク分散を図ります。

プロジェクト1年 取引店舗など拡大

 佐野産のネギをブランド化し地域社会に貢献する「さのまる葱プロジェクト」も、市やJAの同部会、生産者、そして消費者も含め、確実にその輪を広げています。取り組みから1年が経過した今年8月には、さのまる葱の売り上げの一部を市に寄付。市内のスーパーや200店舗以上あると言われる佐野らーめん店でも使用される機会が増え、取引店の数は17店舗にまで拡大。「さらに就農者を増やして市全体の収量を増やし、多くの人に佐野産の長ネギを食べてもらいたい」と夢を膨らませます。

しっかり根が張っているので収穫作業も一苦労
しっかり根が張っているので収穫作業も一苦労

 新井さんには、SNSなどを通じて「長ネギ」でつながった友人や農家が全国に多数います。中には生産者からの助言もあり、「毎日欠かさず生育状況を投稿し、多くの方とのきずなが生まれました」。日々のきめ細やかな栽培と情報発信で、これからも「さのまる葱」を大きく育てていきます。

 お問い合わせはJA佐野園芸課 ☎0283・23・9982。