市場評価高いブランド品

 「曲がったキュウリ」は見栄えの悪さからスーパーなどの店先では、ほとんど見かけなくなってしまいました。しかし「曲がっている方が、本当はおいしい」といった話をよく耳にします。実際、味に違いはあるのでしょうか。

 県内最大のキュウリの産地・小山市で37年間生産に携わっているJAおやま・きゅうり専門部会の日向野敏雄(ひがのとしお)部会長(55)に聞いたところ「曲がっていても真っすぐでも、味は同じですよ。でも、真っすぐな方が、消費者の皆さんに喜んでいただけるのは事実。私たち部会員(144人)は、真っすぐでツヤのある上質なキュウリの生産に励んでいます」と答えてくれました。

 ■ 県内の「46%」生産 ■

 栃木県のキュウリの年間出荷数量(JA全農とちぎ市場販売扱い)は、約5950トンありますが、そのうちの約46%(2750トン)がJAおやま管内で生産されています。また、同JAのキュウリは通年全ての作型において県内で唯一、農林水産大臣からの野菜指定産地の認定を受けています。作型には「促成(ハウス)」「雨よけ(ハウス)」「ネット(露地)」「抑制(ハウス)」の4つがあり、主に京浜方面や、県内では宇都宮の市場に通年出荷されています。

 小山のキュウリ生産の歴史は古く、約半世紀の歴史があります。旧小山市農協の「間々田ハウスきゅうり部会」のころから、市場の評価も高く、京浜市場などではブランド品として扱われてきたそうです。日向野部会長は「これからも技にこだわりを持って産地の伝統を守っていきたいですね」と胸を張ります。品質等級も他産地より1つ多い9等級と、選果に対する「こだわり」もあります。JAおやま管内には2つの選果場もありますが、日向野部会長の所属する地域では、各農家の「確かな目」によって選果し、手で箱詰めしています。

 ■ 品種、技術も進化 ■

 20年ほど前のキュウリのほとんどには、ブルーム(ろう状の果粉)が付いていたものですが、「農薬が付着していると誤解」されるため、今ではほとんど粉の出ないブルームレス品種に切り替わっています。

 品種だけでなく、栽培技術も進化し、促成の作型においては、新梢(しんしょう)(当年枝)の先端を早期に摘み取る「摘芯栽培」から、収穫位置がそろう「つる下ろし栽培」に切り替え、品質向上につなげています。雨よけ・抑制の作型では、ミツバチを導入し果形のよいキュウリ作りに役立てています。また、作型ごとに、講師を招いた勉強会を重ね、より良いキュウリの生産に努めています。

 ■ 旬ならではの香り ■

 6月は、いよいよ露地で育てたいわゆる「ネットキュウリ」が出始める季節となります。「出始めのキュウリは、実の張り具合が違いますよ。キュウリ特有の香りと、みずみずしさを味わってほしいですね」

 JAおやま産のキュウリは同管内の農産物直売所などでも購入できます。問い合わせは、営農部園芸課(東部集荷所)電話0285・45・7101。

 [写真説明]6月の出荷を待つネット栽培のキュウリ畑。間もなく、大人の背丈ほどのアーチがかけられ、1500坪の畑は緑一色となる。部会長の日向野さん=小山市東黒田

 [写真説明]終盤を迎えた促成栽培(ハウス)のキュウリ

 [写真説明]手詰めにこだわる日向野さん宅の作業場。多い日には約500キロものキュウリが箱詰めされる

 【安全安心の取り組み】JAおやま「きゅうり専門部会」は、全員がエコファーマーの認定を受けている。また農薬の適性使用を心掛け、使用履歴の記帳を徹底し、残留農薬の検査なども実施している。

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇ キュウリ編

  • 品種 白イボ系、黒イボ系など、世界で500種以上の品種が栽培されている。日本では現在、ほとんどが白イボ系で、JAおやま管内では主に「ハイグリーン21・22」、「春栄」「フロンティア」「エクセレント2号」が生産されている。

  • 選び方 鮮やかな緑色でツヤがあり、表面のイボが痛いくらい、とがったものが新鮮な証拠。多少の曲がりは気にせず、太さが均一のものを選ぶ。

  • 黄瓜 江戸時代以前は完熟して黄色くなってから食べていたので、黄瓜(きうり)などと呼ばれていた。現在は、未熟な状態の果実を食べていることになる。

  • 葵の紋 輪切りにすると、表面が徳川家の葵(あおい)の紋に似ているため、江戸時代は輪切りにして食することは慎まれていたという。


 コラムオアシス  農村の保全 地球環境を維持する基盤

 世界的な食糧危機が訪れると叫ばれ久しいが、今まで日本においてはその実感が感じられなかったような気がします。しかし昨年、世界的な経済不況が訪れるに到って、それが現実のものとして感じられたのではないでしょうか。

 また、猫の目農政と言われ続けてきた日本の農政ですが、新たな食料・農業・農村基本計画が施行されて以来、さらに混迷が深まっている気がしてなりません。食糧自給率目標を当初45%に設定し現在は50%を目標としています。数値目標を立てそれに向かって行動することは大変素晴らしいことですが、一貫性がないのも現実です。国の食糧自給率を上げ、農業者が生活を確保できるような、総合的見地に立った永続的な農政を望みます。

 今日の世界的な経済不況を招いた米国型の市場経済偏重の考え方が日本の農業にとって本当に正しい考え方なのか再考する必要があると思います。農地は単に食料を生産する基盤だけではなく地球環境を維持する大切な基盤でもあります。

 今、不耕作地の増加が社会問題になっていますが、このことは、単に経済合理性だけを追求していては解決できない問題です。豊かな農村環境等の保全活動を通じて地域の活性化を図る農地・水・環境保全向上対策を推進する必要があります。国民・消費者の皆さまの合意が得られるよう、農業者、農協組織は更に努力し、日本の食料、自然環境を守っていく必要があると思います。

(JAうつのみや代表理事専務 佐久間芳昭)

読者の声 ~3月号から~

【特集「ワラビ」を読んで】

・温度管理、土づくりにを徹底的に研究し、より良いワラビ作りに励んでいることに感心させられました。(60歳、男性)

【コラムを読んで】

・フードマイレージを初めて知り、地産地消の大切さを改めて考えました。目からウロコです。これから買い物をする折に意識して行動します。(60歳、女性)

・栃木産をスーパーで見かけると、地元ならではの親しみを感じます。地元野菜でまかなえば、エコにもつながるし安心ですね。(43歳、女性)

【レシピについて】

・「シャキシャキ小松菜」はよい勉強になりました。自慢料理の一つになりそうです。