トルコギキョウ農家一年目共に成長、開花待つ

 

 約4年前に僧侶から転身し、就農した足利市の一鐵創さん(38)は、トルコギキョウ農家として独立して間もなく1年。ふっくらしてきたつぼみを見つめ、初出荷に胸を膨らませます。

 ピンク、青、紫、白など色が豊富で、一重や八重、フリンジ状など咲き方も多彩なトルコギキョウは観賞用や花束に重宝されています。足利市は出荷量県内一位。出荷は11月から6月まで続きます。

 

 一鐵さんは和歌山県の高野山大学大学院で仏教を学び、寺院に勤めていましたが、「故郷に根差した仕事を」と帰郷。家庭菜園をしていた父の影響もあり、農業の道へ。地元のトマト農園で働いていた時に、JA足利花き部会部会長の室田憲一さんに誘われて独立しました。 

「始めは不安でしたが、『連作障害を起こしやすいので土づくりが一番大切』と熱心に指導してくれる室田さんをはじめ、部会や近隣農家の先輩方が頻繁に様子を見に来て応援してくれる。本当に心強いです」と一鐵さん。

 さらに、「ひながふ化する時に中から殻をつつき、親鳥が外からそれを助けてつつく『啐啄(そったく)同時』という禅語があります。先輩たちのように植物が求めている時に適切な処置ができる、好機を逃さない観察眼を身に付けていきたいです」と力を込めます。

 一鐵さんの飛躍と共にトルコギキョウも全国各地に飛び立ちます。