「豊かな暮らしをサポート」をテーマに、2005年6月から掲載を続けてきた「JAプラザふぉーyou」が、今回で第50回を迎えました。米麦、特産のイチゴをはじめ、野菜の重点五品目として生産を奨励しているトマト、キュウリ、ナス、ネギ、ニラなどの農家や、直売所を訪ね、栃木の農業の姿を紹介してきました。今回は、50回特集としてJAグループ栃木の「安全安心」への取り組みを紹介します。



GAP導入高い品質

 豊かな大地からの恵みである農作物を、毎日、安心しておいしく食べられる。それは、消費者だけでなく、生産農家および「JAグループ栃木」の願いでもあります。

 2002(平成14)年に発覚した「無登録農薬使用事件」により、日本の農業と食の信頼は、大きく揺らぐ事態となりました。その教訓の下に、JAグループ栃木は、「生産履歴記帳運動」「残留農薬検査」「GAP(農業生産工程管理・Good Agricultural Practice通称「ギャップ」)の取り組み」などを通して、「安全・安心」対策を続けてきました。

 その間も、産地偽装や、中国産の毒入り餃子事件などの問題が相次ぎ、消費者の「食」に対する安全志向は、さらに高まっています。「みんなのよい食プロジェクト」の趣旨にもあるように、国産農畜産物推進の上でも、「安全・安心」への取り組みは重要な課題です。「食」に対する信頼性の確保のためグループを挙げて取り組んでいます。


 ■ 生産履歴記帳運動 ■

 02年の無登録農薬使用事件を受け、JAグループ栃木は、青果物安全供給緊急対策本部を設置しました。その後、安全・安心な農産物供給対策本部に改組し、同年末にJAグループを通して販売する全生産物で生産履歴記帳運動に取り組むことを決定しました。「どこの・誰が・どのような方法で栽培したのか」を明確にし、農産物の信頼性を高めています。

 運動の概容は、JAで販売される作物には栽培上の計画となる「生産基準」が設けられており、それを基に各農家が生産を始めます。その際、肥料や農薬の使用状況である「生産履歴」を記録し、各JAの担当者に報告書を出します。担当者は、記帳に誤りや記入漏れがないかを確認し、さらには抽出で残留農薬の検査(各種分析調査など)を行います。

 履歴記帳運動も軌道に乗った05(平成17)年にはJAグループ栃木農産物分析センターが設置され、より一層信頼度の高い検査が行われています。

 県内の進ちょく状況は、米麦、大豆が100%、園芸は98・4%が実施しています。主要品目のイチゴ、トマト、キュウリ、ナス、ニラでは100%を達成、玉ネギ、春菊、カボチャ、サトイモ、ブドウ、アスパラガス、かき菜、うども全農家が生産基準に基づいた記帳を行っています。

 これらの作業は、生産農家には負担が掛かりますが、「安全で安心な農作物を作り、産地の信頼を得るためには頑張らなければならない」と、生産者の皆さんも共通の認識を持っています。



 ■ 農業生産工程管理 ■

 生産履歴の記帳と並行して進められているのが、GAPです。GAPとは、生産農家および各JA担当者らが、農作業の点検項目を決定し、それに従い農作業を行い、記録し、その記録を点検・評価した上で、改善点を見いだし、次の作付けに活用するという一連の工程管理をチェックしていく方法です。消費者には、まだなじみのないものですが、既に全県的に始まっているイチゴ、麦をはじめトマト、ナシ、ネギ、ホウレンソウでも各モデル産地で進められています。

 05年の「JA足利」のトマトを皮切りに、「JAうつのみや」のイチゴ、「JAしおのや」のナシ、「JAなすの」のネギなどの産地が、安全・安心への取り組みを進めています。

 JAグループ栃木は、「生産履歴記帳」を、GAPのチェック項目の一つとしてとらえており、引き続いて重要視していくそうです。持続的な農業の発展のため、生産の安定、周辺環境への負荷軽減、生産農家の労働環境改善のための取り組みとしてGAPは、さらに進化。全国に拡大しており、各都道府県版GAPや、全国でも最も厳しいとされる日本GAP協会(NPO法人)の規格なども出てきています。




