春の香りを楽しむ高級食材

 

 春の訪れを香りとシャキシャキの食感で教えてくれる山菜「山ウド」。栃木県というとイチゴやかんぴょうが有名ですが、実は山ウドの生産量も全国トップクラスを誇ります。中でも那須塩原市や大田原市は昔からウドの栽培が盛んで、JAなすのでは「那須の春香うど」のブランド名で全国各地へ出荷しています。

 那須塩原市で代々農業を営む関谷竜生(せきや りゅうせい)さんも山ウド栽培農家の一人。現在86人が加入するJAなすのうど部会に所属しています。以前はJAなすの職員として働いていましたが、6年前に実家で就農し、山ウドとコメ、ナスを栽培しています。

 

 一般的に、ウドは遮光したビニールハウス内に木の板で組んだ枠内に株を植え、もみ殻で覆い芽を伸ばす「山ウド」と、半地下の室(むろ)で光を当てず白く細く育てる「軟化ウド」に大別されます。

 関谷さん宅では85アールの田畑で株を養成し、4棟のハウスで山ウドを栽培。現在、収穫と出荷の最盛期を迎えています。一日の収穫量は140〜150キログラム。ピーク時には2キログラムの箱で120箱もの山ウドを出荷します。

おいしさを生む日々の作業

 

 山ウド栽培は春に種株を畑に定植。11月頃にいったん掘り起こしハウス内で育てる「伏せ込み」をし、株の栄養で伸びた芽を1月半ばから4月に収穫・出荷するという年間作業です。定植の時は友人にも手伝ってもらいますが、普段は母と2人で作業しています。そんな関谷さんは「おいしい山ウドは株の出来で決まる」と話します。そのため、株養成期の雑草の除去など日々の地道な作業を怠りません。そしてもう一つのこだわりが「芯止め」という、ある程度育ったところで先端を切り栄養を株にためる作業。これは先代の父から教わった栽培方法を踏襲したもので、実際に効果を感じているそうです。

 関谷さんが栽培した山ウドは、JAなすのを通じて首都圏や京浜地区に出荷されるほか、JA全農が運営する通販サイト「JAタウン」でも購入できます。関谷さんのお勧めは千切りにした山ウドをハムで巻いて食べるというもの。ハムの塩気が山ウドと合うそうです。「これからもおいしい山ウドを育てるので、ぜひ食べてほしい」と話してくれました。

 みなさんも「那須の春香うど」で春の香りと食感を一足早く味わってみてはいかがでしょうか。

 お問い合わせはJAなすの南部園芸センター☎0287・23・3336へ。