手間と工夫で病害虫防除

 甘くみずみずしい露地栽培のナシが、出荷シーズンを迎えます。「今年は春からの天候が順調だったから、味は期待できますよ」とアピールするのは、JAはが野梨部会(165人)の関澤昭部会長。県内最多のナシ出荷量を誇る同部会は、「安全・安心なナシづくり」に意欲的です。

 ■ “仕掛け”が奏効 ■

 同部会は10数年前から、有機質たっぷりのオリジナル肥料を使っています。減農薬についても4年前に組織的な取り組みをスタート。独自の病害虫防除指針を設けました。また、性フェロモン剤を用いて害虫の交尾を阻害する“仕掛け”も導入し、成果を上げています。 環境に優しい農業に取り組む「エコファーマー」の認定を、2、3年かけて部会員全員が受けました。「安全、安心で品質のいい農産物をつくることは、生産者の義務です。農薬や化学肥料をさらに減らせるよう、地道に努力します」と、関澤部会長は気を引き締めます。

 県内一のブドウ生産地・岩舟町でも、同町ぶどう生産出荷組合(73戸)がハウス栽培を中心に減農薬を進めています。指導機関と連携し、病害虫を広げないよう早めの防除を心掛けています。一方、ハウス内に大型扇風機を設置するなど、手探りで見い出したカビ防除策も効果を発揮しています。さらに、実が大豆粒ぐらいになるころから、房をていねいに水洗いしています。

 「減農薬にすると、4、5倍の手間が掛かりますね」と打ち明ける小林要組合長。それでも、「消費者が農薬や化学肥料を嫌います。生産者が生き残るためには、他産地よりも進んだことをやらなければ」と前向きです。

 ■ 生産履歴の記帳も ■

 JAグループ栃木全体では、食の信頼の確保に向け努力しています。生産履歴記帳運動では、生産者が適切な生産基準に基づいて生産し、肥料や農薬などの使用状況を記録。JAはその回収・点検を行い、消費者や取引先に生産情報を開示できるようにしています。

 残留農薬分析も、外部機関に検査を委託し行っています。前年度はコメ、イチゴ、トマトなど22品目314点を検査した結果、すべて基準値内でした。本年度は330点を検査する予定です。

 [写真説明]減農薬・減化学肥料の取り組みを組織的に進めているJAはが野梨部会。ハウス栽培のナシに続き、露地栽培のナシも出荷シーズンを迎える=芳賀町


 コラムオアシス 「食育」は「食農教育」

 最近の子供達の遊びの時間の過ごし方を見ると、年寄りの私たちのその時代と雲泥の差があるようです。

 学校から帰るとランドセルを放り出して、暗くなるまで表で遊び、疲れて勉強は二の次でした。だから今の自分のようにしかならなかったのかも知れません。でも家の外には自然がいっぱいでした。友達にも恵まれ思いっきり暴れ回ったものです。そこには田や畑があり、林や小高い山あり、小川のせせらぎもあり、そしてそこに命を育む動物や植物とともに、日々季節の移り変わりを肌で感じながら大人になったような気がします。

 しかし今の子供達はどうなのか。表に出ると自然はない、代わりに危険がいっぱいで、いっしょに走り回る友達もいない。となると勉強するか一人でパソコンのゲームで時を過ごすことしかない。「変われば変わったものだ」。

 そして今「食育」という教育の必要性が話題になっています。今更食に関する教育が求められるとはと思いつつ、「食」と「農業」は切っても切れないものなので「食育」とは「食農教育」と位置づけてほしいものです。

(JA全農とちぎ県本部長 小出昭夫)

 ◇◆◇ BSEについて考えてみました。 ◇◆◇

 積極的監視体制をとっている国でBSEが発見されたという報告のほうが、監視体制のない国で症例の報告がないというより安心できます。

 BSE(牛海綿状脳症)はその大部分が謎の部類に属する新しい病気です。めざましい研究の進歩にもかかわらず、科学はいまだに全ての疑問に確実に答えることができていません。ただ、流行の原動力となったものが、病原体に汚染された肉骨粉飼料、つまり肉以外の牛の体から回収したいわゆる「肉骨粉」を、餌(えさ)として他の牛に与えたことがBSEの原因です。これは全頭検査などの積極的な感染牛の摘発・淘汰(とうた)によって、感染物質の飼料への混入の大部分は防止されます。

 BSEの原因となる病原体は、特定の組織、特に脳、脊髄(せきずい)、中枢神経系に関連する部位に集中しています。加工過程でワイヤーブラシや機具を使用し、骨や脊椎に付着した肉片を取ると、感染した神経組織を取り出してしまい本来安全であった肉を汚染する可能性があります。このような「機械的除去肉」は、加工肉製品に使用されることが多いとされますが、こういった特定の危険部位を除去、処分する厳格な措置を実施することによって、消費者を保護することが出来ます。

 わが国では、感染牛の摘発・淘汰や特定の危険部位を除去する措置が適確に実施されていますので安心です。