産地の魅力 生産意欲も向上

JAうつのみや 越冬トマト専門部 県内初 団体でJGAP取得

 JAうつのみやは、5つの作型でトマトを通年出荷しています。150人を超える農家が、年間約4300トンを生産しています。全員がエコファーマー(環境循環型農業者認定)を取得している上、県版GAPに基づき、安全で安心なトマトの生産に励んでいます。

 特に、越冬トマト専門部(稲川悟部長、13人)は昨年6月、トマトを生産する団体としては初めて「JGAP」の認証を受けました。JGAPとは、特定非営利法人(NPO法人)の日本GAP協会(東京都千代田区)が認証するグローバルGAPの一つで、国内では最高水準のものと言われています。日々の生産工程において、農産物の安全、農薬などの危機管理、周辺環境への配慮などについて129項目のチェックが必要となります。

 越冬トマトは、8月ごろに定植し9月下旬から6月までの長期にわたって出荷されます。段取り数(1本の木から採れる果数)も多く農薬、肥料などの散布にも注意すべき点が多いといわれています。さらに近年、販売単価の下落もあり、部会からは「産地として何らかの打開策が必要。魅力ある産地としてアピールすべき」という声が上がっていました。

 そこで、第三者からのお墨付きとも呼べるJGAPの取得を決断。取得するには経費や、ほ場の改善なども迫られるため部員からは「コストが掛かるばかりでメリットはあるのか」という意見もありましたが、産地の魅力、市場へのアピール度アップのためと努力してきました。特に農薬に関するチェック項目は多岐にわたっており、全員が農薬保管庫を設け、危機管理についてJAと合意書を交わすなど徹底しています。

 認証から丸1年を経て、専門部長の稲川さんは「第三者の認証を得たのは大きい。さらに自分の仕事・作物にプライドが持てるようになった」と振り返ります。越冬トマト専門部は、稲川さんをはじめ半数が30歳代という比較的若い組織。「自らを変えなければ」という気概が、明日の産地を支える力となるでしょう。

 [写真説明]JGAP取得後の3月、首都圏の消費者に「トマト狩り」体験をしてもらい、産地の魅力をアピール


JAプラザ50回に寄せて JA栃木中央会会長 伊澤茂

 「JAプラザふぉーYOU」は、「豊かな暮らしをサポート」をメインテーマに、生産者と消費者の架け橋として、県内各地の旬の農産物や農業・JAに関する話題を毎月18日に掲載し、おかげさまをもちまして、今月号で50回を迎えることとなりました。

 回を重ねる毎に、多くの読者の皆様からの熱い応援メッセージ等をいただき、ご紹介した農産物やレシピ等についてもご好評をいただいています。

 食料自給率が先進国では最も低い40%となり、昨今、食の安全・安心に対する国民の関心がかつてないほど高まりを見せている中で、JAグループでは、「やっぱり国産農畜産物推進運動~みんなのよい食プロジェクト~」の取り組みをすすめ、県内産の安全・安心でおいしい農畜産物の提供を通して、県民の皆様に健やかな生活を送っていただけるよう、今後も一層の努力を続けてまいります。

 県民の皆様の健康と「よい食」のために、国内農業に対するご理解と応援をこれからもよろしくお願い致します。


読者の声 ~5月号から~

【おいしい小山のキュウリ】

・地元小山で作られたキュウリは、みずみずしく、とても美味です。(58歳、女性)

【地元の生産農家に感謝】

・土を大切にして、安全な野菜を汗流して栽培されている人たちに感謝しながら、地元の野菜をたくさん食べようと思っています。(58歳、女性)

・農家の方がこだわりを持ち、より高いブランド・品質を守るためにがんばって生産していることがわかります。(57歳、女性)

 【夏にぴったりピクルスのレシピ】

・いつも「お役立ちレシピ」を参考にさせて頂いています。キュウリのピクルスはこれからの季節にぴったりですね。ぜひ作ってみようと思います。(34歳、女性)