煮しめ、けんちん汁、おでん…。秋が深まり、夜風の寒さがこたえるようになると、身も心も温めてくれる「家庭の味」が恋しくなります。そうした料理の数ある具材の中で、派手さはないものの、決して欠かせない「名脇役」がサトイモです。かみしめるたびに、郷愁を誘う素朴な甘みとうまみが口の中いっぱいに広がっていきます。

 ▽全国5位の収穫量

 サトイモの原産地は、インド東部からインドシナ半島。日本で稲作が始まる以前に伝来しており、江戸時代にジャガイモやサツマイモが伝わるまでは、日本のイモの代表的存在でした。

 本県は鹿沼市、宇都宮市、壬生町、真岡市などを中心に、全国有数の生産地として知られています。農林水産統計によると、昨年の県内収穫量は8790トンで、これは宮崎、千葉、埼玉、鹿児島に次いで全国5位です。

 JAなす南では例年、収穫が9月下旬から始まり、10月をメーンとして12月まで続くそうです。約30年前に「里芋部会」を立ち上げ、25年間にわたって部会長を務めた那須烏山市田野倉の高(たか)田(だ)貞(さだ)夫(お)さん(85)に、間もなく収穫を迎える同所のサトイモ畑を案内してもらいました。

 サトイモの葉っぱは、夕立に遭った時に傘の代わりに使われるほど大きく、表面が水滴や汚れをはじきやすくなっています。葉っぱから太陽光を十分取り込むとともに、日傘代わりとなって畑を大敵である乾燥から守る役割もあります。高田さんは、サトイモ畑を見比べながら「葉っぱの大きさや繁り方を見れば、いいイモができるかどうかすぐに分かる」と言い切ります。

 収穫期になると、土の中では大きな親イモに寄り添うように子イモ、孫イモがたくさんできていて、出荷する親イモ以外の小さなイモは分離して来年用の種イモとして保存します。

 ▽安全安心にも配慮

 高田さんが、5、6人の仲間と共に部会を立ち上げてから約30年。この間、夏場には日差しが強まる前に迅速にポンプで畑に水を張るようにしたり、土のうによる種イモの効果的な保存法を考案するなど、「おいしいイモづくり」に取り組んできたそうです。JAなす南園芸課の平山(ひらやま)雅弘(まさひろ)さん(27)は「残留農薬や放射能の検査もきちんとして、安全安心なサトイモを提供しています」とPRします。

 日本古来の味覚とされるサトイモですが、最近の食生活の変化に影響を受けていることは否めません。農家の高齢化と相まって、同部会の会員は約20年前の約40人から現在は17人と半減しています。

 「確かに今の若い人たちはあまり煮物料理を食べないし、作らない。時代の変化は仕方ない面があります」。そう言いながらも、高田さんは年齢を感じさせない笑顔で「でも」と続けました。

 「サトイモのおいしさは変わらない。食べてもらえば分かります」

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • サトイモの選び方 泥付きのサトイモは、日持ちが良く、風味が保たれる。ふっくらとして張りがあり、指で押しても硬いもの、皮に湿り気があり、ひび割れやこぶがないものを選ぶ。サトイモは寒さ、乾燥に弱く、冷蔵庫では痛みが早まることがあるため、新聞紙に包み、直射日光を避けて5度以上で保存すると長持ちする。

  • サトイモの洗い方 皮を洗って除く場合、皮が付いたままのイモを数多く「桶」か「たらい」に入れて水を張る。ほぼ隙間なく入れた上で、棒か板で左右交互に約60度かき回す。サトイモ同士がぶつかり合う摩擦によって皮がはがれる。これが、混み合った状態をたとえる「イモの子を洗うよう」の由来になったとされている。


 コラムオアシス 「JAファンづくり」/地域の身近な存在に

 今、JAをあげて取り組んでいるのが「元気なJAによるJAファンづくり」で、『CS(組合員・利用者満足度)+運動』を展開し、「笑顔であいさつ」「清掃」を統一テーマとして実践しています。

 この運動の目指すものは、商品・サービスの質の向上に努めるとともに、組合員はもちろん、地域の皆さますべてがJAを身近に感じ、いつでも利用していただける存在になることです。

 本年は、経済事業改革の2年目を迎え、南部・日光両営農経済センター機能の強化に取り組んでいます。

 中でも、営農経済渉外員・営農指導員が、組合員(農家)に訪問する体制を充実し、出向く体制を一段と強化するとともに、質の高いサービスを提供するため、専門知識の習得に努めています。

 今後とも、当JAが掲げる「豊かな明日へ地域とともに」のもと、相互扶助・絆の力=協同の力を発揮し、組合員の営農と生活を守り、地域の皆さまとともに心豊かで健康なくらしに貢献できるJAを目指し、役職員一体となって全力で取り組みます。

(JAかみつが代表理事組合長 吉原勝彦)

読者の声 ~7月の紙面から~

 【モモの産地と知らなかった】
 同じ県内ながら、佐野がモモの産地とは知りませんでした。ぜひ、足を運んでみようと思います。(36歳・女性)

 【消費者も食料問題考えよう】
 食料問題は農業従事者のみならず、消費者も共に考えていかなければならない課題です。TPP問題に限らず、孫子の代まで見通した、希望のもてるようにしなければなりません。(71歳・男性)

 【料理自慢の一つに】
 料理好きな母も、レシピにあった「ブロッコリーの浅漬け」にはびっくり。「これであなたもお嫁に行けますね」ですって!料理自慢の一つに加わりました。(35歳・女性)


 [写真説明]「葉っぱを見ればサトイモの善しあしが分かる」と、特徴的な大きな葉っぱについて語る高田貞夫さん(左)。右はJAなす南の平山雅弘さん

 [写真説明]サトイモづくり30年の高田さん