みずみずしい食感と上品な甘さが梨の魅力です。代表的品種の「幸水」の季節が過ぎ、現在は「豊水」が出荷のピーク。今月中旬からは「かおり」「あきづき」「新高」が次々と登場し、シーズンを締めくくる本県生まれの「にっこり」まで、多彩なラインアップを楽しめます。

 佐野市では、南西部の国道50号と県道桐生岩舟線を結ぶ約2キロの「佐野フルーツライン」に観光果樹園の直売所22軒が並び、収穫・販売の主舞台となっています。

 「佐野の水や土壌は梨づくりに適しているのかもしれません。県外のお客さんから、『ほかの産地より甘みがあっておいしい』との言葉を多くいただきます。今年は天候にも恵まれ、例年以上に甘さが際立っていますよ」

 フルーツラインで「山本果樹園」を営み、今年4月からはJA佐野果樹部会(58人)の部会長を務める山本清(やまもときよし)さん(62)=佐野市上羽田町=は、柔らかな笑顔でそう話してくれました。

 自動車ディーラーから転身後のキャリアは既に30年になりますが、高齢化が顕著な同部会ではまだまだ“若手”。「クルマは調子が悪ければ部品を交換すれば済みますが、生き物である梨はそうはいきません。病気で枝が枯れてしまうと翌年まで響くこともあるので、管理には本当に気を使います」。就農時の謙虚な姿勢そのままに、妻の美代子(みよこ)さん(62)と共に「高品質で安全な梨づくり」に取り組んでいます。

▽「なしゼリー」新発売

 同部会で最近、力を入れているのが、梨の果実を利用した加工品の生産です。「豊水」を使用した果汁100%の「なしジュース」や、「にっこり」とレモン果汁、洗双糖を使った手作りの「にっこりジャム」などをフルーツラインの直売店の一部で販売しているほか、地元菓子店への原料の提供も行っています。今年7月には、新たに「豊水」を使用し、パウチタイプで食べやすい「なしゼリー」がラインアップに加わりました。

▽新品種づくりに意欲

 加工品の取り組みは生産過剰への対応で始まりました。一方で消費者からすれば、多彩な品種の食べ比べ以外でも、みずみずしさ、上品な甘さのバリエーションを楽しめるメリットがあります。

 「加工品についてはPRに力を注ぎ、販路を拡大していきたいですね」と抱負を語る山本部会長。さらに、「きらり」など新たな品種づくりにも意欲的です。梨のさまざまな魅力を、さまざまな形で消費者に届けるための挑戦が続きます。


◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • 日本での梨の歴史

    梨は日本の果物の中でも特に歴史が古く、弥生時代には既に食べられていたといわれる。「日本書紀」にも栽培の記録が残っており、江戸時代に品種が増えたとされる。

  • おいしい梨の選び方

    形がよく、果皮に張りがあり、軸がしっかりしているもので、同じ大きさなら重みがあるものを選ぶ。「二十世紀」などの緑色の梨の場合、少し黄色っぽくなれば甘みが出てきた証拠。「幸水」などの茶色い梨は、適度に赤みのあるものを選ぶ。

  • 梨の保存方法

    水分が蒸発してカサカサにならないよう、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存する。新鮮で保存状態が良ければ7~10日ほどは日持ちする。

 

次代を担う/JAはが野梨研究部 部長/
田口敬久(たぐちたかひさ)さん(33)/
不断の努力で産地を守る

 梨づくりを始めて13年目です。手を掛けければ掛けた分だけ、畑に足を運べば運んだ分だけ、より良いものができるというのが魅力ですね。

 就農直後から、遮根シートで根域を土壌から切り離し、その上に土を盛って苗を植え付ける「根圏制御栽培法」に取り組んできました。スタートした当初は栽培法がまだ普及しておらず試行錯誤の連続でしたが、最近は手応えを感じています。管理や収穫がしやすい、きれいな場所で作業できるなどメリットが多いので、若い生産者にもっと広がってほしいと思っています。

 「梨研究部」は、若手主体の15人で先進地視察などさまざまな活動を行っています。それぞれの収量アップはもちろんですが、病気を出さずに品質を高めるための努力が不可欠です。来年はJAはが野の新たなブランドとして、糖度13度以上の幸水など「高糖度梨」の販売を開始するので、販路の拡大にも力を入れていきたいですね。また、産地を守るために今後、若い就農者を増やす取り組みをしていかなければと考えています。


ようこそJAへ/JAはが野/地域の特色生かした企画

 JAはが野では、豊かで暮らしやすい地域社会の実現を目指して「JAくらしの活動」を展開しています。11月には組合員の皆さんや、地域住民の方も参加できる、「JAまつり」を開催します。

 11月9日に茂木・芳賀地区、16日に二宮地区、23日に真岡・益子・市貝地区で、それぞれ地域の特色を生かした企画を用意しています。はが野自慢の農産物も豊富に取りそろえていますので、ぜひご来場ください。

 また、12月21日には管内1市4町を会場に、42・195キロのフルマラソン大会「第1回はが路(じ)ふれあいマラソン」が開催されます。JAはが野はこの大会に協賛し、コース上で日本一のイチゴ、梨、トマトを提供するほか、職員がボランティアとして参加し大会を盛り上げていきます。

 このほか、管内に住む女性なら誰でも参加できる「JAはが野女性会」や、児童農業体験教室「未来ちゃんクラブ」など、さまざまな活動を展開しています。問い合わせは、JAはが野総合企画部電話0285・83・7701まで。

[写真説明]佐野フルーツラインでは、梨を使ったゼリー、ジャム、ジュースなどを販売

[写真説明]「新たな品種にも挑戦したい」と意欲を示す山本さん

[写真説明]田口敬久さん