みずみずしい食感と上品な甘さが魅力のナシのシーズン到来−。残暑の中で出荷される「幸水」に始まり、味覚の秋には「豊水」「あきづき」「新高」、そして10月下旬以降をしめくくる本県生まれの「にっこり」まで、多彩な品種による豪華リレーが楽しめます。

 ナシは本県の代表的な果物の一つです。2011年の県内収穫量は2万3千トンで、福島(2万1600トン)を抜いて初の全国3位に浮上。千葉(3万8100トン)、茨城(2万7600トン)に次ぐ“銅メダル”となりました。

 11年は、東日本大震災の影響で例年より収穫量がダウンした福島を除き、全国的に豊作でした。とちぎ農産物マーケティング協会によると、本県の場合、重量級品種のにっこりが前年比32%増、あきづきが同29%増と大幅に伸びたことが躍進の要因とみられます。

 ▽今秋ライバル出現

 JAしおのやは、本県JAの中でいち早くにっこりの栽培に着手し、海外輸出にも率先して取り組んできました。梨部会の21農家による全体の栽培面積は計28・3ヘクタール。品種別の割合は、豊水31・6%、幸水27%、にっこり23・4%−などとなっています。

 昨年4月から部会長を務める高根沢町上柏崎の古口(こぐち)善(よし)司(じ)さん(61)は「小さな産地ですが、昔からにっこりには力を入れていて、栽培面積は県内JAで3番目です」と説明してくれました。

 JAしおのやに限らず、本県関係者の期待を担うにっこりですが、実は今シーズンに大きな転機を迎えます。県は10年度から県外の生産者にも生産を認めており、いよいよ今秋、千葉、茨城などの他県産にっこりがライバルとして市場に登場する見通しです。

 指導に当たるJAしおのや園芸課の阿久津(あくつ)裕一(ゆういち)さんは「他県産に負けないためには、栃木生まれのナシを強くアピールしつつ味重視で勝負していかなければ」と強調。古口部会長も「安全安心の徹底は当然のこと。今後はさらに消費者の信用と信頼を得るための努力が必要」と気を引き締めています。

 ▽「減農薬」にも挑戦

 安全安心の実現に向けて、かねて部会全体でGAP(農業生産工程管理)を実施しているのに加え、最近は後継者8人でつくる青年部を中心に「減農薬」にも取り組んでいます。また、7、8年前から使用しているブランド名「元気あっぷ梨」の商標登録を果たすなど、他産地との差別化も進めています。

 青年部の一人で、脱サラしてナシづくり4年目の黒内(くろうち)康弘(やすひろ)さん(36)=高根沢町大谷=は、23日に予定されている幸水の出荷準備に余念がありません。

 「就農前は実がなったら採ればいいんだろうと軽く考えていたのですが、実際にやってみると花粉付けや剪定(せんてい)など仕事に追われる毎日。ナシが病気にやられた1、2年目は、夢の中でも病気に対応していました」。苦笑しながら振り返った黒内さんですが、続けて「品種や天候によっても育て方が違うし、これといった正解がない。しんどいと思うこともあるけれど、やはりナシづくりは面白いです」ときっぱり言い切りました。

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • 日本でのナシの歴史 ナシは日本の果物の中でも歴史が古く、弥生時代には既に食べられていたといわれる。日本書紀にも栽培の記述が残っており、江戸時代には品種も増加したとされる。

  • おいしいナシの選び方 形がよく果皮に張りがあり、軸がしっかりしているもので、同じ大きさなら重みがあるものを選ぶ。「二十世紀」などの緑色のナシは少し黄色っぽくなれば甘みが出た証拠。幸水などの茶色いナシは適度な赤みのあるものを選ぶ。

  • ナシの保存方法 水分が蒸発してカサカサにならないよう、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存する。新鮮で保存状態が良ければ7~10日ほどは日持ちする。


 コラムオアシス 地球温暖化問題 「田んぼ」が防止に寄与

 地球温暖化によって熱波や豪雨、干ばつや洪水など異常気象現象が顕著になっていることは、世界共通の認識になっています。最近、国内で発生している竜巻やゲリラ豪雨などの異常気象を見てもうなずけるところです。地球温暖化の原因といわれる温室効果ガスの濃度が現在の増加率のまま推移すると、今世紀末までに地球の平均気温は、1・8~4℃上昇すると予測されています。

 我が国には、温暖化の防止や生物多様性の保全に大きく寄与しているものがあります。それは『田んぼ』です。田んぼには稲の光合成や蒸発散によって光や熱を吸収する効果があり、水面からの蒸発や水が熱を蓄える性質によって気温上昇を防ぐ働きがあります。さらに、田んぼや畦畔(けいはん)は野生の動植物にすみかを提供し、自然環境を守っています。一つ一つの田んぼは小さくても、日本全国の田んぼを合わせれば約280万ヘクタール。普段の農家の営みが、地域の生態系を豊かにしているのです。

 地球温暖化防止について、京都議定書などで世界的な取り組みが開始されたにもかかわらず、野田首相は国民に十分な情報開示もないままTPP参加に前のめりになっています。今、日本が全力を挙げて追求すべきはTPPではなく、これ以上休耕田を増やさず、『田んぼ』を最大限に活用した米づくりであり、食料自給率の向上であります。

(JAうつのみや常務理事 藤田國泰)

読者の声 ~6月の紙面から~

 【将来の農業守ること大切】JAの直売所が県内には多くあり、とても安心です。新鮮で楽しみのひとつです。(60歳・女性)

 【安全安心な農畜産物を】今回のトウモロコシを販売している「道の駅みかも」も数回行きましたが、とにかく安全安心な農畜産物にはひかれます。これからも、農産物直売所めぐりを続けます。(58歳・女性)

 【作りたいトルティーヤ】今回のレシピ、トルティーヤはトウモロコシさえあれば家にいつでもある材料で、しかも難しい調理がいらず作れそうなので、ぜひ作ってみたいと思いました。写真も食欲をそそりました。(27歳・女性)

 [写真説明]昨年10月に開かれたJAしおのやの「にっこり」統一目ぞろえ会
 [写真説明]幸水の出荷準備に余念がない黒内さん