太陽の恵みをたっぷりと受け、真っ赤に熟したトマト。一口食べると、ジューシーなおいしさが口いっぱいに広がります。海外には「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざもあります。トマトが「健康野菜」の代表といわれるのは、動脈硬化、心臓病などの原因となる活性酸素を除去するリコピンをはじめ、人の体を健康にする成分がたくさん含まれているからです。生でも、煮ても、パスタソースのように加工してもおいしく、多彩な調理が楽しめ、日々の食卓に欠かせない食材です。

▽3~6月が最盛期

 本県のトマトは、ハウスなどの施設を中心に生産されていて、年間収穫量(2014年)は約3万4500トンで、全国都道府県別6位と上位です。一年中生産されていますが、11月から6月に収穫される冬春トマトが最も生産が多く、気候が暖かくなる3~6月に最盛期を迎えます。品種は、生食向けの大玉トマトとして「麗容(れいよう)」「桃太郎」「マイロック」などが栽培されています。また、一般的な大玉トマトの他、高糖度トマト、ミニトマト、房なりトマトなども一部の産地から出荷されています。

 JAはが野トマト部会青年部部長の小川幹夫(おがわみきお)さん(40)=真岡市西田井=はトマト栽培20年のベテランです。計95アールのハウスで、10月下旬から翌年7月上旬までの越冬型の長期どり栽培を行っています。8月の植え付けから最後の収穫となる7月上旬までに、トマトの茎は6メートル以上にも成長し、何度も収穫することが可能となります。

▽細やかな目配り大切

 小川さんは「葉が茂りすぎ風通しが悪くなると、病気も出やすくなり収量も落ちます。常にトマトの状態を細かくチェックすることが、おいしいトマトを作るこつです」と、大ぶりで真っ赤なトマトを手に笑みを浮かべます。

  従来の土に植える生産方法から、ロックウールとよばれる土に代わる培地を使った先進的な水耕栽培にも取り組んでいます。「トマト栽培の技術は年々進化しているので、勉強が必要です。青年部の有志が集まり、ロックウールメーカーを招いた勉強会も定期的に行い、品質の向上と収量アップを目指しています」

 小川さんのトマトは吊り下げ式という方法で栽培されています。垂直に成長させて、クリップで上からつり下げます。上まで到達したら、横に移動しつつ、成長点を下げて、さらに上に成長するようにします。ビニールハウスを有効利用し、長期間栽培ができ、収量も上がりますが、常に地表近くでトマトを収穫しなければならず、屈んだ作業で腰を痛めやすく、作業者の大きな負担となります。

 そこで、もの作りが趣味の小川さんが自作したのが、乗用トマト収穫台車。「これに乗れば、腰をかがめることなく楽にトマトを収穫できます」と胸を張ります。この収穫台車は農業専門誌などでも紹介されました。さらに「昨年、テレビ朝日の『タモリ倶楽部』でも取り上げられ、タモリさんに会う機会にも恵まれました」と小川さん。トマト作りに懸ける熱意と、創意工夫の一端が感じられるエピソードです。

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • トマトの栄養素

    トマトの赤い色素は「リコピン」という成分で、抗酸化作用が強く、その作用はビタミンEの100倍以上にもなるといわれている。

  • おいしいトマトの選び方

    全体の色が均一の濃赤色で、皮にハリ・ツヤがあるものが良い。ヘタの部分がピンとしているものは新鮮な証拠。ずっしりと重いものほどジューシー。

  • 上手な保存方法

    買ってきたトマトはポリ袋などで密閉した後、冷蔵庫の野菜室に入れて保存する。食べごろの完熟トマトは傷がつきやすいので扱いは丁寧に。傷の部分から傷みが始まってしまうので注意する。


次代を担う/JA足利
長谷川大地(はせがわだいち)さん(30)/前職生かし農業活性化

  大学卒業後、5年間の社会経験を経て2013年4月に父(良光(よしみつ)さん)が経営する長谷川農場に就農しました。1年目はアスパラガス、2年目はコメと麦、3年目は牛の肥育を担当し、農場全体について学んでいます。

  数年前まで自分が就農するとは思っていませんでしたが、実際に関わってみると、とても可能性がある仕事だと感じます。父はそれまでの家族経営から脱却し会社経営での農業に取り組んでいます。循環型農業や新たな雇用の創出で、産業としての農業を成り立たせようとする姿を尊敬しており、自分も力を発揮できればと強く感じます。

  長谷川農場では地元足利のココ・ファーム・ワイナリーのブドウの搾りかす(マール)に二条大麦などを加えた独自の飼料を与えて育てる、「足利マール牛」を生産しています。これを提供する場の一つとして、地元企業の「大麦工房ロア」さんと共同出資し「ファーマーズ・カフェ つちのか」をオープンしました。以前、軽井沢のホテルに勤めていましたので、その経験も生かせました。これからもさまざまなアイデアで農業を活性化していきたいと思っています。


ようこそJAへ/JA足利/地域に根ざした組織を目指して

  JA足利では、平成24年度から「くらしの活動」の一環で、市内の小学生を対象とした農業体験スクール「JA足利あぐりキッズクラブ」を開校しています。4年目を迎えた本年度も、さつまいも苗の定植から収穫、みそ造りなどを体験し、食や農業について楽しく学んでいただきました。1月16日の閉校式では、参加児童全員に修了証書を授与し、27年度のカリキュラムを終えました。28年度も同様の企画で開校予定です。

  また、4月には「健康寿命100歳プロジェクト」の一環で「JA足利ウオーキング大会」を開き、地域の皆さまと共に汗を流し、健康増進を図ります。春を満喫しながら、参加者相互の交流を深めていただきます。

  さらに28年度は、「婚活イベント」を初めて開催し、生涯のパートナーを見つける出会いの場を提供して、交流のきっかけづくりをサポートします。今後もJAはさまざまな活動を通じ、組合員や利用者、地域住民から愛され、地域に根ざした組織を目指します。

  いずれも3月から参加者の募集を行います。お問い合わせはJA足利生活部生活振興課電話0284・41・7183まで。

[写真説明]自作の乗用トマト収穫台車に乗り収穫作業をする小川さん。「おいしくて安心・安全なトマトを、皆さんにお届けします」

[写真説明]暖かなハウスの中で育つ小川さんのトマト

[写真説明]長谷川大地さん