味わい豊かJAなすの・塩原だいこん

 みずみずしさと、甘み、うまみたっぷりの「塩原だいこん」は、箒川にそそぐ清らかな沢水と良質な土壌、さらに標高約600メートルという冷涼な気候が生み出した塩原高原を代表する特産品です。昭和40年代は、東京市場からも「日本一の夏大根」と“太鼓判”を押され、最盛期には1シーズンで約4億円の販売額を誇りました。

■野菜作りに適した土地■

 高原野菜の産地として「塩原そ菜生産出荷組合」が発足したのは1956(昭和31)年。それまでは大豆、ヒエ、粟、養蚕などを生産していましたが、全国的な冷害を契機に地域の有志が「農研クラブ」を立ち上げ、試行錯誤の末に、野菜の産地としてスタートしました。そして現在、旧塩原町内の生産者21人が大根のほかに、カブやホウレン草、春菊などを生産し、半世紀以上におよぶ産地の伝統と誇りを守っています。

 今年の大根の作付面積は約20ヘクタールで、約650トンの出荷量を予定。最盛期と比べれば生産者も、作付面積も3分の1になってしまいましたが、大根を作り続けて50年になる君島義平(きみしまぎへい)組合長(68)=那須塩原市上塩原=は「塩原高原は大根作りに適した土地。生産者の高齢化、後継者の問題などありますが、先人が開拓した豊かな大地を簡単には手放せません。これからも、“うんまい”大根を皆さんの食卓に届けられるよう頑張りますよ」と笑顔で話します。

■早朝から続く収穫作業■

 塩原だいこんの出荷ピークは7月から9月で、多い日は1500ケース(1ケース約10キロ)が、宇都宮市や京浜市場に届けられ、翌朝にはスーパーなどの店頭に並びます。そのため生産者は、未明から、電灯をつけ1本1本手作業で抜きます。わずか2、3時間で1000本以上を抜く日も少なくありません。抜いた大根は、水洗いで土を落とし乾燥させ、規格ごとに箱詰めし、午後2時には出荷場に届けられるよう、毎日の地道な努力が続きます。

 JAなすのの塩原だいこんは、すべて「青首」の品種で、同組合で取り決めた品種のみを生産し系統出荷しています。また近年は、JAなすの管内の小、中学校の学校給食にも活用されるなど、「地産地消」「食育」事業にも取り組んでいます。

 塩原だいこんの問い合わせは、JAなすの上塩原野菜集出荷所電話0287・32・2957。

【安全安心の取り組み】JAなすの・塩原そ菜生産出荷組合は、平成14年度から独自の栽培履歴記帳を始めている。さらに減農薬栽培のためマリーゴールド、エンバク、らい麦(線虫予防)などを作付けし、安全安心な農作物の生産に努めている。

 [写真説明]未明から「塩原だいこん」の収穫作業を続ける君島組合長。1日で1000本以上を抜く日も少なくない=那須塩原市中塩原

 [写真説明]抜いた後、土を落とし1本1本丁寧に磨きをかける

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • おいしい大根の選び方 肌にひげ根や、くぼみがなくなめらかで色白でつやと張りがあるものがよい。同じ品種であれば太くてずっしりと重いものを選ぶ。

  • 9割が日本産 世界の大根生産の約9割が日本で生産されており、国内で消費されている。

  • 蘿蔔(スズシロ) 大根の異名で春の七草の一つ。語源は菘(スズナ・カブ)の代わりに用いるところからスズナシロ(菘代)となったという説がある。(「日本語源大辞典」より)

  • 大根役者 演技力のない芸のまずい役者を軽蔑していう言葉。諸説あるが、大根はどのようにしても食べてもあたらないところから、あたらない(うけない)俳優を言った。(「日本語源大辞典」より)


 コラムオアシス 向上せぬ食料自給率/食育の長期的実践が必要

 日本農業は、先進国でも最低の食料自給率40%、農業所得減少による担い手不足、輸入農産物増大、安全性の問題など数多くの課題を抱えています。中でも一向に向上しないのは、食料自給率です。これは、食料の供給面と需要面のミスマッチが最大の原因です。そのため需要に応じた生産に取り組んでいるところです。一方、日本の各地域が取り組む課題は、地産地消です。各地域で消費される食料が、地域の農産物で賄われる事で自給率は、おのずから上がりますが、とりわけ土地利用型稲作がその大宗を担うものと思われます。  栃木市都賀地区(旧都賀町)では、学校給食の目標として、伝統的な日本文化である、稲作、米食の理解を深めるため米食の提供に大きな工夫がとられています。それは、地元産のコシヒカリを使い家庭用炊飯器を使用した炊きたてのおいしいご飯の提供です。次世代を担う子供たちが、ご飯を中心とした日本型食生活を志向する中で、望ましい食生活の実現や地元産米の利用拡大を目指すものです。  赤津小に家庭用炊飯器を導入した際の考察では(1)ご飯の残食率が大幅に減った(2)おかずを含めた残食率が減った(3)パンよりもご飯が好き−と、大きな成果を挙げています。学校給食を生きた教材として食育活動の活性化が図られています。自給率を上げるためには、各地において地産地消を実践し長期的な視点に立ち具体的実践が是非とも必要だと思われます。

(JAしもつけ代表理事組合長落合靖)

読者の声 ~7月の紙面から~

【農業こそ日本を育てる第一】

・「農業・農村の持続的な発展のためには、担い手の育成確保が欠かせません」とのこと。すごくよく感じます。JAグループがもっと発信し、よりよい農業になっていくことを希望します。(45歳、女性)

・JAの取り組みは注目されていますが「行政の関与がなければ」と感じます。6次産業化には共感します。応援しています。頑張ってください。(42歳、男性)

・自給率40%という危機感から数年たった現在、新たに農業を目指したいという人の声も聞きます。生産者が安心して日本の食を預かっていける補償の形を作っていくことは大切だと思うし、充実させてほしいと思っています。(44歳、女性)

・日本の農業の現在が分かった。学校給食も「食育・地産地消」を目指すなど食に関心が高まっている。農業こそ日本を育てる第一では…。(42歳、女性)