日本の食を語る上で、大豆の存在は欠かせません。タンパク質が豊富で血や肉となり、日本人の暮らしを支えてきました。みそ、しょうゆ、豆腐に納豆、日光の郷土料理・湯波など加工食品は多岐にわたっており、身近な食材の一つです。

 農林水産省のまとめによると、1995(平成7)年の大豆の自給率は2%、製油用などを除いた食用自給率は10%にまで低迷していました。しかし、その後「安全・安心」に対する消費者の関心などの高まりとともに自給率はアップし、2008年の自給率は6%、食用自給率も25%まで回復しています。

 ▽輪作し収量安定図る

 「最近は健康志向で、栄養価も高くおいしい国産大豆に消費者の注目が集まっているようでうれしい。もっと関心を持ってもらいたいです」とアピールするのは、小山市間中(まなか)の福田浩一郎(ふくだこういちろう)さん(59)。1980(昭和55)年から毎年、休耕田を活用し、栃木県奨励品種のタチナガハを作付けています。タチナガハは大粒で甘みとコクがあり、しっかりした食感が特長で煮豆・豆腐に適した品種です。

 大豆は連作障害が出やすく、3年目を迎えたほ場の10アール当たりの収量は極端に減少します。そのため、麦などと耕地をローテーション(輪作)し、収量の安定性を図っています。また、天候に左右されやすく豊凶作の変動が大きい点も、自給率の伸びに影響を及ぼしていると指摘されています。

 福田さんは「昔はある程度、気候を予測できましたが近年は異常気象続き。ゲリラ豪雨で壊滅的なダメージを受けるほ場も少なくありません。毎日、空とにらめっこですよ」と苦笑いします。生育期の除草作業などほ場管理はもちろんですが、収穫期の10月末から11月の天候にも注意が必要だそうです。完熟した大豆は水分が高いと収穫できず、無理に収穫すれば商品価値を落としてしまいます。

 ▽全産地でGAP導入

 そうした中でも、生産者は、安全・安心で食味の良い国産大豆を消費者に届けようと努力しています。すでに県内すべての産地でGAP(農業生産工程管理)が導入されていますが、県内で3番目の作付面積(約370ヘクタール=2010年実績)を誇るJAおやまは、2009年から他産地に先駆けGAPに取り組み、信頼される大豆の生産に取り組んでいます。

 管内には「穂積ライスセンター」「西部共乾センター」と二つの乾燥施設があり、管内約200人の生産者が搬入した大豆を乾燥させ選粒し、品質の高い大豆を出荷しています。また、新たな取り組みとして新品種「里のほほえみ」を試験的に導入。大粒でタンパク質も多く、病気にも湿害にも強いとされる品種で生産者も期待しています。JAおやまの大豆に関する問い合わせはJAおやま営農部米麦課電話0285・33・4322。

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • 弥生時代以前に伝来 大豆の原産地は中国とされている。日本に伝来した時期や経路は不明だが、弥生中期には利用されていたと考えられている。日本最古の歴史書「古事記」にも説話が残っている。

  • 豆腐1丁に必要な大豆 製造法などによって異なるが、1丁を300グラムとすると77~99グラムの大豆が必要となる。

  • 大豆三粒の金仏 宇都宮市南大通り1丁目の善願寺には「大豆三粒の金仏」と呼ばれる高さ3・6メートルの大仏像がある。江戸の大火を受けて、仏像を建てようと資金不足に悩んでいた際、旅の僧に寄進された大豆3粒から、栽培を繰り返し資金をため、10年後の1735(享保20)年に完成させたとされる。そのため「蓄財の大仏」として知られる。


 コラムオアシス TPP参加反対/先人の教えに逆行する行為

 「真の文明は、山を荒さず川を荒さず村を破らず人を殺さざるべし」

 足尾銅山鉱毒事件で有名な政治家田中正造翁の教えである。いま山の力、包容力が弱まっているのではないか。ちょっとした大雨で土砂くずれ、洪水、そしてイノシシや鹿、熊までが人里に出没し問題になっている。開発が進んだ結果なのだろうか。森林関係者に話を聞くと、木材は昭和39年までに段階的に自由化され現在の自給率は18・2%と散々たるもので山は荒れ放題だという。昔は「山持ち=裕福な資産家」とされていたが、現在は相続しても自分の山がどこかわからない状態が多いという。そして「農業もこの轍を踏まないことが大事だ」と説いていた。
 TPPに参加し関税撤廃となれば、食糧自給率は40%から13%まで落ち込む(農水省試算)。当然耕作放棄地が増え、採算に合う区画整理の田畑だけを一部の耕作者が作ることになる。村の伝統や行事はどこにいってしまうのだろうか。そして医療関係、国民皆保険制度、医療品にも大きな影響が及ぶとなれば、命の問題に発展するのは必至である。
 日本人は農耕を主体とし、人と人のつながり、絆を大切にしてきた民族である。民族間に相反する考え方があるのは当然だが、せめて政府には独立国家として堂々とわたり合うことを期待したい。私達はあくまでこのTPPには参加阻止の立場を貫き、運動を続けていくことが日本の将来にとって大切なことではないか。そして、このことが先人の教えに沿うことではないだろうか。

(JAしもつけ専務理事 五月女貞作)

読者の声 ~9月の紙面から~

・毎回楽しみにしています。県産かんぴょうは私たちにとって大事なものです。全国にもっと発信しておいしいかんぴょうが広まればいいと思っています。(64歳・女性)

・郷土の誇る伝統農産物を守っていってほしいです。本県からかんぴょうの消費を拡大することが、一番の貢献策だと思います。(65歳・男性)

・かんぴょうはいつも手巻き寿司に入れたりするぐらいだったので、カリッと揚げてかんぴょうチップスを作りたい。レパートリーが増えて助かります。(30歳・女性)

・かんぴょうチップスは手軽にできて、孫も喜びそうです。鈴木さんの紹介する料理は身近な材料で作れて楽しいメニューです。(64歳・女性)


[写真説明]晴天の下、専用コンバインで大豆を収穫する福田さん。収穫後はJAおやまの乾燥施設に搬入する=小山市石ノ上

[写真説明]選粒機で大、中、小のサイズに分けられる大豆=小山市上石塚の「穂積ライスセンター」