バイトがきっかけ 新規就農に挑戦

 夏野菜の代表格、ナスの最盛期がやってきました。ナスは麻婆茄子やカレー、煮浸しなど、料理のバリエーションも豊富です。那須塩原市でナス栽培に励む田川巧さんは昨年、新規で就農して以来、2年目のシーズンを迎えています。

つやがあり、形や色、味に優れた「那須の美なす」
つやがあり、形や色、味に優れた「那須の美なす」

 病気により自宅にいることが多かった田川さんに転機が訪れたのはおととし。父の剛(つよし)さんと一緒に、アルバイトでナスの収穫を体験。もともと農業に興味があり、自宅に栽培可能な土地を保有していたことから栽培を決意しました。始めたばかりの頃は慣れないこともあり、「思うような収穫量が得られなかった」と振り返ります。

 ナスは生育力が強い反面、デリケートな野菜。剪定(せんてい)や誘引(ゆういん)など管理作業が大切です。その一つがV字型の支柱に、強い枝を4本だけ残して固定していく作業。これにより太陽の光と養分を十分に行き渡らせます。また、ほ場の周囲に「ソルゴー」という植物を植えて、風による傷を防ぎます。「いいナスを生育するためには、適切な管理作業が欠かせません。害虫や病気も含め、生育状態を確認するためにも大切です」と話します。

いいナス作りには剪定と誘引が大切
いいナス作りには剪定と誘引が大切

目標は通年で農業 ハウス栽培も視野

 今年は、昨年の経験を生かして順調に収穫を進めています。約20アールのほ場に1300本の苗を定植。収穫は8月から9月末までをピークに11月まで続きます。多いときは一日150キロを収穫。家族ら4人が朝5時から午後2時まで、収穫や出荷作業に汗を流します。JAなすのなす部会の現地検討会や目ぞろえ会では、栽培や収穫、出荷に関する知識を先輩たちから貪欲に学び、活用しているそうです。

田川 巧さん
田川 巧さん

 栽培しているナスは、JAなすののブランド「那須の美なす」で、味よし、色よし、形よしと三拍子そろった名品。漬物などの生食のほか、焼いても煮てもおいしい万能な食材です。田川さんは「油との相性がいいので、辛味噌炒めがおいしいです」と食べ方をアドバイス。育てたナスは、JAなすのを通じて、首都圏を中心に出荷されています。「今は露地栽培だけですが、将来はハウス栽培も目標。ナス以外にも作物を広げ、一年を通して農業ができたら」と夢を語り、「自分が作ったナスで人が喜んで、幸せになってくれたらうれしい」と、今日も栽培に励みます。

お問い合わせはJAなすの総合企画部☎0287・62・5555。