「安価」と好評、生産拡大

 旧国名を下野(下毛野)と呼んだ栃木県。下毛野の「毛」には穀物の意味があるといわれ、古来より穀倉地帯であったことがうかがえます。現代でも米の生産量は全国8位、コシヒカリのみの生産量は3位を誇ります。

■大粒で食味も良好■

 JA全農とちぎによると、2010年産米に占めるコシヒカリの構成比率は全農への出荷契約基準76%と断トツ。消費者にも生産者にも人気の高いコシヒカリですが、栃木のおいしいお米を安定供給する上で、1銘柄に偏った米作りは、気候変動・気象災害などのリスクを分散するという点で懸念がありました。そのため、県は栃木独自のブランド米・なすひかりを開発。2005(平成17)年から県奨励品種として作付転換を促し生産拡大を図っています。

 なすひかりは、コシヒカリと愛知87号の流れをくむ品種で、コシヒカリよりも粒が大きく、おいしいお米です。倒れにくく耐冷性が強いなど、生産者にとってメリットも多く構成比率は年々増え、現在は6・9%にまで伸びています。早生(わせ)種ということで主な産地は、JAなすの(県全体の30・2%)、JAしおのや(同28・7%)、JAなす南(同13・7%)の県北地区が生産の中心ですが、県央、県南でも徐々に拡大しています。

 JAしおのやは、昨年から「新規需要米」の扱いで、なすひかりを生産し香港へ輸出しています。昨年は高根沢町の生産者ら7人で1万5082キロ、今年は同町と塩谷町の11人の生産者が3万3273キロを生産し輸出しました。おいしい上に、他の銘柄よりも安価なので現地での評判も良好です。9月3日、高根沢町上高根沢のほ場で行われた輸出米なすひかりの収穫式には、高橋克法(たかはしかつのり)高根沢町長、手塚功一(てづかこういち)塩谷町長をはじめ県やJA関係者らと9人の生産者が参加し、さらなる生産拡大に努めることを確認しました。

■酷暑の影響少なく■

 今年は酷暑の影響で、全国的に米の作柄に大きな影響が出ました。特に乳白米、胴割れが多く、例年90%以上だった県内産コシヒカリの1等米比率は、11月4日現在で75・5%と下落。一方で、なすひかりの1等米比率は83・1%とコシヒカリよりも高く、酷暑の影響を比較的軽減できたようです。

 また、JA全農とちぎ、JAなすの、JAしおのやでは、なすひかりのさらなるイメージアップにつなげようとハーブ米の生産にも着手しています。あぜ地に、ハーブの一種・ペニーロイヤルミントを植え、カメムシなどの害虫を寄せ付けない環境をつくり、減農薬栽培にも努めています。JAなすの産のハーブ米は、すでに県内のスーパーでも販売されており、JAしおのや産も、農業に関するイベント会場などで好評を博しています。問い合わせはJA全農とちぎ米麦部電話028・626・2174。

 [写真説明]輸出米なすひかりの収穫式に参加したJAしおのやの生産者と関係者=9月3日、高根沢町上高根沢(写真提供・JAしおのや)

 [写真説明]「食と農フェア」で好評だったJAしおのや産のハーブ米ブース=10月23日、県庁前(写真提供・JA全農とちぎ)

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • 新規需要米 飼料用、米粉用、輸出用、バイオエタノール用など用途が主食用米の需給に影響を及ぼさないものと定義され、減反を進めながら自給率の向上にもつながるとして注目されている。

  • 新米の定義 JAS法に基づく「玄米及び精米品質表示基準」によると、新米の表示が許されるのは、原料玄米が生産されたその年の12月31日までに容器に入れられるか、包装された玄米。または原料玄米が生産されたその年の12月31日までに精白され、容器に入れられるか、包装された精米とされている。

  • なすひかりの名前の由来 県農業試験場によると、早生種であるため県北、県央での栽培に適している品種。那須高原のさわやかなイメージに合わせた上、食味のよいコシヒカリの特性を受け継いでいることから命名された。


コラム オアシス 「よい食」とは何か/命守る一番大切なもの

 「地産地消」「安全・安心な食」をスローガンに、全国的な食の運動が展開され、今では農業の中の流行語のようであります。世界的な食糧危機が懸念されるなか、日本では食品偽装問題や輸入食品の残留農薬問題などから「食の安全性」に対する消費者の関心が高まりました。また、日本の食料自給率は約40%と非常に低く不安視されています。そこで、JAグループは平成20年6月、「みんなのよい食プロジェクト」を立ち上げ、全国的な運動を始めました。安全・安心な「食」、国民の健康を守る「よい食」とは何かを、JAと消費者の皆さんが一緒に考え、行動していくのです。  JA佐野では、9月11日に地元小学生を対象に「あぐりスクール」を開校しました。子供たちに通年で米・野菜作りや収穫、料理などを体験してもらいます。田んぼや畑でおいしいお米や野菜を作り、小学校の枠を超えた仲間づくりや世代の違う人との交流を深め、故郷に誇りを持って豊かな心を育むことが目的です。一人一人の知恵を出し合い、心と力を合わせて作業することで新しい友達を作り、地域の農業を楽しく学んでもらえることを期待しています。
 「食」は人間の命を守る一番大切なものです。子供たちの食と健康を守るためにいかに農業と環境が大切かを、地域の子供たちやその両親に伝えていくこと、その先頭に立つことが我々JAの大きな役割であると考えます。地域から信頼されるJAになれるよう、さらに頑張っていきます。

(JA佐野代表理事組合長 君田國雄)

読者の声 ~9月の紙面から~
【「日本一」の大根食べてみたい】

・塩原大根が昭和40年代「日本一」の名声を得ていたことを知り、食べてみたいと思いました。(55歳、女性)

【学校での取り組みに関心】

・食料自給率が一向に向上しない今、学校での取り組みが紹介され子どもの頃からの活動が重要と感じました。主婦として、自分も努力します。(64歳、女性)

・食料自給率を上げることを、紙面を見て再確認。なるべく近くのものを食べるように努力します。(39歳、女性)

・農産物直売所をまわるのが大好きです。人の温かさがあり、また、野菜・花などの他に加工品なども楽しいものがあるので楽しいです。(58歳、女性)

【大根は全部食べられる食材】

・大根はすごーい!葉や皮まで全部食べ尽くせる。“くるくる大根串”作ってみました。家族皆「おいし~い」と。ありがとうございました。(64歳、女性)