販路拡大、人気の定着図る

 県産青果物が海外へ—。本県が誇るナシの「にっこり」、イチゴの「とちおとめ」、ブドウの「巨峰」が、東南アジア各国で好評を得ています。近年、各国では、高級品として日本産の農産物を輸入する動きが活発になっており、本県産の人気もその流れの中にあります。

 ■ 傷み防止に工夫も ■

 本県では2004年度から香港へ「にっこり」と「とちおとめ」のテスト輸出をスタート。同事業に取り組むとちぎ農産物マーケティング協会は「本県農産物の販路拡大と、海外での人気を反映させ、ブランド力を高めるのが狙いです」と説明しています。

 本年度は新たな品目として、昨年6月にブドウの「巨峰」を香港へ輸出しました。ナシは香港に加えタイと台湾へ、イチゴも新たにタイへ輸出先を広げ、着実に実績を伸ばしています。

 イチゴの生産量日本一を誇るJAはがのは、管内で生産された自慢の「とちおとめ」を今年1月に初めて香港に輸出しました。「鮮度を保ち、いかに傷みを少なくして消費者に届けるかが重要」と同JAいちご部会(726人)の野口喜一郎部会長。空輸時の傷みを防ぐため、イチゴを2段詰めから1段詰めに変更し、段ボールもパックに衝撃が伝わらない特別の構造になっています。

 野口部会長は「栃木県産のイチゴのおいしさをたくさんの人に広めたい」と今月16日から3日間、香港のスーパーで店頭に立ち、PRに努めました。

 ■ 生産者の意識向上 ■

 JAうつのみやでは昨年11月に同JA東部選果場からナシの「にっこり」をタイに初出荷。ナシは昨年12月にバンコクで開催された「タイ日本食品フェア」に出展したほか、量販店などでも販売しました。ナシは日持ちもいいことから贈答用としての需要もあり、現地での評判は上々です。

 同JA梨専門部(120人)の相場克元部長は「海外に出すということで、『よりおいしいものを作ろう』という生産者の意識が高まっています」と目を輝かせます。

 同協会では、本年度輸出金額を前年度比1・5倍とすることを目標にしています。同協会の吉沢秀郎理事長は「当面は品目の拡大というよりは、既存の品目の輸出量を着実に伸ばし、海外での人気を定着させていきたい」と安定出荷を目指しています。

 [写真説明]香港の高級スーパーで販売されている「とちおとめ」。「大粒なうえに果肉が柔らかく、甘い」と現地でも好評だ


 コラムオアシス 「食農教育」を推進

 ライブドアの堀江前社長が逮捕されてから一カ月近くがたった。その間この事件をきっかけとして反省・問題の提起がなされている。企業倫理の喪失、拝金主義の蔓延、行き過ぎた市場万能主義の弊害であるとか。そのなかで、今の学校教育においてはアメリカ的な功利主義・実利主義が優先されるあまり、額に汗して働く尊さ、地道に努力する粘り強さ、道徳的規範に基づく規律といった「心の教育」が不足していたのではないかといった反省も聞かれる。

 今JAグループでは「食農教育」を重点運動事項とし、そのなかで子供たちの農業体験学習を通して豊かな自然とふれあい、作物を作る喜びを感じてもらう取り組みを進めている。

子供たちは農作業を通して、勤労の尊さ、息の長い努力、生ける物への愛情といった人間として大事なものを学び、豊かな人間性を身に付けていくと思う。

 今後のIT社会の発展とともに、「心の教育」はますます重要になる。そうした意味からも、学校教育や地域での活動による「食農教育」の一層の広がりを期待したい。

(JA共済連栃木県本部長 東海林久雄)