スタミナ野菜の代表格「ニラ」のおいしい季節です。栃木県のニラは年間生産量約1万2000トンで、高知県に次いで全国2位。冬ニラ、夏ニラの二つの作型で通年出荷されていますが、やはり冬から春にかけてのものが中心で、食べごたえ満点、栄養もたっぷりです。

 ▽水と空気、適した土壌

 「『一番刈り』といって、最初に出てくるニラの味は格別。寒さに当たり甘みも乗っていて、うまいよ」とアピールするのは、県内最大の産地・JAかみつが鹿沼にら部会の高橋忠久(たかはしただひさ)部会長(58)=鹿沼市池ノ森。JAかみつがは、日光連山から流れる清らかな水、澄んだ空気と栽培に適した火山灰土により、葉色の濃い肉厚なニラを生産する産地として市場から高く評価されています。

 鹿沼にら部会は昨年、創設40周年を迎えた歴史ある部会で、鹿沼市内の生産者166人で組織され、年間約2300トン、約12億円を産出しています。同じJA管内で“一年先輩”の西方部会(栃木市西方町、43人・大橋泰(おおはしたい)部会長)と、日光部会(日光市、48人・秋元俊彦(あきもととしひこ)部会長)と力を合わせ、県内ニラ生産の屋台骨を支えています。

 ニラの栽培は、3~4月ごろに種をまき、いったん苗を枯らし、株と根にたっぷり栄養を蓄えてから、収穫の冬に備えます。「一番刈り」から繰り返し収穫し、多い生産者は、1シーズンで8回以上収穫するそうです。

 鹿沼にら部会では、全国1位のJAとさかみ(高知県香美市、香南市)を視察するなど研さんを積んでいます。高橋部会長は「味なら負けない。これからも常に良質なニラを安定供給できるよう頑張ります」と力を込めます。また消費拡大にも意欲的で、JA全農とちぎの企画する「キッチンスクール」にも出向き消費者と直接対話し、栃木のニラをアピールしています。

 ▽地域の味全国へ発信

 鹿沼は、ソバ産地としても有名です。鹿沼市は、県内ナンバーワンのニラとソバが“タッグ”を組んだご当地グルメ「にらそば」を全国にアピールしています。にらそばは「鹿沼では、ごく自然に食べられていた料理」(高橋部会長)の一つ。「鹿沼そば振興会」に加盟する31店舗中、21店舗で味わうことができます。

 同市上久我の「そば処久我」を運営する「かぬま手づくりの里」の青柳秀男(あおやぎひでお)さん(65)=同市下久我=は、「そばもニラも100%地元産。最もおいしい季節に味わってほしいので、にらそばは季節限定です」と言います。昨秋には、ニラ生産者と、そば店主らが意見交換会を開くなど、地域ブランドの推進にも力を合わせようと努力を重ねています。

 JAかみつが産のニラは、ほとんどが京浜市場に出荷されますが、JAかみつがの奈佐原直売所、まちの駅「新・鹿沼宿」で扱っています。問い合わせは、営農部園芸特産課電話0289・65・1007。

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • おいしいニラの選び方 葉肉が厚く深い緑色で、葉先までピンと張りがあるものを選ぶ。また、買ったその日に食べるのがお薦め。

  • 強い生命力 収穫後も、横に寝せておくと上に葉が起き上がって曲がってしまうため、縦長の箱に立てて出荷する。曲がるエネルギーは、糖分を消費してしまうため、家庭でも縦に保存した方がいい。

  • 黄ニラ・花ニラ ニラに日光を当てず、軟白化(遮光)したものが黄ニラで、品種は同じもの。花ニラは、とう立ちした茎とつぼみを食べる。葉ニラとは別のもの。

  • 陽起草 江戸時代に発刊された日本初の農業に関する書籍「農業全書」には「陽起草として人を補い、温まる性のよきものなり」などと紹介されている。


 コラムオアシス TPPより大切なこと/食料需給の危機を懸念

 今、日本の食料自給率は約40%。この数値は世界の主要先進国の中でも最低水準に値します。日本の食料自給率は戦後において大きく低下の一途をたどり、昭和40年代70%以上で推移していた自給率が、現在では39%まで落ち込みました。食料自給率が低下したのは、食生活が欧米化し、食品の原料を海外に依存している事が大きな要因です。

 このような状況下、野田首相は農業を含めた多分野において甚大な損害をもたらす可能性があるにもかかわらず、国民的議論も十分になされないまま「TPP交渉参加」の表明をしました。このまま交渉が進み締結した場合、食料自給率はさらに13%まで落ち込むと予想されています。

 この状態で、もし世界の食料需給が危機にひんした場合どうなるでしょう?日本へ輸出している各国も自国内の供給を優先し、国外への食料輸出を抑制するでしょう。そうなれば日本は国内生産で食料供給を賄わなければなりません。しかし、現在の自給率のままでは、私たちの食生活がこのまま守られる保証はどこにもないのです。食料自給率の低下を農業だけの問題ととらえず、教育や社会の中でも自給率向上に向けた方策を考えていかなければなりません。

 「TPP」を締結するのがそんなに重要でしょうか?「TPP」よりも今は食料自給率の向上に向けた政策と、震災から1年がたった被災地への復興支援に取り組むことが最重要なのではないでしょうか。

(JAしおのや常務理事 横山初一)

読者の声 ~1月の紙面から~

【デメリット多いTPP】安全な食生活や医療制度について、一人一人が考えなくてはなりません。デメリットの多いTPPには反対です。(65歳・女性)

【食は原点】世界人口増が考えられ、食糧難が来るのではないか。「食を輸入で賄って良い」と考える人はそう多くないと思う。日本の身の丈にあった行動をすべきで、TPP参加は良くない。原点は「食」だ。(64歳・男性)

【農業以外への影響に衝撃】TPPが「農産物の自由化」だけでなく、自動車や保険にも関わっていることがよく分かり衝撃を受けました。(52歳・男性)

【安心な物を食べたい】今では、BSEの事態を忘れつつありますが、あの驚きを忘れてはいけないと思います。安心な物を食べたいです。(43歳・女性)


 [写真説明]「味なら負けない」と力を込めるJAかみつが鹿沼にら部会の高橋部会長=鹿沼市池ノ森
 [写真説明]「そば処久我」のにらそば。打ちたて、ゆでたてのそばに、「刈りたて」のニラが盛られる