肥料にこだわり味を追求

太平山南山麓の気候と土地を生かし、「北関東有数の観光農園」とも称される栃木市大平町の「大平ぶどう団地」。今年も5月下旬からブドウの出荷が始まり、道沿いの直売所には県内外からブドウを目当てに、連日ファンが訪れています。
大平町ぶどう組合(58人)の副組合長で、杉田ぶどう園を営む杉田勇二(すぎた ゆうじ)さん(49歳)。幼い頃から両親の手伝いを通じ、自然とブドウ農家の道へ進みました。県の農業大学校を卒業後、山梨の果樹試験場で1年間の研修を経て21歳で就農。就農から28年が経ち、今では2ヘクタールの果樹園で巨峰を中心にシャインマスカット、クイーンニーナなど20種類を栽培。繁忙期の今は、妻の寛子(ひろこ)さん(45歳)と父、5人の従業員が総出で、収穫・出荷、露地ものの袋がけ、直売所の運営を行っています。

「土で味が変わる」という杉田さんのこだわりは肥料。杉田さんの果樹園では、父の代から牛ふんや鶏ふんに米ぬかや骨粉、魚粉を混ぜています。ブドウ栽培は適正に実を付けるように、時期に応じて枝や芽、花、実(粒)を間引く作業が重要だそうです。
お客さんの喜ぶ顔がブドウ栽培の原動力
杉田さんのブドウは直売所のほかに、JAしもつけを通じて県内や首都圏の他、仙台や石巻などにも出荷されます。直売所でのお客さんとのやり取りは特にやりがいを感じる点だといいます。今月中は加温ハウスものが中心になりますが、それ以降は雨除けハウスもの、露地ものと9月のお彼岸頃まで味わえます。

杉田さんは「今後はニーズの高い種なしの割合を増やし、巨峰のほか青系・赤系と種類豊富な品種をどの時期にも出せるように工夫していきたい」と話し、組合としても講習会などで技術の向上に努めています。近年は温暖化の影響もありますが、今年も粒の色が全体的に濃くしっかり付いていて、みずみずしくおいしいブドウに育ったそうです。
ブドウの保存は房ごとキッチンペーパーで包んでビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保管すると鮮度が長持ちするそうです。また冷凍庫で凍らせて食べる前に常温に戻し、シャーベット状にして食べるのも杉田さんはお気に入りとのこと。
おいしく実った大平町のブドウ、ぜひ足を運んで味わってみてはいかがでしょうか。
お問い合わせはJAしもつけ企画総務部 0282・24・1180まで。