きめ細かい霜降り肉は柔らかく風味も豊かで肉の芸術品といわれるとちぎ和牛。那須塩原市の古谷光弘(ふるやみつひろ)さんは、県内で最も和牛繁殖が盛んなJAなすの管内で20歳から生産を続けています。古谷さんは2017年、5年に一度開催される国内最高峰の和牛品評会「全国和牛能力共進会」の種牛の部の栃木県最終選考会で、育てた牛が本県の代表に選ばれたこともあります。

胃袋、骨格、血統が大事

 和牛を育成する農家には、母牛に子牛を産ませ10ヵ月程度育てて出荷する繁殖農家と買い付けた子牛を育てる肥育農家がいます。古谷さん方では祖父悦男(えつお)さんの代から繁殖を手掛けています。父浩巳(ひろみ)さんらの跡を受け継ぎ就農し、今年で8年目を迎えます。
 「8年間経営に携わり、厳しさもわかってきました。牛は一頭一頭性格、発育の仕方が違います。パターンに当てはめて育てるのではなく、臨機応変に対応することが重要だと感じています」
 和牛繁殖で重要なのは「胃袋」「骨格」「血統」といいます。たくさん食べられるような丈夫な胃袋を持ち、大きい骨格で、血統のいい牛が高い評価を得るといいます。古谷さんは「骨格は母牛の影響が大きいのですが、胃袋をしっかりしたものにするためにエサのやり方を工夫したり、エサの種類を変えるなどしています」と話します。

信頼される存在に

 古谷さんはJAなすのの若手和牛繁殖農家を中心にした「那須塩原子牛研究会」の副会長も務めています。同研究会は20代から40代前半までの生産者20人が情報交換をしながら、和牛の品質向上のために研究を重ねるグループです。
 「自分の育てた牛だけ良ければいいというのではなく、全ての和牛繁殖農家が高い評価を得られる牛を育てる環境を整えていければいいですね。そして那須塩原の牛の名前が全国に広まっていけばいいと思っています」
 将来の夢については「時代の変化に合わせて和牛繁殖をしていかなくてはなりません。高い評価を得られる和牛の土台作りをするのが繁殖農家の役割です。しっかり育てて肥育農家に信頼される存在を目指します」と抱負を語りました。

雑学辞典

とちぎ和牛とは 県内の指定された生産者が育てた黒毛和牛で、本県が全国に誇るブランド牛。1988年に銘柄牛として命名され、2004年に商標登録された。09年には全国肉用牛枝肉共励会で第1位を獲得した。厳しい基準をクリアした枝肉だけに与えられる認定ブランド名。