立冬を過ぎ、冬の気配が山にも里にも感じられる季節となってきました。木々の葉が落ち、冷たい風が吹く夜には、家族そろって温かい鍋をつつくのが楽しみです。鍋やすき焼きに青々とした彩りを添える春菊は、今まさに旬を迎えています。煮えてくたっとした葉には独特の香りと苦みが。さっぱりとおひたしやあえ物にしてもおいしい春菊は、カロテンやビタミン類など栄養たっぷり。漢方では、のぼせを取って熱を下げるとされ、抵抗力や回復を助ける「食べる風邪薬」ともいわれています。

 県内の主な産地は高根沢町、さくら市、宇都宮市、那須烏山市などです。産地の一つ、JAなす南の春菊部会の春菊は、葉肉の厚さと鮮やかな色、豊かな甘さと香りで市場でも高い評価を受けています。部会員の高野一枝(たかのかずえ)さん(那須烏山市大桶)は、定年後に農業をはじめ2年前から春菊を作っています。

▽欠かせない土作り

 春菊は秋冬収穫と夏秋収穫の2パターンの作型があり、年間を通しての出荷も可能ですが、高野さんは秋冬収穫で出荷しています。8~9月にかけて苗箱に種まきし、10月を迎えるころにビニールハウス内に定植します。高野さんは「春菊は病害虫に強く比較的手間がかかりませんが、土づくりはとても重要です。有機肥料を活用するなどして、品質の安定に努めています」と話します。

 冬を代表する作物の一つで、寒さには比較的強い作物ですが、極端に温度が低い状態が続くと生育に悪影響が出ます。そのため、冬場の工程で一番大切なのは温度管理で、寒さが厳しい朝晩は、ビニールハウスを二重にするなどして寒さ対策をします。

▽いろいろな料理に

 高野さんの出荷シーズンは11月上旬から2月下旬。3アールに植え付けられた春菊を一人で収穫し、規格に合っているかを選別する出荷調整を行い、袋に入れ箱詰めする作業も黙々と一人でこなします。

 「寒い時季もハウスの中での作業と室内での出荷調整作業なので、女性にも作りやすい作物です」と高野さんはほほ笑みますが、腰をかがめて芽を選別しながらの収穫作業は重労働で、日々成長するのでシーズン中はほぼ休みがありません。

 こうして多くの手間を掛けて育った春菊。「鍋に限らず、卵スープに入れたり茎をきんぴらにしたり、いろいろな調理法があります。私のお薦めはギョーザ。香りがとても良くなります」と高野さん。いろいろなレシピに活用できる春菊で、さまざまな料理を楽しんでみてはいかがですか。


◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • 春菊の原産地

    春菊の原産地は地中海沿岸地域、東部に広く自生しています。ただし、日本のように野菜として春菊を食べているのは、インド、中国など東アジアだけです。

  • 春菊の栄養素

    ベータカロテンやビタミンB・C、鉄分、カルシウム、カリウム、食物繊維など栄養素を豊富に含む代表的な緑黄色野菜です。特に春菊に含まれているベータカロテンは、ほうれんそうや小松菜を上回る含有量です。独特の香り成分が健康に良いともいわれています。

  • 選び方と保存法

    切り口の断面がみずみずしいものを選びましょう。葉がみずみずしく、鮮やかな緑色で、香りの強いものが新鮮なよいものです。葉が変色しているものは避けましょう。


次代を担う/JAおやま石橋大根部会部会長
倉井隆史(くらいたかふみ)さん(29)/仲間とともに産地を強化

 18歳で就農し、祖父母が手掛けていた約1・8ヘクタールの農地からスタートしました。徐々に規模を拡大し20歳で約10ヘクタール。現在は約20ヘクタールでダイコン、ゴボウといった露地野菜を中心にコメ、麦などを生産しています。作業受託も行っていて、約12~13ヘクタールを請け負っています。

 就農して10年がたちましたが、農業は大変魅力的です。自分がイメージしたとおりに良い物ができたときは、本当にうれしいです。地域に根差し、仲間に恵まれることも、この仕事の面白さです。

 また、サラリーマンと比較すると子どもたちと過ごせる時間も多く、働いている姿を見せられることも、自分にとって大切なことです。

 部会長を務める石橋大根部会ではベテランから若手までが一体となって、市場から繰り返し注文をもらえるような、魅力ある産地づくりに力を入れています。この地区のダイコンは、以前より京浜地区をはじめ多くの市場から高い評価を受けてきました。より一層、市場のニーズを探って、生産者、市場にとって、良い関係づくりに力を入れていきたいです。


ようこそJAへ/JAおやま/あぜ道サミットで交流

 JAおやまでは、くらしの中のニーズに応える「JAくらしの活動」を積極的に展開しています。田植えから稲刈りまでの米づくりを通して生産者と消費者が交流を深める「あぜ道サミット」や、地域の女性の参加を募り、生活の充実と仲間づくりをすすめる「女性大学」など活動内容はさまざま。

 また、JAくらしの活動の「健康寿命100歳プロジェクト」では、近隣のハイキングコースを仲間と一緒に楽しみながら歩く「ウオーキング大会」、カラオケや輪投げ等の「交流会」を実施しています。

 来年2月には講座や実践を通して健康寿命を伸ばすコツを学ぶ「介護予防教室」の開催も予定してます。JAのホームページや広報誌等で事前に募集しますので、お気軽にお問い合せください。問い合わせはJAおやま本店生活利用課(電話0285・25・3116)。

[写真説明]高野さんのハウスでは、青々としてみずみずしい春菊がたくさん育っている

[写真説明]「おいしい春菊をいろいろな料理法で味わっていただければ」とほほ笑む高野一枝さん

[写真説明]倉井隆史さん